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1度目の引越し

フランスのリヨンに滞在して3週間経とうとしたある日、

ホストファミリーが夜遅くなる、ということで、

自分たちで夕食を作らなければならなくなった。

いつもは、簡単な夕食をマダムが用意してくれるんだけど、

その日は、ホームステイしていた私たち3人で作ることに。

冷蔵庫の中にあるもので作っていい。

と言うマダムの指示で、鶏肉をオーブンで焼いたものと、野菜もいっしょに入れて焼いて準備した。

卵を使おうとしたら怒られたので、『?』と思ったが我慢することに。

食材はそのくらいしか使わない、とてもシンプルなものだった。

がしかし、帰宅してきたマダムは、

どうしてこの野菜を使ったの?とか、

なぜお肉を食べたの?とか、

意味がわからず怒鳴り散らした。

っていうか、本当なら、自分が用意するべき夕食でしょ!

って思っていた。みんな。。

私は、そこに滞在してきてからの3週間、

他のことでも不満を感じていた。

シャワーは15分で終わらせること。

顔を洗うのも、みんなに迷惑がかからないように、すぐ洗面台をあけて!と。

そんなことも重なって、私は、他の留学生がいる前でとうとう切れてしまった。

「あなたね、ホストファミリーのくせに料理も作らず、ましてや食材を使うな、って、私たちお金払ってここに住んでるのよ!

しかも、初めは自分ひとりだけの留学生だと思ったら、それも隠してたじゃない。もういい、夕食はいらないわ、明日学校に行って事情を説明するから」

そう言い放つと、急に態度を変え、弁解し始めた。

「いや、卵も、この野菜も食べていいわよ、好きなもの食べてちょうだい。」

いやいや、私は、ホームステイ代を返してもらうことで頭がいっぱいで、もうその日は部屋から出なかった。

翌日、学校の事務局に向かうと、

同じステイ先の日本人女性と一緒に昨日の事情を説明し始めた。

事務局の女性は、すぐに事情を納得してくれて、

次のホームステイ先を探すから荷物をまとめる準備をしといてね。

と言ってくれた。

授業が終わると、すぐに事務局の女性に呼ばれ、

その日のうちにホストファミリーを見つけてくれた。

帰宅してすぐ、荷物をまとめ、

同じステイ先の日本人女性と対策を練った。

その彼女も、まもなくその家を引っ越しする予定だった。

ダブルでダメージをくらうホストファミリー。

自業自得だ。

お金に困って始めたホストファミリーなのに、

自分の勝手な言い分で、優しさのない対応をした罰だ。

心残りなのは、韓国人女性を置いていくこと。

彼女も早くそこから出たい、って言ってたけど、

学校が違うので、力になることができなかった。

そして、私は、その日メモだけ置いて、新しいホストファミリーの元へ引越しした。

まだ1ヶ月も経ってないこの地で。

というより、自分のフランス語にも感心した瞬間だった。

フランス人と互角にやりあった。

まあ、山の上のバスで通学する不便さも

私のフランス生活を退屈なものにしていたので、

いい機会だと、ポジティブに思うことができた。

どこにいても、自分の意見を口に出して言うことは大事だと痛感した。

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