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時間よ止まれ

どうせ戻せないのなら
せめてこのまま止まっておくれ
取っておきたいものは無いけれど
悪くなるのが嫌なんだ
時の刻みは私から
時が経つのは私から
私は世界の中心で
色んな事が出来ように
持ってたはずの中心は
突発性のつむじとなって
渦を巻こうとするけれど
やろうとすれば向かい風
向かい風とぶつかって
無となれれば御の字だ
無となれれば静寂の
水平線と空の間に
水彩絵の具を持ち込んで
狭間をぼかす職に就く
いい加減な仕上がりが
評判となって配置換え
任されたのは
飛行機雲の後始末
すぅと白線
その後は誰も見ないから
下手なぼかしでもいいそうだ

私はよく下手を打つ
時間を止めたら
止まったのは私だけ
未来のものが通り過ぎ
過去のものが未来の様だ
不老不死の傍観者
思っていたよりつまらない
偉そうに睥睨して構えたかった
纏った衣服は散り去って
裸ん坊が恥ずかしい
時を止めた私の事を
見る者は誰も居ないのに


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