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全てを投げ出してNiziUを語りあう3人のおっさんたち。

NiziUについて書きたい。が、まずは、とある日の私がどんな状況下にいたのかを書くことからこの記事をスタートしたい。


ある日、札幌市内の喫茶店で仕事をしていた。やるべきことがたくさんあるので、やるべきことをやる。パソコンをぶっ叩く。

これは仕事なのか? それとも作業なのか?

と思いながらも、いやいま作っているものからレバレッジのきいた対価が得られるはずなのだから、これは仕事だ、と自分に言い聞かせる。


仕事をしていると、2人の男性が正面の席にやってきた。年齢は2人とも大体40代で、1人は痩せ型、1人はふくよかだ。ふくよかな男性のお腹には、4リットルのビールが入っていそうな趣きである。

2人はテーブルの上になにやら重そうな荷物をドンと置いて「ふぅ〜」と言ってなにやら話し始めた。


仕事に集中していたから、会話を聞いてはいなかったんだけども、正面に座る私の視界に、あるものが飛び込んできた。

ふくよかな男性の
両手にいっぱいの「うちわ」である。

片手に4枚ずつは握られている。

……これは、と思って凝視すると、そのうちわには女性アイドルの顔がいっぱいにプリントされているではないか。

女性アイドル。


NiziUのミイヒである。

ワイがミイヒやで!


全てのうちわに、表情の異なるミイヒがプリントされている。ミイヒは満面の笑顔だ。



てことは……


と思って手元のスマホを開き「X」を起動する。やることは決まっている。私は北海道に暮らしているわけだから、Xで検索をするのだ。仕事は中断。


「NiziU 北海道」

ケンサク〜


検索すると判明したのは、あのNiziUが全国ツアーを行っているということ。それから、昨日と今日で札幌市内の「きたえーる」というホールでライブをやっているということだった。



よし、ここは。



「NiziUのライブですか?」

話しかけてみた。




ここは話しかけないと。

彼らは間違いなくNiziUのファン、通称WithUと呼ばれる筋金入りのファンであること間違いなし。コロナ禍において虹プロジェクトを見て、あのあどけない少女たちを応援したのはきっと私だけではないはず。

私が話しかけると2人は虚をつかれたかのようだったが、一瞬の間があって、

「えぇ、そうなんです!」

と言った。


「昨日からやってましてね。今日で千秋楽なんです。ライブ会場はたしか、ルミエールだかなんだか……」

「きたえーるですかね」

「あぁ、そうです、そうです、きたえーる、きたえーる」


ふくよかな男性の手には、6人くらいのミイヒがいて、私に笑顔を振り撒いている。この男性がミイヒ担であることは火を見るよりもミイヒを見るよりも明らかなのだが、念のため聞いてみる。


「私はマユカ推しなんですけど、お2人は?」

「おぉ! マユカ!」

「マユカ、めちゃくちゃ垢抜けましたよね。私の中ではNiziUのビジュ担はマユカだと思ってますよ」

マユカの成長は著しい


「いいですねぇ〜。私はもう、ご覧の通り……」

「ミイヒですね」

「えぇ、そうです、そうです」

札幌の喫茶店で、3人のおっさんがうなづきあう。




気になったので、痩せ型の男性にも聞いてみた。


「推しはだれですかな?」

「私はもう、リマですね」

リマの母は中林美和、父はジーブラさんだ!


「おぉ! リマ! あのお母さんにそっくりなリマですね!」

「そうそう笑。そっくりなリマ」


気になったのでさらに聞いたみた。


「今日はどちらからお越しで?」

「私たちは関東からで」

「関東! そうですか!」


痩せ型の男性が、ふくよかな男性をさして言う。

「この人なんてすごくて、今までのライブ、全部行ってるんですよ」

ふくよかな男性は少し誇らしげだ。うちわにプリントされているミイヒの顔も心なしか自慢げに微笑んでいる。


「いやぁ、それほどでも」

「いやいや、すごいですよ。全部はすごいなぁ」

「ところでお兄さんはどちらから?」

「あ、私は札幌です」




あっ……という顔だった。
負けない。私は気にしない。

「私はこの近くに住んでる札幌の人間です。NiziUのライブには行ったことないんです。でも好きで。なんかすいません」

「あ、そうですか」と言われた。



そこからもたくさんNiziUトークに花が咲いた。

2人の帰り際に「それでは最高のライブを」と言って、グッとにぎり拳をつくって微笑んだら、2人も微笑んでいた。


仕事は全然進まなかった。


<あとがき>
NiziUには本当に頑張ってほしいです。彼女たちがカムバするたびに、きちんとオンタイムでMVを見るようにしています。それを2人に伝えるととても喜んでいました。一緒に夢中になれて、一緒に夢を叶える道すがらにいる感じがいいですよね、ファンって。今日も最後までありがとうございました。

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