バイオレンス映画は観ない〜Errol 'Frabba' Holt インタビュー(2007)
Errol 'Frabba' Holtは、Roots RadicsやThe Morwellsのベーシストです。
しかしErrol 'Frabba' HoltといえばやはりRoots Radicsが有名ではないでしょうか。
WikipediaによるとRoots Radicsは1978年に結成されたそうです。
メンバー構成は
ベース: Errol 'Frabba' Holt
ギター: Eric 'Bingy Bunny' Lamont
ドラム: Lincoln 'Style' Scott
基本的にこの3人です。
Roots Radics ↓
Roots Radicsは1980年代前半の初期ダンスホールレゲエにて旋風を巻き起こしました。
彼らによって時代はルーツからダンスホールへと移ったといっても過言ではないかもしれません。
そんなRoots Radicsを組織したHoltのインタビューです。
それではいきましょう。
翻訳元の記事↓
https://www.rebelbase.be/interviews/detail/errol-flabba-holt---petrol-062007
イ: ベルギーへおかえり!Frabba!
E: 久しぶり!おれがここに来てたとき以来だね。これは音楽産業だ。わかるだろ?
奴らは人々を騙すし、みんなに迷って欲しいと思ってる。
でもルーツや文化、反骨のメッセージはここになきゃいけないんだぜ!
これがErrol 'Frabba' Holt。見ろよ、ジャマイカのNo. 1ベースマン、そしてRoots Radicsのリーダーだぜ。
ベルギーのみんな、おれたちはいつもお前らを愛している!
正しさをキープしろ。色々混ざったものや、バカなことに入れ込むなよ。
正しいことをやっているとき、Jahはお前を愛す。
反対に悪いことをすれば、おまえはSatanと歩むだろう。おれたちはそんなこと望んじゃいない。
おれがやっていることがわかるか?
Rasta far I !! 神は愛さ。
いまから何を言うんだい兄弟?
Jahとは聖書に出てくる唯一神ヤハウェのことです。
ジャマイカではラスタファリズムという宗教のような考えがあります。
Rasta far Iは、ラスタファリアンが使う言葉です。彼らが信仰するハイレ・セラシエ1世の本名がラス・タファリなのです。
ラスタファリアンは「I」という言葉をよく使います。
例えばWeや、Youと言った人称代名詞をI and Iと言ったりします。
Rastafari(ラスタファリ)の末尾のIを強調するためにRasta-far-I(ラスタファーライ)という感じですね。
イ: あなたはRoots Radicsのベースマンだよね。
E: ただのベースマンじゃないぜ。おれはこのバンドの設立者だ。Radicsって名前を思いついたのもおれだよ。
全てはラジカルだったんだ。ある意味、rootsも同じような意味だよね。
全てはRoots、RadicsそしてRaggaeなんだ!
おれらとプレイした全てのアーティスト例えばYellowman、Barrington Levy、Gregory Isaacs、もちろんIsrael Vibration。彼らは別格だ。いつも愛してるぜ! Wicked!!
Israel Vibration ↓
イ: いつ、そしてどうやってベースを弾くようになったの?
最初からベースはあなたの楽器だったの?
E: いいや、最初はギターを弾いてた。
でもある日、みんながおれにベースを掴ませて、"こいつを弾け" と言った。
おれはたくさんのベースマンを聴いて育った。でもおれは誰のコピーもしなかった。
おれはただ庭に座って、自分のスタイルを作り上げた。
自分自身に言い聞かせるんだ。"おれはいずれジャマイカのベースマン全員殺す" ってね。
おれはベースもやるけど、同じように歌も歌うんだよ。わかるだろ?
(歌い始めるErrol)
"おれの目が自分自身に語りかける、心が危険に晒されていると"
この歌がおれが歌った最初の曲。みんなこれを聴いたら驚くんだよ。
イ: なぜRoots Radicsとツアーしないの?
E: 一度に全てのことはできないんだよ。おれは歌を歌う前に、ベース弾いている。ずっとだよ。わかるだろ?
ただ集中しているのさ。
イ: 多くのミュージシャンは、1つの楽器のブランドに固執するよね。
それはあなたにとってはどう?
こだわりのベースがあるのか、
逆にどのベースでも弾くのか。
E: 今はFenderを弾いているね。なぜなら他のベースは肩にかけたとき、少し重かったりするんだ。
ステージ上では軽いベースが好きだ。
おれはFenderで全てのヒット曲を弾いたし、こいつと旅するのが好きなんだ。
イ: Roots Radicsはどうやってできたの?
なぜ結成時にこのメンバーと一緒にやろうと思ったの?
E: おれはThe MorwellsでBlacka Morwellとやってたんだ。ある日1人の男がおれのとこにきて "おまえのバンドをつくれ" と言った。
おれはRoots Radicsという名前を思いついて、始まったんだよ。
おれらはGregory Isaacの「Night Nurse」のような良い曲を沢山演奏し始めた。
その後はYellowman、Barrington Levy、Bunny Wailer、Michael Prophetと続いていったね。
おれらが演奏した全ての曲については話すことはできないけど、最初にベースマンとしての自己を確立したときはよく覚えている。
ベストなベースを弾こうとして、自分の名刺代わりのベースが弾けたときだね。
初めっから殺すつもりでやってたよ。
イ: 自分が最初に行ったIsrael Vibrationのライブから、オープニングはずっと「Rockfort Rock」だよね。
なんでこの曲なの?
E: 「Rockfort Rock」は結構昔のキューバの曲だよ。でもジャマイカにとってこの曲はほとんど国家みたいなものなんだよ。
おれはこの曲を愛してるし、大体のインストは大好きだ。Skatalitesの「Ball Of Fire」って曲があるんだけど、その曲はおれを熱くさせたね。 でも当時のおれは「Rockfort Rock」みたいな曲は好きじゃなかった。
E: おれらが「Rockfort Rock」を演奏すると、人々は毎回盛り上がるんだ。
やべぇ曲だよ。こういうタイプの曲が死ぬことはない。
だってこの曲はおれが16歳のころの曲だぜ。
「Rockfort Rock」に関しては、最初に演奏されたときから今日まで、場所を問わずストロングなんだよ。
(オープニングで)「Drum Song」もやってたんだけど、おれはもっとアップテンポを欲していた。
イ: Roots Radicsにとって、重要な曲になったってことだね。
E: その通り!アンセムみたいなものさ。
イ: それじゃあ最後に、一問一答やるよ。
あなたにとってこの言葉がどういう意味を持つのかすぐに説明してね。
いくよ。「Israel Vibration」
E: おれはこのグループを愛してる。そして今までずっと一緒に演奏してきた。
Israel Vibrationはプロテストソングを歌う。
今、世界で何が起こっているのかを聞くんだ。
彼らはただ古い曲を歌っているんじゃない。意味があるんだよ。
イ: 次いくよ、「Music」
E: そうだな、、音楽はマインドを落ち着かせるものだな。
おれがやる曲は好戦的じゃない。
個人的な話をすると、おれは暴力的な曲は聴かないんだ。
なぜなら暴力的な映画を観ているときのようだからな。
そういう映画を観終わったら、同じ様な思考と行動を始めちまう。
好きな曲はStudio 1とかDuke Reidの曲かな。
でも今流行っている新しい曲には、何も感じない。
まるで奴らが捨てたゴミみたいだよ。
奴らが作った曲は長くは残らないね。
イ: 今の音楽はほとんど使い捨てになっているよね
E: だね。 今日聴いたとしても、明日にはそのことを忘れてるって具合だ。
一体どうなんだよ?
Roots RadicsやIsrael Vibrationのライブに来たときは、おれらは最高な時間をオーディエンスに与えようとする。
おれはライブに来た人には、良いフィーリングを持ち帰って欲しいんだ。
イ: これが最後だね、「皇帝陛下」
E: たくさんの人が言うんだ "セラシエ陛下は神だった" とか "セラシエ陛下は王様だった" って。
おれはジャマイカのラスタマンに囲まれて育ったから、おれにとっても一緒なんだ。
ラスタを信仰する人を除いても、みんなそれぞれの神を信仰し、祈っていた。
自分で決めなきゃいけないんだ。他人の人生に口出しは出来ないだろ?
おれの言ってることわかるか?
ここ言われている皇帝陛下、セラシエ陛下とは1930年に即位したエチオピアの皇帝です。実在した人なんです。
ハイレ・セラシエ1世 ↓
エチオピア↓
なぜハイレ・セラシエが信仰されるようになったのか。
それは1920年代に、黒人民族主義の指導者であるMarcus Garveyが「アフリカを見よ。黒人の王が戴冠する時、解放の日は近い」と予言しました。
Marcus Garvey ↓
前述の通り1930年にエチオピアでハイレ・セラシエ1世が即位。Garveyの予言は的中し、ハイレ・セラシエ1世は救世主として信奉されました。
その後ラスタファリズムは政府からの弾圧や、セラシエのジャマイカ凱旋など様々な局面を迎えます。詳しくは改めてまとめたいと思います。
イ: もちろんさ。リスペクトだよね。
E: 同じ黒人でも、マインドは違うんだ。おれは毎回正しい道を示そうとする。
もし誰かが迷う方向の道を選ぶとしても
それはその人の選択。
全てはGoodとBadの選択なんだ。
以上です。
思慮深いアーティストのインタビューを読んでいると、お坊さんの説教を聞いているような気持ちになります。
日々の暮らしで忘れがちな本質的なことを思い出させてくれますね。
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