社内起業家と社外起業家の違い
僕はよく人に「起業しないの?」って聞かれます。その度に「え?」ってなります。どうしてかというと、自分で何が何でも起業したいようなアイデア浮かばないんです。でも、社内で実現したいアイデアはバンバン思いつく。
どうしてだろうかと考えました。
僕は単に「今は解決されてない課題に気付いて」「それを面白い方法で解決したい」と思ってるわけです。病的なほどに。
例えば、スペースマーケットさんは世の中に使われてない魅力的なスペースがあるという人々の課題と、いつも通りじゃない非日常のスペースで何かをしたいという人々の課題に気付いて、それらを結びつける時間貸しのマッチングプラットフォームを提供することで解決したわけです。そして、そのことは既存の大企業がやるよりもスペースマーケットさんがやったほうがいいアイデアだった。スペースマーケットさんのビジネスモデルは既存の大手企業がやったほうがいい必然性があまり無いからだと思うんです。(本当は大手の脅威を見事にかわして運営されてるかもしれないので勝手な想像です。)
一方で僕がリクルートキャリアで思いついていた(筋がいいと思う)アイデアには大抵の場合「うちの会社だからこそやる意味がある」という要素が練りこんであるんです。「意味がある」とか曖昧な表現だと伝わらないと思うのではっきり書くと「うちの会社ならではの課題を解決できる」ようにしてあげれば、他社がやらずに自社だけがやる意味があるビジネスやサービスになるんです。そこだけを狙って、焦点を絞って24時間、365日考え続けてたら出てくるんです。筋の良いアイデアが。
ストーリーとしての競争戦略に書いてあった非合理の横糸を、自社にとっての課題解決に絡めて通すんです。そうすると、その編み上がった布はとても強いものになる。
具体的には、競合をはじめとする他社はそのアイデアを実現するROIが合わないので、いつまでたっても実現してこないので焦らなくて済みます。これ結構大事です。焦るとアイデアが熟し切る時間を待てずに変な形で実現してしまう。リーン的に実験もせずに、大規模開発を一気にぶち込みたくなる。
何が言いたいかというと、社内起業家と呼ばれる人は、「自社の抱える様々な課題を知り尽くしてないと社内起業家である意味がない」ということです。普通に自社の課題やリソースを使わずにできるアイデアを思いつくだけなら社外起業家をやったほうがいいんです。今ならお金も集まりやすいだろうし。
さらに社内起業家は大企業の合理的な意思決定機構という最大の敵を欺いて、新しいアイデアをインキュベートするというルパン三世スキルが求められます。これは多分、社外起業家における「ビジョン構築・発信」のスキルと対をなすものだと思います。社外起業家は社会からの応援を集めなければならない一方で、社内起業家は社内の免疫機能を無効化させないといけないのです。
今回も読んでいただきありがとうございました^^