お年玉の行方/大人がお年玉にもらった3万円の使い方考
義母から、お年玉を3万円もらった。
年末年始に大掃除をして、タンスの中から小銭のたくさん入った缶をいくつも発掘したそうだ。それを預けてみたところ、まぁまぁの臨時収入になったようで、妻と僕にそれぞれおすそわけをしてくれたのだ。
「いやいや、いいですよ」
なんて言いながら、結局もらってしまうちゃっかり者の僕らだ。
義母から言われたのは、『自分らのためにつかうのよ』のひと言。これがなかなか難しい。
今欲しいものは?と言われると、すぐに思いつくのは長男の靴。ちょっぴり窮屈になってきたようだから、ちょうど明日買いに行こうと思っていた。それから、僕のパジャマ。妻が誕生日に買ったユニクロのパジャマが思った以上に優秀で、僕もお揃いのやつを買おうと思っている。
1つ目はもちろん自分の為じゃないから使えない。2つ目は・・・自分の為ではあるけれども、生活必需品のようなものに使うのはちょっと違う気がする。はてさて、何を買おうかしら、と頭を悩ませている。
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昔だったら何を買っていたかな、と想像していた。
大学生の頃だったら、ディズニーランドに行っていたかも。夜行バスで、チケット付きで、1万5000円くらい。それから、パーク内で食べる食事とお土産で、だいたい3万円になりそうな気がする。
独身時代だったら、きっと洋服を買っていた。当時好きだったH&Mでボトムを1本買って2万円。余ったお金は、行きたかった飲み屋さんにでも2回行ったらとんとんだろう。
それがなぜか、今になると途端に難しい。いつもどおり、「北欧、暮らしの道具店」で買い物をするのもいいかもしれないと、カートに入れっぱなしの商品や、最近入荷されてきたものを覗いてみる。ラパーゼの揚げ鍋セットは欲しいけど、台所用品だから義母や妻との相談が必要だ。そういえば大木製作所のタワー型室内物干しは前から欲しかったし、ちょうど予算的にもいい感じだけど、それもなんか味気ないか。もうちょっと早かったら、ラプアンカンクリのショールがよかったかな。なんとなく、欲しいものは目につくけれど、これぞというものは見つからない。
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理由の一つは、あるもので足りているからなのだろうと思う。僕らの部屋は、ものに溢れてごちゃごちゃしているけれども、独身時代に比べれば、僕自身の持ち物はかなり減らした。洋服は同じ服を週に2回着るくらいの枚数しかないし、靴も冠婚葬祭用入れて10足ないくらい。本は妻の本棚の区画をちょっとお借りして、そこに入る分だけにしている(にもかかわらず、ちょっと侵略されている。これはひとこと言ってもいいと思う)。妻も本以外は物欲がほとんどない人なので、必要最低限、とは言わないけれど、あれば足りるだけで僕らは生きている。
あれば足りる分の中で、いらないものや足りないものが今のところないから、新しいものを買う余地がないのだろう。もしいらないものものとか、ちょっと困ったものがあれば、それに変わる何かを探すだろうし、それこそ足りなかったら買うと思う。現に狭くなったベッドを解消するために、先日子供用に二段ベッドを買ったばかりだ。そうではない欲しいものを探すのは、なかなか難しい。
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時代はモノ消費からコト消費に変わっているというのが、本当にそのとおりだと家族をみて実感することがある。
例えば、義母はまさにモノ消費の人で、モノを買うのが本当に好きだ。靴なんか300足くらい持っていると思う。洋服も本当にたくさんあって、僕ら4人の洋服の枚数よりも遥かに多い枚数の洋服を持っている。年に2回の衣替えには、ゆうに1週間以上かかっているのではないだろうか。モノ消費は彼女自身の所有物だけではなくて、例えば食品や日用品にも及んでいて、僕らは買いすぎないように忠告するのに時々苦労している。
義母より一回り若い僕の母も、モノ消費の傾向がある。例えば、母はバッグが好きで、僕が幼い頃は年に2回は新しいバッグを買っていて、父tに『またバッグ買ったの?』と何度言われていただろうか。今も実家に帰ると、ショッピングに連れて行かれる。父は本が好きで、本に埋もれて生きているくらい本を所有している。彼らもどうやら、好きなものについては、やっぱり所有することがステイタスなんだろうと伺うことができる。
一方、僕より一回り年上の妻は、先述したように物欲がない。かと言って、コト消費かと言われるとそうでもない。強いて言えば、好きな漫画は大量に所有していて(僕の本棚を侵略するくらいには)、何かをコレクションするのは好きだ。それから旅行先なんかでは結構お財布の紐がゆるいことがある。モノとコト、半々くらい、もともとあまりお金を使わない性格なのかなと思う。
そして僕の場合は、やっぱりコト消費にベクトルが向いている気がする。一番お金をかけるのは旅行や食事。旅行については、惜しみなくお金を使っていると思う。モノを買わないわけではないけど、たくさん持ちたいという気持ちはあまりない。誕生日に欲しいものを聞かれても、ひねり出すのに結構苦労する。
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そうすると、やっぱり旅行に回そうかな。なんて、もらった3万円をみながら、想像を巡らせてみた。大人がお年玉の使い道を考えるのは、なんとも難しい。僕がこの3万円の使い道を思いつくのは、もう少し先になりそうだ。
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僕の欲しい「北欧、暮らしの道具店」のものたちはこちら。
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