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忘れられないあいつ

一般的な人は過去に付き合った人と友達に戻ることが多いのだろうか、はたまた縁を切って二度と連絡を取らないことが多いのだろうか。

学生時代に付き合った相手の場合、友人とのグループ交際の繋がりから友達に戻ることも多いかもしれないね。

そんな私には忘れられない元カレがいる。

未練があるわけではない。

高校生から大学生にかけて付き合った相手だったので、同級生としてなんとなーく生存は確認できるものの連絡を取ったりはしないし交友関係の範囲も被るわけじゃないから二度と会うことはないと思う。

LINEは繋がっているけど、連絡は取らないし消すこともない無の関係。

そんな彼のことをなぜ忘れられないのかを考えてみた。

私と彼の出会いは同じ学校、だった。

彼は自然と周りに人が集まり、女子からは意外とモテる存在であった。

"意外と"というのは失礼な話だかイケメンというわけではなかったから。

「じゃあ何でモテるの?」

と聞かれれば文才があったからだと思う。

彼は当時流行っていた前略プロフィールやmixiでよくブログを書いていた。

もちろん日常的な会話も面白いが、文章にするとより天才的な力を発揮するので、そのブログに対して学校内で多くのファンがついていた。

モテている部分はそこが大きかったと思う、面白かったし。

かくいう私も彼のことが気になり、ひそかに想いを寄せていた。


じゃあそんな彼と付き合えたのになんで別れたの?、と言われれば

一度は誰もが経験したことがある

欲しいと思って手に入れたけど、手に入れてみるとなんか違った

から。

お店で見つけてかわいい!と思ったヘアアクセを買って付けてみるとあんまり似合わなかった、みたいなね。

彼に対してはそんな感じなのだ。

思ったのと違った、というよりは"近くにいるより遠くにいるほうが美しく輝いてた"というほうが正しいかな。

彼の光輝く文才だけが彼のすべてだと錯覚していたけど、人間味が見えてしまったといえばいいのだろうか。

近づくことによって文才以外のいろんなところが見えてしまったという感じ。

でも一番付き合って楽しかったし、面白かったし、付き合ったことに後悔はない。ただ付き合わずに彼のファンとしているほうが自分に合ってたというだけ。

しかし残念なことに昔はブログやSNSを更新してくれていたけど、今は文章を発信していないから彼の文章を読むことができない。

ストーカーじゃないけど好きな作家の本を読むように彼の文章が欲しくなる時がたまにあるのだ。

付き合っていた時、彼の押し入れにしまわれている小学生からの日記、元カノとの手紙、彼が作った創作ストーリーを読むのが好きだった。

あんなに文才があるんだから作家にでもなればいいのになー。

今はどんなことをしてどんな人生を歩んでいるのだろうか

まあそんなことはどうでもいいのだが彼の文章が読みたい

これが忘れられない理由。

好きな作家が新作を出してくれない気分。


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