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中高生が“自分の好きなもの”に一歩近づくことができる「発見型アルバイト!しごトレジャー」というビジネスチャレンジが生まれるまでvol.01~
いつかは自分でスモールグッドビジネスを立ち上げたい人のための実践型コミュニティ【Fukusen】には2023年5月現在、100名のメンバーが参加しています。彼らはどのようなバックグラウンドをもち、Fukusenという場を活用してビジネス「実験」を行っているのでしょうか?
こちらの記事ではビジネス検討が具体的に進んでいるメンバーを直撃し、その多様なバックグラウンドとビジネスの進捗を不定期でご紹介します。
第三弾となる本記事では、中高生が“自分の好きなもの”に一歩近づくことができる「発見型アルバイト!しごトレジャー」の起案者、上野さんが登場。新卒で入社した大手通信会社に15年以上勤める上野さんは、なぜFukusenに入会したのでしょうか。そしてどのようにして新しいビジネスの着想を得たのでしょうか。
上野さんのビジネス検討の変遷、1年半に渡るしごトレジャーのビジネス実験の模様を2回に分けてお届けします。「Fukusenでの経験は本業にも活きる。転職経験のない人にこそFukusenを薦めたい」と語る、上野さん流Fukusen活用ノウハウも必見です。
40代になり、今後のキャリアを考える中で出会ったFukusen
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-はじめに、上野さんのキャリアから話を聞かせてください。
上野:新卒で大手の通信会社に入社しました。電波状況を改善する技術職として勤務し、現在は経営企画室で全社のDX推進をしています。
-Fukusenはどのようにして知ったのですか?
会社のslackに、Fukusen代表理事の細野さんが提供している「ビジネス創造が楽しくなる動画」の情報が流れてきて視聴したのがきっかけです。その時に面白いなと感じ、細野さんが主催するFukusenの存在を知りました。
ちょうど40代にさしかかり、今後いまの会社で何をしていくべきか、キャリアに悩んでいた時期でもありました。新しいビジネスを創ることへの興味はありましたが、会社で行うと5年以内で10億とか高い目標となりやりたいことをやるのは難しいなと。その点Fukusenは「仕事を続けながら、自分でスモールグッドビジネスを創る」ことをゴールにしていて、そのコンセプトが僕の置かれた状況とマッチしていたので入会を決めました。2021年8月に入会したので、今から1年半前のことです。
-そこからどのようにFukusenと関わりましたか?
何もわからなかったので、毎週水曜日の夜にオンラインで開催される週次LIVEに出席し、他のメンバーと細野さんの壁打ちを視聴していました。あとは細野さんが提供している動画を視聴したり、お薦めされる本をひたすら読んだりとインプットを続けました。
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入会から3か月ほど経った頃、そろそろアウトプットをしようとビジネスアイディアを考え、週次LIVEにエントリーしました。
お蔵入りになった3本のビジネスアイディア。
【着眼点】×【解決策】どちらかが秀逸でなければ、スモールグッドビジネスは創れない
-どんな内容でエントリーしたんですか?
妻が自宅のカレンダーに手書きでどんどん予定を書き込むのですが、僕はデジタル派で。カレンダーに書き込まれた予定を、定期的にデジタルにして届けてもらえないか。例えば子供が写メを撮って送ってくれたらポイントが付与されるとか。そんなものを考えたのですが、どうマネタイズするのかという話になり、1回の壁打ちでお蔵入りとなりました。
その後も2つのビジネスアイディアを考えてエントリーしました。2つ目が、電波関連の国家資格取得をサポートするビジネスです。5Gの工事をするのに必要な資格で、僕も取得したのですが、有資格者が不足しているという問題が業界内で起きていました。「業界特有の不」はビジネスの種になるという話から着想を得た企画でした。
ただこれは資格取得サポート以外の解決策がなく…。スモールグッドビジネスを生み出すには課題の【着眼点】か【解決策】、どちらかが秀逸でなければいけないと細野さんはよく言っているのですが、本当にその通りだなと。
解決策のひねりようがなかったので「ひとまず自分でやってみたら?」となり、仲間と少し取り組んだものの、営業が思うように進まずお蔵入りとなりました。
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-次にエントリーした3本目はどんな内容でしたか?
焼酎の小分けビジネスです。自分がとことん好きな「偏愛」がビジネスの種になるという話を聞いて思いついたのが、僕の好きな焼酎をネタにしたビジネスでした。小分けにして売ることで焼酎を知るきっかけ作りがしたいと思っていました。
これは法律的な問題もあるということで、Fukusenの助っ人弁護士さんにも相談しました。法律的には何とかクリアできる方法がありそうだけど、どうマネタイズするのか?ということで、何度か週次LIVEで細野さんと壁打ちしました。
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解決策を秀逸なものにするため、お米とセット売りにするとか、水とセットにするとか。「定期的に届く何か」とセットで販売する切り口にしたらどうかとアドバイスをいただきました。要は、ひねらないとお金にならない、ということだったんですよね。ただそんな風に解決策をひねればひねるほど、「焼酎が好きだからビジネスにしたい」という思いから離れてしまっている感じがしてしまい…。結局ビジネス実験には至らず、お蔵入りにしました。
4度目の正直で提案した「しごトレジャー」
着想のきっかけは細野さんの雑談
-4回目にエントリーしたのが、現在ビジネス実験が進んでいる「しごトレジャー」ですね。これはどのようにして生まれたビジネスアイディアでしょうか?
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毎週出ていた週次LIVEで、細野さんがちょっとした雑談をしていたんです。ご自身のお子さんに、学んでほしい教養があるが、親がレクチャーしても子供に絶対聞いてもらえない(笑)。
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その解決策として、友人が今度学校で授業するので、その内容をテスト受講してあげてくれない?バイト代をあげるからとお子さんへ提案。子供は快諾して友人から教養のレクチャーを受けた、と。この取り組みは良いかもしれない、誰かビジネス化を考えてみたらどうですか?という話でした。
ちょうどうちの子も中1なのでキャリア教育的な意味でも、これはいいかもしれないと思いました。アイディアをまとめて週次LIVEにエントリーし、早速実験をしてみましょうという流れになりました。今から1年近く前の2021年末のことです。うちの娘を相手に、第一弾のビジネス実験をスタートしました。
自身の娘さんを対象に、ビジネス実験スタート!
5回に及ぶインタビューバイトで得られた気づき
-第一弾となるビジネス実験は、どのような内容で行なったのでしょうか。
娘にはビジネスのことは何も伝えず、社会人にインタビューすると1回1,000円もらえるバイトがあるということにして、社会人にオンラインでインタビューをしてもらいました。話をしてくれた社会人はFukusenメンバーです。職業は
・医師
・コンサルタント
・人事
・大学教授
・フリーランスのコーチ
とバラエテイに富んだ5名です。
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インタビューは1:1で1回あたり50分。その仕事のやりがいな何ですか?など事前に質問項目を娘に渡して、インタビューを任せました。僕は同席せず、後日録画を確認する形にしました。持ち時間に対して、用意していた質問をあっという間に聞き終わってしまい、四苦八苦しながら質問を捻り出している娘の姿は新鮮でした(笑)。
-娘さんの反応はいかがでしたか?
終わった後、本当に楽しそうに感想を共有してくれました。当時はお医者さんになりたいと言っていたので、実際にお医者さんと話をしたあとは「すごくいい話が聞けた」と言っていました。
-興味のある職業については、手応えがあったのですね。
はい、ただ興味のある職業のみならず、人事の方の話も予想外に刺さっていました。かなりコミュニケーション能力の高い方だったので、インタビュー後にその方のFacebookを探しだして投稿を読んだりしていました(笑)
-なるほど。職業のみならず、話者のキャラクターによる要素も大きそうですね。このビジネス実験ではどんな気づきがあったのでしょうか?
5名へのインタビューを終えた時点で、親としてかなり価値のある取り組みだと感じました。ただこのサービスに親としていくら払うか?と聞かれると、1回3,000円くらいだろうなと。
●需要はありそう
●1回3,000円程度が妥当な金額ではないか
という2つの仮説が得られたビジネス実験でした。
この結果を週次LIVEで報告し、本当に需要があるのか?を探るべく第二弾のビジネス実験へと進みました。
第二弾、無料のビジネス実験をしたものの
有料プランへの移行に失敗…
-第二弾ではどのような実験をしたのでしょうか。
このサービスに興味をもち、お金を払ってくれる顧客が本当にいるのか?を探りに行ったのが第二弾のビジネス実験です。
具体的には「お子さんにお仕事インタビューバイトをさせてみませんか?初回無料です」というチラシを作って周囲に配りました。チラシはFukusenで教えてもらった無料デザインツールのCanvaを使って自作しました。会社内のSlackに投げたところ、やってみたいという親御さんが1名捕まりました。
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中学生のお子さんにインタビューしていただき、その録画を送りました。すると「子供の様子を、こうやって見られるのがすごくいいですね!」とかなりの好反応でしたが、「お金を払う程ではない」と有料プランへの参画には至りませんでした。
この実験を経て改めて、親は十分に価値を感じるサービスであることを確信しました。だったらもう無料実験はやめよう!初回から有料の実験をしてみよう!と第三弾の有料ビジネス実験へと進みました。
vol.02へ続く。
vol.02では、第三弾のビジネス実験の模様から現在に至るまでの変遷、上野さんが感じるFukusenの価値についてお伝えします。
Fukusenファームでは、上野さんのように本業を持ちながら事業開発にチャレンジしたい、自分のビジネスを持ちたい方に向けて、スモールグッドビジネスの立ち上げサポートをしています。ビジネスの種を着想するための基礎講座や、立ち上げ期の迷いを壁打ちするビジネスデザイナーによるサポート体制も充実しています。
ファームメンバーは定員100名限定。現在満席となっていますが、LINE登録いただいた方には空席が出来次第、お知らせします。
(取材・文/藤井恵)