夢日記69”魔法学校ダンジョン部”
※イマイチ分かりづらかった箇所は自己解釈で脚色してあります。
入学してすぐは部活動勧誘が激しい。魅力的な部活動、魅力的な先輩方。しかし僕がこの魔法学校に入学したのは部活動のためではない。学業を修めるためでもない。この学校にあるソレだけが目的だった。
スライムならではの能力を活かして勧誘をすり抜け僕は東館一階のトイレ左に向かう。そうだ、僕は入学前からずっとここに来たくて仕方がなかった。学校見学の時にさえここにしか関心を示さなかった。
古くからこの学校にあるダンジョン。
価値観の違いなのか何なのか知らないが学校の内外を問わずこの場所に興味関心がある者は多くない。こんなにロマン溢れる場所だと言うのに。僕はドキドキしながらダンジョンに足を踏み入れた。
「凄い…」
入ってすぐだが既に空間がおかしい。見た目はただの細く長い道だがトイレの隣にこんな道ができていれば普通は学校の外に通じてるはずなのだ。しかしそのはずの道の奥にはただただ無骨な地肌を見せた道が続いている。細長い道を恐る恐る進むと、やや広い道に出た。まだまだ先まで続いているがまだ一本道だ。
「トイレトイレーっ!」
急に後ろから声がして驚いた。振り返ると同級生の赤いスライムがダンジョンの先にトイレを求めて走ろうとしている。
「トイレは隣だし君はスライムでしょ?」
「あはは、そうだった。人間だった頃の癖が抜けなくてねー」
元人間のスライムらしい。スライムの体で尿意を感じるのは何故なんだ?
「それはそうとそろそろ教室に戻った方がいいよ」
赤いスライムはそう言って僕に教室に戻るように催促する。入りたい部活動を選ぶ時間を多少は設けられていたがダンジョンを探索するには短過ぎる。後ろ髪引かれる思いだが入学初日から問題を起こす訳にはいかない。僕は赤いスライムの言う通りに教室に帰った。
授業中もダンジョンの事で頭が一杯だったが先生の言うある事を聞いてショックを受けた。この学校は基本的に部活動を行う以外の目的で放課後に学校に残ってはならず速やかに学生寮に帰らねばならないのだ。
冗談じゃない。休み時間の合間じゃとてもダンジョンの探索なんて進みそうにない。幸いにもダンジョンに入る事は校則で禁止されてないが当然ダンジョンに潜るために居残りする事はできない。
入学初日の放課後、僕はバレたら道に迷ったと言い訳する事にしてダンジョンに向かった。しつこい部活動の勧誘は無視だ無視。
あまりに急ぐもので誰かの肩にぶつかった。
「いってえな誰だよ」
同級生の人間だ。口は悪いが根は悪い人間ではないという印象だった。謝って済ませよう。
「ごめん、ちょっと先を急いでて…」
「急ぐのはいいが前見て歩けよ」
そんな会話を終えてダンジョンに向かう。入口前に立つとどうしようもない高揚感が湧いてくる。僕は中に入り…。
「!!!」
驚くべき事が2つ。まずダンジョン内の地形が変わっている。一本道には変わりないが道は多少先が見えるほど広くなっている。もう1つはあの赤いスライムがいる事だ。
「どうして君がここに…」
「えっと…道に迷っちゃって」
どうやらこの赤いスライムも僕と同様にこのダンジョンに興味がある様だ。目的が同じならば仲間は1人でも多い方がいい。彼の真の目的を吐かせ、目的は同じだと説得した。
「話し声がすると思ったらお前達か。こんな所で何やってる」
誰かと思って振り向けば先程の人間じゃないか。
「部活動以外での居残りは校則で禁止されてるはずだ。さっさと学生寮へ帰れ」
赤いスライムは言われた通りに下校しようとするので僕は彼の手首あたりを掴んで同化させて引き止めた。
「そうするつもりだよ。でも登校初日で道が分からなくて道に迷っているんだ。えっと…出口はこっちだったかな」
僕はダンジョンの奥を指差した。ふざけているのではない。彼が本気で親切心から僕らを引き止めに来たなどと思っていないだけだ。
人間はきょとんとしていたがニヤリと笑った。
「ああそうだ。俺が案内しよう」
そうして彼を先行させダンジョンの奥に進んだ。
…部活動以外の目的での居残りは校則違反。しかしダンジョンに潜るのは校則違反じゃない。今の僕には校則に違反せずダンジョンに潜るある案が浮かんでいた。
…終わり