言語AIの進化史②イライザの仕組み
前回は、チューリング・テストを軸に、言語による応答を通して知性を測るというテーマについていくつかの概念を紹介しました。今回は、その中で登場した人工無能 イライザ(ELIZA)(1966年)に再びスポットライトを当てます。
初期のチャットボットであるイライザは、設定ファイル(スクリプト)によってその挙動が変わります。特に有名なのがDOCTORスクリプトです。LinuxやmacOSで使えるテキスト・エディタのemacsに標準でインストールいます。
emacsエディタのコマンドとしてESC、x、doctorとタイプすると起動することができます。(ESCはエスケープ・キーです)。
イライザとの会話は次のように始まります。
試しに次のように会話を切り出しました。
よく眠れないという私に対して、セラピスト(という役割)であるイライザは、次のように応答しました。
患者(という立場)である私は、次のように説明します。
夜に眠れるけど目が覚める私に対して、イライザはこう続けます。
イライザの質問は、私からより具体的な情報を引き出そうとしているかのようです。ただし、目が覚める理由までは分からない(考えていない)ので、私は、次のように続けます。
そこで、イライザは次のように告げます。
イライザの応答は、心理療法士が患者の生活習慣や環境についての詳細を探ろうとする姿勢を反映しています。患者が自分の問題をより深く考えるように誘導されているかのようです。
もちろん、完全に自然な会話とは言えませんが、1966年当時、イライザに夢中になった人々がいたことも理解できます。
では、イライザはどのような仕組みで動作しているのでしょうか。また、そのアプローチは現在の言語モデルとどのように異なり、どのように共通しているのでしょうか。
イライザの基本的な仕組みについて、見ていきましょう。
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