フランスの同じ職場に入ってきた日本人女性
そうそう、前回の記事でお話しした日本人女性。
いきなり登場させてしまいましたが、
山の中の小さな町でも、日本人はいるのです。
というか、私が8月に働き始めた時には、
全く職場に日本人はいませんでした。
ただ、同じ職場で働くフランス人男性の奥様が、日本人女性で、
しかも、お店のすぐ前に住んでいました。
半径100m以内に2人も日本人が住んでるだけで、凄くないですか?
世の中狭いな〜って思っていたら、
10月くらいから、20歳くらいの日本人女性が職場に加わることになったんです。
彼女が勤務する何日か前、同僚のコロンビア人女性が教えてくれました。
日本にある辻製菓専門学校というお菓子の学校のリヨン校が
お店の近くにあり、
授業の中に組み込まれている現地のお店の研修プログラムで、
毎年、何ヶ月間かこのお店に研修にやって来るらしいのです。
なので、4ヶ月間は一緒に仕事をすることになっていました。
久々に日本人に会って話しができるとあって、
少し楽しみにしていたんですよね〜。
だって、年齢はめっちゃ上でも、
私はこの職場では新人扱い。
だから、本当の新人さんが入ってくれば、ちょっとは私の負担も軽くなる?
と思いつつ、まあ、そんなに職場で辛い目にあってるわけじゃないので、
大した違いはないんですけどね。
気持ちの問題なだけで。。笑
彼女が勤務スタートする日、他のみんなも、
「日本人だって、ちゃんとやさしく色々教えてあげてね〜。」
って茶化してきて。。みんなソワソワ。
そして、みんな優しいんです。
もちろん、私が知ってる出来る限り全てを教えてあげるつもりだし、
どうやってうまく乗り切るか、軽く受け流すか、適当にかわすか。。。
などの秘訣を、日本語で伝えようと思っていました。
ラッキーなことに、当時日本語を理解できる同僚はいなかったので、
ストレス発散したいときは、日本語で愚痴っていいよ。
って、アドバイスも付け加えて!笑
フランスで生活する、フランス人に溶け込む、フランスで生き抜く、
これらの秘訣は、あまり深く考えないこと。
そして、自分の言いたいこと、思っていることは、
わかるように表現すること。
たとえ間違っていても、黙っていては、何を考えているのか伝わらない。
黙ることだけは、やってはならない。
日本人は、それを1番やってしまうんですが。。
それをまず伝えました。
そして、彼らは、仕事中は、まくしたてるように話すけれど、
それは忙しいからであって、嫌いだからではないんだ。
ってことも付け加えておいたんです。
私がこの職場で働き始めて最初に悟ったことなんで、
まず、それは理解しといた方がいいな。って思ったのでね。
「絶対、嫌われてるから、強い口調で言ってくるんだ。」
って、日本人なら誰でも思いそうだったから。
でも、私、何故だか、彼らは日本人ほど複雑ではないって、
最初に感じ取ったんです。
凄く単純な人たちだな。。って。笑
だから、忙しいときは何を言われても、
「はいはい今だけね〜」
って頭の中で切り替えできて。。
案の定、忙しい時間が過ぎると笑顔と優しさが戻る。
まあ、彼らもまだ若いっていうのもあったので、落ち着いて見守ることができましたが。。
そんな感じで、彼女の研修はスタートし、
ちゃんとポジションごとにマンツーマンで教えてもらえて、
羨ましいな。。と思って見ていました。
だって、私、毎日、誰の元でサポートに入るのか決まってなくて、
その日にならないとどのポジションで何をするのか分からないから、
ずっと同じ作業を続けて教えてもらえて、
覚えることできていいな。。って。
でも、私のポジションは、それはそれでいろんな新しいことを教えてもらえて
新鮮で、チャレンジングで楽しかったですけどね。
そうして、1ヶ月くらい経ったある日、
急に泣き出した彼女のそばで、
私と同じ建物に住む同僚が、悲しそうな顔をしているのが見えました。
コロンビア人の女性もすぐ駆け寄っていって話を聞いているようでした。
コロンビア人の彼女は、私に助けを求めに来て、
日本語で事情を聞いてくれないか?と頼んできたのです。
日本人の彼女は、何を聞いても、「いや、何もありません。」
と泣きながら言うんです。
それを同僚たちに伝えても、「いや、それはおかしい。じゃ、なんで泣いてるの?」
と不思議がっていました。
そりゃそうでしょ、私も、何もないわけはない、と思いましたが、
言いたいことは、言わなきゃ分からないし、責めてるわけでもなんでもない。
フランス人の同僚のその気持ちがわたしにはわかるので、
彼女にも、それを理解してほしいと、一生懸命伝えました。
が、何度言っても、彼女は責められてる、嫌われてる。
と感じていたようでした。
そのまま伝えるのは、彼に非があると感じるかもしれない、
ととっさに思ったので、私は、次のように伝えました。
「彼女は、彼から教えてもらう時に、言われていることがわからない時があるけれども、分からないと答えると怒られるかもしれないから黙ってしまって泣き出したんだ」と。
彼女もまた、典型的な日本人だったので、
慣れないフランスでの職場でも、自分の言いたいことが言えず、
伝わらず、黙ったまま抱え込んでしまったのです。
いや〜、元々私は大人しいタイプの日本人ではなかったので、
その気持ちがよく理解できなかったのですが、
彼女曰く、日本でまだ働いたこともなく、
初めて働くのがフランスだったこともあり、
また、フランス語もあまり話せず、
緊張してどんどん話すのが怖くなったらしいのです。
とにかく、彼らに裏の心はない、言い方の問題はあるだろうけど、
彼らは、みんな優しいし、嫌いだなんて思ってないよ。
と言い聞かせました。
実際そうだったからです。
単なる被害妄想というか、負の連鎖なんだと思うんですけど。
話が伝わらなければ、私を使えば彼に伝えることもできるし、
逆に、私が教えることもできるだろうし(わかる範囲で)。
やはり、口に出すしか方法はないんです。
分からない、とか、ここが理解できない、とか。
フランス語がまだよく話せないから、もう一度言ってもらえる?
とか。
なんでもいいから、理解しようとしていることをアピールすれば、
彼らもなんとかしようとするはずなんですよね。
言葉の問題だけではなく、
相手を理解しようとか、コミュニケーション取りたいとか、
そっちの問題な気がするんです。
この日、彼女はずっと泣いたまま仕事を続け、
次の日は病院に行くと言ってお休みしました。
結局、彼女から聞いたのは、左の耳が聞こえなくなった。
という病院の診断でした。
いわゆる「ストレス」の症状だったわけです。
私が羨ましい。。と思ったポジションが、
彼女にとってはストレスだったなんて。。
私は、帰国するまでの間、行きたかったそのポジションにつくことは、
一度もありませんでした。
本当残念ですが、彼女が今でも羨ましいです。。
その週、彼女は出勤せず、
次の週は、何日か出勤しつつ、社長に呼ばれ、
そのポジションの彼も呼ばれ、何か話し合った様子でした。
結局、それ以降、彼女は出勤しなくなりました。
クリスマスの特別な時期を体験することなく、
別のパティスリーに移動した、と聞きましたが、
それもつかの間、帰国したそうです。
とっても残念です。
人によって、同じ作業をしていても、
受け取り方、解釈の仕方で、
ポジティブにもネガティブにも現実が変わるんだな。。と。
私はどんな状況でも、両面あるうちのポジティブな面を見ることができて
幸せだったな。と思いました。
いや、そっちの方が断然楽しいでしょ。
嫌な人も中にはいましたけど、
そこにフォーカスしてたらどんどん嫌いが大きくなっていくのがわかってるので
嫌いな人がいたとしても、その人の存在は私の中では消してました。笑
だから嫌いな人はいませんでしたね〜。
本当、その職場が楽しかったです。
小さな町に日本人が3人。
それから、11がつになってまた1人、日本人女性が加わりました。
さて、どんな女性かしら!