静かにそっと

人生ってきっと短いんだ。小学生の頃、毎日絵を描いた明るい部屋。大好きだった紫陽花とかたつむり。過去の景色が思い出されるたび、自分はあの時と同じ人間で、あの時の記憶を持って生きているのか〜と不思議な気持ちになる。なんか遠くまできたな〜という気もする。

思い出が増えることが怖かった。どんなこともすべて記憶に残ってしまうことがつらくて、素敵な経験をすればするほど、失うことを恐れていたけれど、幼かったかなと思う。

今本気で楽しんで、今好きな人とめいっぱい笑って生きる以外にない。本当に大切な1日。

穏やかに過ごせるしあわせ、そんな日が来ると思っていなかった。年齢を重ねて感度が鈍ったおかげもある。悪くないと思う。

あの日飛行機を降りたら5度だったこと。冬休みの日記に書いたから今でも覚えている。形に残っていると思い出しやすい。写真があれば尚良い。

オレンジの花が咲いていたこと。とんぼがたくさん飛んでいたこと。

季節や天気の話が好きなこと、空や花の話が好きなこと。なんかもうそういうのでいいや、と随分長いこと思っている。そういうのがいい。風が吹いたり花が咲いたりすること。人からはあんまりわかってもらえなくても、自分の本当に好きなものを静かにそっと大切にし続けること。いただいたお手紙を読むたび、今私の音楽を好きでいてくれる人は、近い感覚の方も多いのかもしれないな〜と感じる。音楽を通じて出会えたことがうれしい。仲間ができた気持ちだよ。

これからも。ずっと。自分の好きなものを誰になんと言われようと大切に。