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第一話:前夜祭から旅は始まる 〜出雲の神様から試練の詰め合わせギフトを贈られた話〜

「そうだ、出雲に行こう!」

ということで、行ってきました島根県!!

なんで出雲なの?っていろんな人に聞かれたけど、「行ったことないから」「たまたま思いついたのが出雲だった」っていう、捻りもこだわりも何もない、申し訳なくなるような返答しかできなかった。す、すまぬ。

出雲大社ってさ、10月になると日本中の神様が集まるって言うじゃん。八百万(やおよろず)の神がさ。
神様が集まる場所なだけあって、やっぱり不思議なパワーがある場所だと思うんだ。

だから生半可な気持ちでひょこひょこ訪れたらいけないんだと思うのね。(まごうことなき私の勝手な妄想による持論です)

一応神様の方でも、書類選考みたいなのがあってさ。「こいつは歓迎してやろう」とかなんとか言っちゃって...選考基準があるんだと思うんだよね。

それで多分、私、引っかかったんだよね。
「こいつ、どうしようかな!?」
みたいな。まさにグレーゾーン。
そこで神様は考えた。

「そうだ!こいつをテストしよう!」

そういうわけで私には、出発前夜から試練が玉突き事故のように次から次へとやってくる。もはや自業自得では?みたいなものから、そんなミラクル起きる!?ってことまで、「もう要らん!勘弁して!」ってなるほど味わった。最後の最後まで。

私の身に起きたことを聞いたら、みんなもきっと私と同じように

「神様って本当にいるなこりゃ」

って思うんじゃないかな。
そうじゃなきゃ私がただの...(あ、悲しくなるから言うのやめとこ)

さあ!それでは!!
嘘でしょってくらいの大量のハプニングにまみれた私の出雲旅行3日間を、とくとご覧あれ〜

※本当はひとつの記事にまとめたかったんだけど、あまりにも書くことが多すぎて...
出雲に着くどころか、途中の岡山にたどり着いたところで4500字を超えてしまった。ので、強制的に連載形式へ変更っ!
続きもぜひ読んでくれたら嬉しいな👉🏻👈🏻

出発前夜:すでに旅は始まっている

さて、出発前夜である。
荷物をまとめて、あとは朝、メイク道具を突っ込むだけ!という状態。準備は万端!!

しかしそうは問屋が卸さない。
出雲の神様はもうすでに、私に試練をロックオンしている。そして私はそれをまだ知らない。

天気予報を見ると結構暖かそうである。
なんせ私は晴れ女。先週まで曇り一色だった天気予報は、徐々に晴れマークに置きかわっている。
「歩きやすいサンダルで行こっかな。」と思い立ち、急遽下駄箱から引っ張り出すと汚れが気になった。よし、バケツに突っ込んでオキシ漬けだ。

さぁその間に腹を満たそう。
シラスご飯が食べたい。
レンジでご飯をチン。取り出す。

「あっっっっっつ!!!!!!!」

ラップの変なところに穴が空いていて、
人差し指を見事に火傷した。

痛い!!!!冷やさねば!!
運良く、以前やけどしたときに大活躍した「紫雲膏」という古来から伝わるやばそうな色をした魔法の薬があったので塗りたくり、薬があっちこっちにつかないように絆創膏で覆い隠す。

そしてシラスをご飯にかけようと、パックを開けた。
....指が痛くて力が入らない。(顔が濡れたアン◯ンマンみたいなこと言う)
えええーい!!

ッパーーーーーーーン!!!

弾け飛ぶシラス。
宙を舞い、大海を泳ぐことなく短い生涯を終えた小魚たちが今こそとばかりに空を泳ぐ。
ああ、なんてきれい....

なわけないだろ。
「ああああ!!!」って声出た。
華麗に飛び散った小魚たちは、好き勝手方々に散らばって床に着地した。

3秒ルールも間に合わない散らばりっぷり。
ため息をつきながら片付ける。ほぼ食べたけど。

ああ、忘れていた。サンダルを洗って干しておかなくちゃ。
どれどれ汚れは落ちたk

ガッシャーーーーーーン!!!!

え?何事?
つ、冷たい...

洗面所の際に置いていた私が悪いんです。
そのままあっち側に倒れてくれればよかったところ、見事にこちら側に倒れてきやがった!!!

はい、洗面所の床が水浸し。
ううう、さっきもどこかで床を掃除した気がする。うん、シラスだね。

なんでこんなことに!?
疲れてるのかも、明日からのために早く寝なくては。
床を拭き、サンダルを洗い、浴室乾燥機にぶち込んだ。
もう寝よう、準備も万端だから、大丈夫。

しかし、こんなものはまだまだ序章に過ぎないということに、この時はまだ1ミリも考えが及ばないのであった。

1日目:出発の朝

目覚めは良好、天気も良し!朝の準備も軽快に進んでいる。
昨夜の惨事などすっかり忘れ、気分は高揚、鼻歌なんかも歌っちゃって。
メイク道具も忘れず入れたし、アイロンも入れた。充電コードも忘れてない!!(忘れ物の定番、充電器)

よぉーし!出発するぞ〜!!

買ったばかりのお気に入りのピアスを装着し...

パリッ

!!??

え??????

そっと耳から手を離す。
私の手には耳にぶら下がっているはずの小さなお花のパーツがコロリ。

おいおいおいおい...!!!!

壊れたああああああああ😭!?

嘘でしょ!?嘘だよね!?
何度見ても私の手のひらには花が咲いている。
いや、花のパーツがこぼれ落ちている。

しばし時が止まる。
数秒間だったか、もっとあったか、もはや私の中では永遠に感じられたあの瞬間。

置いていくしかない!!(そりゃそうだ)

そこで私はファインプレーをする。
このピアスを買ったのはちょっとした知り合いの人からで、大事に使うと約束したから、報告しなくてはと思ったのだ。さっそく壊してしまってごめんなさい、って。あわよくばお直しをお願いしたくて。ちゃっかり者の晴れ女なんです、私。だから急いで壊れてしまった部分を写真に撮って、代わりのピアスを選んで装着し、急いで家を出た。

そう、私は新幹線に乗らなくてはならない。
飛行機で行く方が早かったけど、私はのんびりと列車の旅を楽しむことを選択した。
本が読めるからだ。
新幹線で岡山まで行き、岡山から出雲までは特急に乗る。合わせて6時間の長旅だから、読書好きな私には恰好の移動方法である。

その新幹線に乗り遅れてしまっては大変だ。
どうやら昨日からツキはあんまり良くなさそうだし...
うん、まだこの時は「あんまり」良くないと思ってるだけだった。ははは。

出かける直前のハプニングのおかげで、乗車駅の新横浜にはギリギリに到着した。
お弁当を買う予定だったが、その時間はなさそうだ。だけど岡山で乗り換えだから、そこで買えばいいか♪ちょうど着くのはお昼どきだし。

そう思いながら、新幹線に乗り込んだ。

ん?ここだよな??

手にした切符に書かれた座席番号と、
座席の上に書かれた番号を
行ったり来たりしながら確認する。
ついでに号車も...合ってるね。

合ってるけど...誰かいるよな、これ...

本と飲み物が置かれた私の座席、のはずの場所。
だけど当の人間がいない。
もしもし、透明人間ですか。

見渡してみてもそれらしき人物の姿はない。

人の流れに逆らって、私は乗降口へと向かった。
警備員のおじさんがいたからだ。
多分JRの人じゃないけどいいよね...
と思いながら

「あの...私の席だと思われるところに荷物が置いてあるんですが...人がいなくて...」

と伝えると

「一緒に行きましょう!!!!!」

と力強く答えてくれた。なんとも頼もしい背中にくっついて、私は再び先ほどの座席に戻ってきた。

おじさんが澄ました顔で鎮座している。
すごくすごく涼しそうな顔。

「すみませんがそちらのお席、こちらの方(私)のお席のようですが...」

と警備員さんがおじさんに向かって言うと
おじさんは飄々とした顔で

「あぁ!いいですよ!!」

と席をズレた。

私はそこそこに心が狭い人間である。
特に理不尽に対する器は、ネズミの爪先ほどの容量も持ち合わせていない。
打倒!理不尽!ダメ、絶対!

このおじさんの対応に、私はちょっぴりイラっとした。

いいですよ、って何やねん!
そもそも私の席だから!!!
当たり前な顔して座るな!!
お前の席はどこなんじゃい!!
むしろちゃんと切符持ってるのか!?

そんなことを心の中では思いつつも、実際は
「あの...ゴミは片付けてください...」
と指摘することしかできなかったチキンな私。
だって足元のゴミをそのままにしようとしてたから、それは私の中の正義が許せなかった。
偉いぞ、私。

警備員さんは、
「座れてよかったよかった」
みたいなオーラで去っていった。

私は窓側の席なんだけど、おじさんが頑なに立ち上がってくれないから席にたどり着くのに精一杯で、警備員さんにありがとうを言いそびれた。泣

なんだか腑に落ちないなと思いながら
新幹線の旅がスタートする。
おじさんは何故かこちらをチラチラ見てくる。
私の顔色を伺うように覗き込んでくる。
居心地の悪さ半端ない!!!!
楽しもうと思っていた読書も捗らない。
おじさんが京都で下車するまで、
私は集中できないモヤモヤと戦った。

その間に、ピアスを壊してしまったこととお直しをお願いするメールを送信。
可愛くてお気に入りだったから、どうしてもまた付けたい。
すぐに返事がきて、壊れてしまったパーツを送ってもらえることになった!ありがとう!!!
嫌なことが続いてささくれ立っていた私の心に、一筋の光が差し込んだ。

ホッとしたのとおじさんがいなくなったのとで
京都から岡山までは読書がとても捗った。
これよこれ、私がしたかったのは!

私が旅のお供に選んだのは、
宮部みゆき『模倣犯』
これがもう最高傑作すぎてね。
ここでは語れないけどいつか語らせてもらうよ絶対に。

そんなこんなで岡山に到着すると、私はすぐに駅弁屋を探した。
だって、お腹が空いて力が出ない...
(またアン◯ンマンみたいなことを)

駅弁屋さん、発見〜!
前でサラリーマン2人が大量のお弁当を受け取っていたので、後ろで待つ。
すると私の後ろにも人が。白杖の男性とその補助をしているであろうJRの駅員さんだ。
前の注文はなかなか終わらない。
奥からもう1人店員さんが出てきて、大量のお弁当を2人で捌いていた。
ちょっと落ち着いた頃合いで、店員さん2人のうち1人がその場を離れて次の注文を受けそうな雰囲気になったので、2番目に並んでいた私は注文しようと半歩前に出た、その瞬間。

「◯◯弁当をひとつ!」

後ろから飛んできたクソでかボイス。

え?

あ、あなたは...
補助についてたJRの駅員さん!!!!

そんな綺麗な横入りってある?
横入り選手権の芸術部門、見事優勝レベル。

びっくりしすぎて
「え!!!」って声が出た。
お店のおばさんも、飛び出そうな眼球を辛うじて頭蓋骨に収めている私の表情を見て、ことの次第に気がついた。

「ごめんねぇ!」と謝るおばさんに
JRの駅員さんの放った一言が衝撃だった。

「あっはっは〜いいですよ、どうぞどうぞ、こちらは急いでませんからっ!!!!」

は!?じゃあ何で抜かしたん!!??
てか急いでるか急いでないかは白杖のおじさんが決めることでは!?

やっと晴れたはずのモヤモヤが、新たなおじさんによって再び現れてしまった。

なんでどいつもこいつも
「自分が譲ってあげた」目線なんだ!!!

私の心も狭いけど、おじさんたちのナチュラルな理不尽行動もよくない!悪気がなければいいってもんじゃないんだよ。ぷんぷん。

もう、今日はやっぱりついてないな。
大丈夫かな、とにわかに不安が募ってきた。
思い返せば昨夜から、いろいろ起きすぎでは?

まあまあ、旅のスタートからイライラしたらせっかくの時間が勿体ない。さっさと忘れて楽しもう。私の気持ち次第!意識して気分を切り替えた。

岡山から乗るのは「特急やくも」という列車だ。
全席指定の特急列車、出雲までは約3時間。
今度こそ、お弁当も食べて本も読んで、楽しい列車の旅にしたい。

そんな私のささやかな楽しみは、発車後すぐに打ち砕かれることになる...

...次回「特急やくもに気をつけろ!」

(つづく)

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