付き合っていないのに「好き」と言い続けた結果。
2021年、20歳の夏。好きな人ができた。
出会いは同じバイト先。大学3年の私が先輩、彼は大学1年の後輩、という関係。
5月くらいに彼が新人さんとしてやってきて、お互いひとりが好きなことをはじめたくさんの共通点があり意気投合。
この夏、一緒にいろんなことをしたけど、どの日もひたすらよく歩いた。彼とは歩いているだけで幸せで、どこまででも歩いていけるのだ。
ここだけ見るとどう見ても付き合っているんでは??と思われるような内容だが、付き合っていない。
だけど私はきっと会うたびに彼に「好きだよ」と言っていたと思う。
理由は簡単。好きだから。
感情表現が苦手で無口な彼だけど、素朴で毒がなくて奥深いところに惹かれた。
最初は人間としての好きだったけど、いつしか恋愛感情として好きになった。
好きだから「好き」と言うのである。
言われた彼はいつも凄く恥ずかしがって下を向いて黙り込んでしまう。
そんなところも大好きで、凄く愛おしい。
だけど相手からも「好き」って言ってほしいという気持ちは一切なかった。自分が好きだと思うから勝手に伝えたいだけだし、付き合いたい、とか彼氏になってほしい、とか、なぜかそういう考えもなかった。(恋愛感情はあるのにこの謎な気持ちについてはまた別に書こうと思う。)
だから言えるだけで満足してたし、一緒にいるだけで幸せだった。
でも段々と、彼からの好意も感じるようになった。
何よりもひとりが好きなのに、誘うと絶対会ってくれるし、会った日の帰りは必ず彼から次会う予定を提案してくれるし、会ったときの細かい部分で思いやりを感じた。
彼は言葉じゃないんだな、と思った。言葉は大事だけど、行動から感じる彼の好意は私にとってとても心地が良くて、私も彼のことを大切にしたいと思うのだ。
彼のいいなって思うところを探して見つけてさらに好きになっていくのである。
お互いがお互いを好きだということを感じながら、このままはっきりとはさせずに一緒にい続けるのもありかもな〜と思いつつ。
とある公園で寝転がってた日の夜のこと。
いつものように「好きだよ」って言う私。
いつものように恥ずかしがって顔を隠しちゃう好きな人。
私が彼の手に触れると彼も握り返してくれて、しばらーーくして起き上がった彼が、もう本当に振り絞った小さな声で「自分も好きです」って、言ってくれた。
初めて「好き」が行き交った夏の夜のこの日を忘れないでいたい。
その日の帰り道は初めて恋人繋ぎをして帰った。
彼は「言って良かったです」って言ってくれた。後悔させたくないなと思う。
20歳でこんな青春を送れるとは思わなかった。人生で一番楽しい夏になった。
こんな残りの大学生の恋愛を、これからここに残していきたいと思う。