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農作業で恋を育む!?農コンというビジネスチャレンジが生まれるまでvol.01~
いつかは自分でスモールグッドビジネスを立ち上げたい人のための実践型コミュニティ【Fukusen】には2023年1月現在、80名のメンバーが参加しています。彼らはどのようなバックグラウンドをもち、Fukusenという場を活用してビジネス「実験」を行っているのでしょうか?
こちらの記事ではビジネス検討が具体的に進んでいるメンバーを直撃し、その多様なバックグラウンドとビジネスの進捗を不定期でご紹介します。
第一弾となる本記事では、農作業で恋を育む「農コン」の起案者、辻さんが登場。社会人3年目の辻さんはいかにしてFukusenと出会い、農コンという着想を得たのでしょうか?
全2回にわたり、辻さんのビジネス検討の変遷、農コンに至るまでと実験的に行ったイベントの結果、今後の展開について話を聞きました。「Fukusenには頭脳がある。だから僕は体を動かす」と語る辻さんの圧倒的な行動力、Fukusenの活用ノウハウも必見です。
ビジネスアイディアコンテストでの表彰が、事業開発を志すきっかけに
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-はじめに、辻さんのキャリアから話を聞かせてください。
辻:現在はインフラ企業の技術営業をしています。社会人3年目です。法人のクライアントに省エネコンサルや再エネ供給など、脱炭素に向けたソリューション提案をするのが主な仕事です。
-Fukusenにはどういった経緯で入会したのですか?
社内のビジネスアイディアコンテストに応募をしたことが始まりでした。不登校のお子さんをもつ親御さんに対して、カウンセリングを行う事業を提案したんです。このアイディアが運よく表彰されたことから、事業開発という道に興味を持ちました。社外でこの力を磨きたいと考え、「CHANGE」(by ONE JAPAN)という大企業挑戦者支援プログラムに参加しました。
CHANGEは3ヶ月間で、イントレプレナーや大企業イノベーションなど様々なスキルを学ぶプログラムです。その中で、ヒアリングを通じた顧客理解の重要性を学びました。
そこで不登校の親御さんの生の声を50人ほどヒアリングしましたが、時間も限られていたためビジネス化に向けた実証実験まではできずにいました。この時、CHANGEのメンターでもあったローンディール社の方から「事業開発を今後もやっていきたいならビジネス実験のフィールドがある」と紹介してもらったのがFukusenでした。CHANGEのプログラム終了にあわせて、2021年の10月に参加を決めました。
Fukusen入会後、すぐに「不登校の保護者をサポートするカウンセリング事業をしたい」と起案しました。
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Fukusen起案、1件目は不登校児の保護者向けカウンセリングサービス「Gift」。
着想のきっかけは強烈な原体験
-Fukusenで起案後はどのような展開になったのですか?
Fukusen代表の細野さんと壁打ちをする週次LIVEに起案したところ「ニーズがあるか、ビジネス実験してみよう」と背中を押していただきました。すぐにデザイナーさんをアサインして心温まる素敵なホームページを作ってもらったんです。
それがこちらのサイトです。
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サイトを作ってからは不登校のお子さんを持つ親御さんと、不登校経験のある方を集めて、経験者がアドバイスをするオンラインカウンセリングの場を用意して集客しました。
-そもそもなぜ、不登校の親御さんに着目したのですか?
学生の頃に家庭教師のアルバイトをしていたのですが、不登校のお子さんを6名ほど担当する機会がありました。その中で、中学3年生のお子さんが不登校になってしまって悩んでいる親御さんから「うちの子は今後、どうなってしまうのでしょうか」と涙ながらに相談をされたんです。
その姿を見て、お子さんの不登校でこんなにも悩んでいる方がいるのかと衝撃を受けました。実は僕の弟が不登校だったこともあり、不登校は他人事ではありませんでした。新しいビジネスを考えるとき、世の中で困っている人をまず考えようという鉄則がありますよね。僕の場合、最初に思いついたのが不登校のお子さんを抱える親御さんでした。
-強烈な原体験があったのですね。
細野さんは「そんなに強い課題意識を持ってるなら、やってみたらいい」というスタンスだったので、不登校の子供たちが通うフリースクールへボランティアに行き親御さんと繋がりを作り、「オンラインカウンセリングやるので参加しませんか?」と集客していきました。
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カウンセリングは全部で8回程実施し、どのような場を設計すればサービス満足度は高まるのか、カウンセリング料金はいくらが妥当なのかを検討しました。
8回のビジネス実験で気づいた、ビジネス化への大きな壁。
「痛み止めでは、ビジネスにはならない」
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-8回のオンラインカウンセリングでは、どのような気づきがあったのでしょうか。
参加者に「このカウンセリングにいくらなら払いますか?」という質問をしたところ、1時間で2,000~3,000円という回答が出揃いました。正直、7,000〜8,000円は払ってもらわないとビジネス化は難しいと考えていたので、実験を通してGiftをビジネス化していくことの難しさがよくわかりました。解像度がかなり上がった感じです。
あと、細野さんからも指摘されたのが「課題の解決に至らないとビジネス化は難しい」ということです。今回、カウンセリングの場で涙ながらに思いの丈を語り、そんな場に喜んでくださった親御さんがいました。ただ、残念ながら根本的な問題問題解決には至っていません。カウンセリングの瞬間、親御さんの気持ちは楽になったものの、家に戻ればまた一日中ゲーム漬けのお子さんを見て不安な気持ちになってしまう。ひと時、痛みが和らいだとしても、肝心な傷は治っていないんです。そうなると、やっぱりお金は払えないですよね。
一方でカウンセリングをする立場の、不登校経験者の方からは申し込みが殺到したんです。
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自分の苦しかった経験を糧に誰かの役に立ちたいというニーズは明確に感じることができました。どんなに机上で考えても、実際にビジネス実験をしてみないことにはわからないことがあると体感できたのは、僕にとって本当に大きな収穫でした。
ただこれでGiftの取り組みが終わったかというとそんなことはなく、これは僕のライフワークというか、大切なテーマの一つとして今後も取り組んでいきたいと思っています。今は家庭教師を通じて課題解決をできないかと考え、新たな挑戦を続けています。
-辻さんがずっと持ち続けているテーマなんですね。
彼女と別れ、出会いを求めて参加した街コン。
「自分なら、もっといい街コンができる」
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-FukusenではGIFTのビジネス実験がひと段落し、現在は農作業で恋を育む「農コン」という、また違うビジネスチャレンジに取り組んでいますね。こちらはどのような経緯で生まれた企画なのでしょうか?
社会人になって、彼女と別れてしまったんです。新しい出会いを求めてマッチングアプリを色々と試してみたのですが、メッセージのやりとりがものすごく面倒で。手間がかかる割にはいざ会ってみると、デジタル情報とだいぶ乖離があったり…という経験をしました。
じゃあ街コンはどうだろうと色々参加したのですが、そこで2回もマルチ商法に引っかかりました(笑)。また参加する女子の中には真剣に出会いを求めているわけではなく、「ご飯を奢ってもらえるから」という理由で参加している子達も一定数いて。その度に凹むんですよ。そんなことが重なるうちに、もうちょっと良い街コンできないのかなと考えるようになっていきました。
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またGiftでは僕自身も一時期体調を崩すほど真剣にのめり込み、涙を流して喜んでくれる親御さんがいてもなかなかビジネスにならず、悔しい思いをしてきました。一方で街コンの参加費は男性が1回7000円程です。でも運営者がやっているのは、人を集めて「あとは適当にお話ししてください。最後に連絡先を交換してください」っていうだけです。それで20人近い参加者から7000円集めて、1回で売り上げは14万入るわけです。「この稼ぎ方、ずるいな。僕がやればもっといい街コンができるのに」という思いがむくむくと湧き上がってきました。
午前中に不登校に悩む親御さんの悩みを聞いて、夜に街コンに参加した日のモヤモヤ、葛藤は僕の胸に深く刻み込まれていきました(笑)。
-街コンには結構参加したのですか?
色々な形態の街コンに10回は参加したと思います。飲食店で開催されたもの、水族館、ハイキング、パーティー会場、結婚相談所のような個室のブースが並んだところ…。どういう企画だとどんな人が集まるのか、どういう街コンだと盛り上がるのか。出会いを探しながら街コンというサービスのリサーチをしていました(笑)。
vol.02へ続く。
vol.02では、街コンから農コンを着想するまで、農コンビジネス実験の模様と辻さん流Fukusen活用方法をお伝えします。
手触り感のあるビジネスがしたい、副業で年商1000万稼ぎたい、ビジネスは最初の一回しが大変…その全てを、Fukusenがサポートします
Fukusenファームでは辻さんのように「手触り感のあるビジネスがしたい」「副業で年商1000万稼ぎたい」「ビジネスは最初の一回しが大変」…。こんな思いを抱えている方に向けて、スモールグッドビジネスの立ち上げサポートをしています。ビジネスの種を着想するための基礎講座や、立ち上げ期の迷いを壁打ちするビジネスデザイナーによるサポート体制も充実しています。興味のある方は是非、30日無料のFukusenファームにご登録ください。
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(取材・文/藤井恵)