言霊
あるのかもしれないなと思った。
少し前に同い年の営業の女の子が寿退社した。
地元の同級生と結婚し、地元に帰ることになった。
彼女はとにかく仕事を辞めたいからと常々「わたし寿退社するんで!」と高らかに宣言していた。
寿退社っていちばん綺麗な退社方法だもんねえ。
そのため、実際に寿退社を伝えられた時に全員が「おめでとう」よりも先に「マジか」となった。
はじめて、言霊ってあるのかもしれないなと思った。
私もさっさと岡田将生と結婚して、さっさと寿退社する。
監査の前に是が非でも。
それ以来弊社では空前の言霊ブームが巻き起こっている。
みんな、○○に旅行に行く!○○を買う!とことあるごとに宣言している。
なんならアイス食べる!ドーナツ食べる!今日は定時で帰る!なんて、ご自由に、、となる願望も全てみんな言葉にしているおもしれー女とおもしれー男。
可愛い。ラブリーキュートファビュラス。
その波にイマイチ乗れないでいるのが、晴れて正式に最年少ガールになった私だ。
ぼんやりとあれ食べたいなぁとか、旅行行きたいなぁとか思うことはあれど、叶えたいことってそんなにない。
そりゃ岡田将生と結婚はしたいし、佐野くんに老後車椅子押してもらって桜の下をお散歩したのち3万円くらい握らせたいけど。
そういうのじゃなく、実現可能な範囲での願望というか。
贅沢な暮らしではないけど、毎日ご飯を食べられて、毎日安心して眠れて、子供の頃からは想像ができないほど幸せな暮らし。
大切にしてくれる人も大切にしたい人もいる。
きもちが満たされないまま眠る夜もあるけれど、満たされて幸せなまま眠れる夜もある。
強欲なんだけどな、ほんとは。
でも、だって、結局、そんな言葉を引っ張り出して言葉の頭に被せちゃうからかな。
そんなださい帽子脱がせちゃえばいいのに。
わたしも何か叶えたいことがあったら、積極的に宣言しよう。
とりあえずこの夏は日焼けをしない夏にします。
あと、痩せたい。
それにしても、友達のような存在が遠くへ行ってしまう。さみしい。
これから先、誰がわたしと、iHerbの送料節約のためにまとめ買いしてくれるの。
誰がわたしと、おすすめコスメの紹介しあいっこをしてくれるの。
誰がわたしと、恋バナをするたびになんで毎回そんな男ばっかり寄ってくるの!?とぷりぷり怒ってくれるの。
誰がわたしと、味の安定しない安いハイボールを飲みに行ってくれるの。
誰がわたしと、カフェ巡りしよ〜と言いながら結局昼飲みしてくれるの。
誰がわたしと、ボスの愚痴言いながらお菓子パーティー(残業)してくれるの。
ああ、さみしい。
うれしいけど、さみしい。
さみしいけど、とってもうれしい。
結婚おめでとう!!!!!!!!!
末長くお幸せに!!!!!!!!!