ニデックによる牧野フライスへの同意なきTOB なぜオークマではなく牧野フライスが選ばれたのか?
2024年12月27日(金)に驚きのニュースが入ってきました。
「ニデック 工作機械の牧野フライスに同意なきTOB」というものです。
TOBとは
TOBとは、Take Over Bid(テイクオーバービット)の略で株式公開買い付けのことです。
企業の株式を市場外で大量に買い付ける手法です。企業の支配権や経営権を取得して、子会社化することを目的にしています。
TOBには買付け者(今回のニデック)と対象者(今回の牧野フライス製作所)がいます。買付け者と対象者の間で協議が行われて、合意の上で行われる友好的TOBと、合意なしに行われる敵対的TOBの2種類があります。
ニデックによるTOB
今回のニデックによる牧野フライスのTOBは、まだどちらになるかわかりません。 公開買い付けが2025年4月4日から31日間と設定されていますので、それまでの間にニデックと牧野フライスの間で協議が行われ、合意が取れれば友好的TOBとなりますし、合意が得られなくてもTOBを実施すると、ニデックは12月27日に公開した「株式会社牧野フライス製作所(証券コード:6135)に対する公開買付けの開始予定に関するお知らせ」という書面で言っていますので、その場合は敵対的なTOBということになるでしょう。
ニデックからのTOB宣言を受けて、牧野フライスからもコメント「ニデック株式会社による当社株式に対する公開買付けの開始予定に関するお知らせ」が出ています。
https://ir.makino.co.jp/news/pdf/2024/20241227.pdf
「事前の連絡は受けていない。公開買い付けに関わる開示文書の内容などを精査した上で当社の見解を公表する」ということで、当日のコメントですので当然まだ何も決まっていないというところですね。
今後どういう対応するか気になるところではありますが、仮にこのTOBに対抗するとするとどんな方法があるのか?
いくつか方法があるようで、例えばポイズンピルとかゴールデンパラシュート、チェンジオブコントロール、ホワイトナイト、クラウンジェイル、第三者割当増し、増配など いろいろあるようです。ここでは説明しませんが、参考URLを貼っておきます。
なぜ牧野フライス製作所が選ばれたのか?
なぜマキノフライスが選ばれてしまったのか?
なぜオークマじゃないのか?
を考えてみましょう。
まず根本的なところから説明します。
ニデックは工作機械事業の売上高を2030年度には6000億円レベルまで増やすというのを目標にしています。これは先ほどの公開買付けに関する文書と一緒に公開された「企業価値の最大化に向けた経営統合に関する意向表明書」内に書かれています。
2021年に三菱重工工作機械を買収して工作機械産業に参入しました。
続いて2022年にはOKKを買収、そして2023年の2月にはイタリアの工作機械メーカーであるPAMAを買収しました。
そして同じく2023年の7月には 旋盤メーカーのTAKISAWAに対して今回と同じTOBをすることを宣言して、11月には買付けを完了しニデックグループにTAKISAWAも入ることになりました。
今年のJIMTOF2024ではそれぞれ TAKISAWA、OKK、三菱重工工作機械が並んで出展していました。
(三菱重工工作機械はニデックマシンツールと名前が変わってしまいました)
これらの怒涛のM&Aで傘下の工作機械メーカーをどんどん増やしています。
ニデックは2024年3月期で売り上げが1200億円規模と見込まれているそうで、その2030年度に売上高6000億円という目標にはちょっと届かないような状況であると言えると思います。あと3倍4倍増やさなければいけないという状況で、ある程度大きい会社、もう少し大きい売上高がある会社を買収しようという考えになったのでしょう。
今回TOBを掛けられている牧野フライス製作所は2024年3月期で2250億円程度の売上高になる予定になっています。単純に足し算すると3500億円程度となります。今年度よりも来期がもう少し成長するとすればもう少し4000億円5000億円に届くかというところ、かなり目標に近づくとそういう目論みなのでしょう。
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