NZ life|除草剤
ニュージーランド生活59日目。
天気はれ。気温21度。夏らしくカラッとしてる。
除草剤を撒いた。
「芝生にはかからないように、邪魔な草だけに撒いてほしい」と言われた。邪魔ってなんだろう。わたしは道路やフェンスに沿って生えている草を、邪魔だなんて一度も思ったことがない。
同じように緑を艶やかせていても、芝生とそれ以外の草には違いがあるらしい。
聞くに、除草剤はあまり毒性のつよいものではなく、オーガニックなので、ある程度はやさしいらしい。誰に対してやさしいんだろう。
やさしいのに、ものの数時間で枯らせてしまう。やさしいのに、生きていたものを簡単に殺せてしまう。
やさしいってなんだろう、と思いながら、オーガニックの除草剤をひたすら振り撒いた。
邪魔だと言われた草たちに、洗礼のように、頭からやさしく水をかける。枯れますように、いなくなりますように、と祈りながら。
やさしいって本当は、残酷なのかもしれない。
夕方、洗濯物を取りに芝生へ向かう途中、枯れてしまった草たちを見た。ほんとうに、あっという間に枯れてしまうらしい。
枯れてしまった草花たちは、力無くそこに佇んでいたものの、根っこだけはぜったいに枯らすものか、と叫んでいるような気がした。
セピア色になってしまった邪魔な草たちは、そのまま古い写真の中に閉じ込められたみたいで、どこか美しかった。
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