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札幌市の文章講座の講師になる井の中の蛙。

どこの街にもあるかもしれないが、札幌市には「ご近所先生企画講座」という一般市民向けの講座が開設されている。

これは、札幌市の「生涯学習センター」という部署で企画されているもので、札幌在住の方であれば、誰でも何らかの講師になることができ、一般市民向けに専門の講座を開くことができるというものである。


ここで、講座の一例を挙げると、

・お琴教室
・生け花教室
・はじめての韓国語講座
・60代から始めるスマホ教室
お年寄り向けが多いのが特徴


のように、札幌市民の生活になんらかの潤いを与えるべく、毎年札幌市内の各施設で開催されているのが「ご近所先生企画講座」である。



また、一風変わった講座も開設されており、

・尺八でアメイジンググレイスを奏でよう

・ポールマッカートニーの軌跡

などの不思議な講座もあるのが特徴だ。



ご近所先生になるためには、
特別な資格も肩書も必要ない。


なんらかの経験や、それを社会に還元したいという気持ちがあれば、企画書を作成して応募することができる。その企画書を札幌市が精査し、合格すれば、晴れてあなたも「ご近所先生」というものである。


さて、


かくいう私も、この札幌市公式の「ご近所先生」として、この春から「文章講座」を開設することになった。


マジで井の中の蛙。


というわけで、

今日この記事では、なぜ私がこんなことになったのか、その理由と経緯を書こうと思う。

れっつ!ご近所!!!


1.なぜご近所先生に申し込んだのか

ある日、会社の後輩2人が私の席へやってきて、

「会長! ご近所先生になって、
 マネー講師やりませんか!」


というアイデアを持ちかけてきた。

かわいらしいことに、彼らは私のことをなぜか「会長」と呼ぶ。「いや、会長じゃないから」と言っても「いえ!僕たちにとっては会長です!」と言って聞かない。


私たちは生命保険外交員であるから、ご近所先生になって、一般市民向けにマネーセミナーをやれば、そこに来てくれる方々がいわゆる「見込み客」になりうる、という魂胆である。



「ご近所先生ってなあに?」

「誰でも講師になれるやつです!
 知り合いから聞きまして!」

「すっごく良さそうだね」

「ご近所先生の説明会が今度、宮の沢の"ちえりあ"であるので、会長も一緒にいきましょう!」


"ちえりあ"とは、札幌市宮の沢にある、
札幌市の文化交流施設のこと。
札幌市生涯学習センターHPより


「とりあえず、行ってみますか!」

「さすが会長! 行きましょうぞ!」

「わっはっは!」

こうして私は会社の後輩2人と一緒に、ちえりあで開催される「ご近所先生講師候補説明会」に参加することにした。土曜日である。


2.営利目的で申し込んだけれど


マネーセミナーの講師になるべくご近所先生の説明会に参加してみると、どうやら営利目的の企画はNGらしかった。


そりゃそうだ。


札幌市が特定の企業と組んで、一般市民を金融商品に勧誘するという営利目的の企画だと、さすがに筋が通らない、という理由である。


「会長…すいません、これだとムリですね」

「さすがに営利目的はダメみたいだね」

「マネーセミナーは諦めましょう、会長」

「それは諦めてもいいとして…でも、このご近所先生って、すごくいいものだね」

「え、そうですか?」

「だって、誰でも自分の得意を活かして、誰かに何かを教えられるってことでしょ?」

「そ、そうです」

「じゃあ、別に営利目的とか考えないでさ、仕事は関係なく自分がやりたいことで企画を作れば、人生楽しくなりそうじゃない?」

「か、か、会長!」

「俺、申し込むわ」

「ア、アイデアがあるんですか!」

「おれ、文章が好きだから、エッセイの書き方教えたい」

「エ、エッセイですか!」

「そう、エッセイ」

「〇〇君も、○○君も、何か得意なことあるんじゃない?」

「会長! それはいいですね!!! 考えます!」


なんだろう、三蔵法師にお供する孫悟空、猪八戒、沙悟浄のような、そういうかわいらしさが彼らにはあるぞ。


と、いうわけで、後輩2人もご近所先生に申し込むこととなった。私はエッセイについての講座だが、彼ら2人も一生懸命に自分の得意なこと、好きなことを考えたらしい。彼らの講座がどんなものかというと、

後輩A:誰でも一緒にパンプアップ!筋トレ講座!
後輩B:Youtubeの見方!おススメYoutuberを語り合おう!



「会長!僕たちはこれで申し込みます!」

正直、少しだけ苦笑いの企画だが、
応援したいゾ。


3.ご近所先生になるためのプレゼン


ご近所先生になって、講座をスタートするためには、以下のようなステップを踏む必要がある。

[1]企画書を作成し、ご近所先生に申し込む

[2]企画書をもとに、札幌市職員にプレゼンする

[3]札幌市が企画を精査する

[4]合否連絡がくる

[5]講座開催日程を決め、講座受講生を募集

[6]最低人数が集まれば、スタート

毎年、応募が多数あるので、申し込んだからといって、必ずご近所先生になれるとは限らない。


私たち3人はそれぞれで企画書を作成し、札幌市職員に別々にプレゼンした。

また、"ちえりあ"に行くのである。

またここに行った



私も当然プレゼンした。


・文章を作ることがどれだけ楽しいか

・誰かの経験は、
 日本のどこかにいる人のためになる

・主婦、シニア層ほどやった方がいい

・文章を書いてnoteなどに投稿する

・その基本的なやり方を私が教える

・なんなら参加者さんからも学びたい


どれだけこの講座が必要かを熱く、熱くプレゼンした。営利なんて考えない。なんなら、机をたたいて説明してしまったかもしれない。それだけ私は文章の可能性、いや、個人の情報発信の可能性を信じているのである。


私のプレゼン後、札幌市職員の丸本さん(女性/仮名)からは、

「すっごくいいですね! では、合否については1か月後に郵送でお知らせします! 応募者が多数いますので、ご期待に添えるかは確約できませんがご容赦くださいね!」


と、にこやかに言われた。

後輩2人も手応えがあったらしい。


「会長!我々はこれでご近所先生ですな!」

と言っていたので、

「まだ決まったわけじゃないよ」

と3人でワハハと笑った。



1か月後。


札幌市からの郵送物が自宅に届いた。


受かった。


うれし。


なにこれ、大学受験で小樽商科大学に合格した時よりもうれしい。ある日突然ヘッドハントの連絡がきた時よりもうれしい。日本代表がスペインに勝利したときよりは嬉しくない。


となると気になるのは、
後輩2人がどうなったかだ。

LINEしてみた。



「ご近所先生、どうだった?」


彼らから返信が来た。


後輩A「会長、パンプアップ企画、ダメでした」



後輩B「会長、Youtubeは誰でも見てるみたいで、ダメでした」




私だけがご近所先生になっちゃった。



というわけで、札幌在住の方がいらっしゃれば、2023年5月から毎週の全5回。札幌市豊平区民センターでお会いしましょう。


私を担当してくださっている札幌市職員の須山さん(男性/仮名)も「noteで事前宣伝してもOK!」と両手でOKサインを出してくれた! やさしい!


講座の最低人数は7名、上限人数は20名らしい。


なお、応募はまだ出来ない。

応募解禁は2023年1月23日かららしい。

応募が出来るようになったら、
またここでお知らせしたい。



一応断っておくが、この札幌市の「ご近所先生」は「相互の学び合いの場」という基本理念があるらしい。GOOD!

私なんてただのカスだし「先生」なんておこがましい。ほぼ道楽でやることだから、これで稼いだろ、という魂胆もない。趣味だ。逆に、参加者さんから素晴らしい文章の書き方を学びたい。これがまだ見ぬどなたかの、何かのきっかけになればな、と願っている。




で、後日、後輩2人から言われた。



「会長! その講座!
 僕たちも受けていいですか!」




いいに決まってるよ。

一緒に学び合おうね。


<あとがき>
といっても、何をどうしたらいいんだろう、という一抹の不安があります。しかし、この「ご近所先生」の理念が好きなので応募しちゃいました。また、私のプレゼンをうんうん聞いてくださった札幌市職員の丸本さん、企画構想の最終段階でアドバイスをくださった須山さんに御礼を申し上げます。やっぱり人は、誰かと繋がりながら生きていくものなのかもね。最後までありがとうございました。

【間もなく】勝手にリレーエッセイは1月4日から!


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