フランスでの山の上の自宅は、遮断された世界
8月からパティスリーでの勤務のため引っ越しした山の上の新居。
早朝から出勤のため、やむなくお店の近所に引っ越さなければならなかった。
山の上の不便な小さな町。
時々訪れるくらいならいいかもしれないが、
暮らすとなると、お店も少なくて不便。
なぜかパン屋は3つもある(^^)
そんなこんなで暮らし始めて初日から問題にぶち当たった。
大家さんは、アパートの建物の1、2階に住んでいるから
何かあればすぐに話ができていいんだけど、
なかなかムッシュと話する機会がない。
仕事でほとんど家にいないからだ。
初日の問題というのは、wifiの問題。
自分の部屋にwifiを引くとなると、相当な時間とお金がいる。
だから、wifi付きの部屋を借りたのだ。
なのに、繋がらない。
どこにwifiの機械があるんだろう?
下の階に降りて聞いてみた。
すると、娘さんが在宅で対応してくれた。
2階のこの辺りにあるんだけど、、、
と、2階の部屋に消えていったけど。。。
ちょっと待って?
2階から3階の私たちの部屋にwifi飛ばしてるの?
フランスの、大家さん宅の壁は見るからに厚く、
2階からwifiが飛んでいたとしても、ほんのわずかだ。
部屋に戻って試しても全く繋がらない。
何とかして欲しい。と伝え、ひとまずその日は帰宅した。
その日は結局繋がらず、誰にもメールを送ることも受け取ることもできなかった。
次の日、また大家さん宅に伺い、ムッシュ本人と話できないか試した。
がいない。
娘さんじゃ話にならないし。。今日は奥さんが出てきた。
これまた、娘さんと同じで、wifiの機械がある部屋に消え、
電源を切ったり入れたりして様子を見てくれた。
けど、いくら距離が遠いから無理だと思うと伝えたところで、
自分たちは使えてるから使えるはず、試してみて!
と言って聞かない。
仕方なく部屋に戻るが、全くビクともしない。
窓を開けて試したり、部屋の中のどこかで繋がるかも。。。
と試してみたり。
疲れ果て、2日目も諦めた。
世間と遮断され、寂しくなっていく。。
さらに、ほかの住人たちにも助けを求めた。
階段を下りる途中の掲示板に、だれかwifiの使い方教えてください。
と。
まだ、住人の中に、これから勤務する同僚がいるとも知らず、
思い切って投稿した。
反応なし。。
そうして、インターネットが使えなくなって5日経って、山を降りた。
マクドやカフェでwifiのためにお茶をする日々が続いた。
自宅の敷地は、森に囲まれているのもあり、
さらに電波が悪いらしい。
そんな閉ざされた生活にほとほと疲れた。。
学校も仕事もないわずかの10日間くらいを、
満喫する暇もなく出勤初日を迎えた。
そこで、同じアパートに住む同僚に出会うのだけど、
それに気づいたのは2、3日経ってから。
たまたま自宅方向に消えていく男性がいて、
敷地に入る大きな門を開けようと思ったら、そこで待ち伏せていたのだ。
びっくり。
すかさず、質問してみた。
でも、彼は、携帯会社で契約しているからwifi関係ない。
っていうではないですか。
私だけが、大家さん宅から飛ばされるwifiを使っていたのだ。
(というか、実際は使ってないけど。。)
ショック。でも、同僚は、何かあったら相談に乗るから言ってね。
と優しく対応。嬉しい。もう、それだけで救われた。。
諦めた。
仕方ない。この不便な生活に慣れるしかない。
毎日、仕事が終わると、自宅近所にwifiが使える場所がないか探検した。
そして、やっと見つけたのが、近所の図書館に設置してある数台のパソコン
ご自由にお使いください。
だって。。嬉しい。
図書館がある場所は、アラブ街の真ん中にあるんだけど、
郵便局やスーパー、公園なんかもあり結構賑やかな場所。
昼間なら危なくないし、いいかも。
満足。いちいち外出しなきゃいけないけど、
使えなかった日々を考えるとなんて便利なの。
と思えるくらい幸せになった。
日本にいると、不便なことなんてほとんどなかったから、
ちょっとした不便にぶち当たると、そのありがたさがわかる。
wifiもそうだし、エレベーターやエスカレーターなどもそう。
だって、大きい荷物持ってたり、障害を持ってる人にとっては、
エレベーターやエスカレーターってあって当然でしょ?って思ってたけど、
フランスって違うんですよね〜。
障害者の方に対しても、そんな甘やかさない。
そのかわり、優しい人がいつも手を差し伸べている。そんな世界。
重い荷物を抱えて駅の階段を下りるとき、
必ず誰かが助けてくれた。本当優しい人たち。
自動販売機で飲めるジュースや、コンビニとか当たり前だと思っていただけに、
日曜は閉まってしまうスーパーに腹を立てたことも何度も。。
でも、そういうのが当たり前なんだ。と思えるようになると、
今まで、甘やかされてたんだな、日本の生活に。
って、反省と感謝をするようになった。
週に何度か図書館に通うようになって、インターネットが使えるようになると、
時々部屋でwifiが繋がるときも出てきた。
本当、運試しみたいな感じ。
窓のそばとか、入口近くとか。
そうやって慣れた頃、たまたま大家さんにばったり会い、
wifiの調子を聞かれたんだけど、
部屋ではほとんど使えず、お店などでwifi使ってると話すと、
「そういえば、何個か部屋空いてるから、wifi繋がる部屋がないか試してごらん」
と言われた。
お〜ラッキー。引っ越し?ではないが、お部屋引っ越しできるんだ〜。
はい、試してみます。
とチャレンジ。斜め前の部屋がいい感じに繋がる。
きっと、2階のwifiの機械がある上なんだな?
ということで、部屋の引っ越し。
まさかの引っ越し。
模様替えしたみたいな感じで、いい気分転換になった。
が、やっぱり、運が良かっただけだったのね!
壁の厚さは変わらない。
チャレンジしたそのタイミングが良かっただけで、
新しい部屋も時々ネットに繋がる程度。
安定していなかった。。ショック。
もう、いいわ。。諦める。
そうして、不便と共存することに決めた。
たくましくなるわ、ほんまこの国。