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建築旅 #007 【National Museum of Qatar, Qaṭar Doha, by Jean Nouvel, 2019】 23th Dec 2024
美術館デイの締め
IM PeiのMuseum of Islamic Artを後にして、ジャンヌーベルのNational Museum of Qatarへと向かった。IM Peiの素晴らしい建築に感動したこともあり、こちらの建築にはそれほど期待していなかった。「コンセプトでスベる建築なのでは?」と思いながらタクシーに乗り込んだ。しばらくするとタクシーの窓から異様な建築が見えてきた。おぉ。すごいやん。タクシーを降りると目の前に飛び込んできた異様な建築。「ジャンヌーベルさんゲーリーさんの土俵を荒らしに行ったな」そう思った。
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何造?!
むむむ、どうやって造ってるんだ?GRCパネル?鉄骨造で乾式?雨降らないからいいのか?、、、正直凄すぎて圧巻。デザートローズという鉱石をモチーフにしているらしい。ジョイントはシールジョイントか?いやいや、面落ちのシール打つのうますぎるので考えられない。うーん。止水はどこなんだ。あまりにも気になりすぎたのでその場でAmazonに接続して本を買った。笑
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これはもはやお金の問題ではない
「中東の現代建築はオイルマネーを背景に、お金にものを言わせて建てている建築が多い」と僕は勝手に思い込んでいた。発注形式も欧米方式なので、建築業界も分業が進んでいる。工種ごとに責任区分がはっきりしていてるので、専門業者に頑張って貰えば何とかなる。誰かがそんなことを言っていたが、これは大きな間違いであることを認識した。こんな建築を実現するには、お金だけではできない。APPLE京都を設計した時にも感じたことではあるが、日本の建築設計業界・建設業界の技術が世界の中では一番ではないという、日本人としては認めたくない現実だ。日本は総体としてこのままではいけないのではないか。頭をガツンと叩かれた感じだ。
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このアプローチ
「その建築から、その建築をフレーミングしている。」なんて贅沢な建築だろうか。ついこの前、会社同期の設計者とそういう話をしていたがまさにこのようなことか。
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水平な床がない
これまでの美術館で床が水平でない美術館はあっただろうか?SANAAもここまで展示室内にアンジュレーションを作っている建築はない気がする。最近SANAAの建築をあまり見ていないので、もしかするとあるのかもしれないが。。。伊東豊雄の台中オペラハウスともまた違う。ジャンヌーベルがこの境地に至っているのが、意外だった。
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気がつけば一周
カタールの歴史を紹介している展示。気がつけば一周していた。
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チャレンジ精神の塊
カタールに来て思ったこと。カタールは素晴らしい建築家に素晴らしい建築をつくらせている。考えてみれば、その建築用途の世界のトップ建築家にそれぞれ仕事を依頼しているではないか。それらの建築は「お金ではなく、やろうとするその本気」で造られている。オイルマネーにもの言わせているだけではこんな建築は作れない。これを実現するために建築家や建設エンジニアは途方もない努力をしている。こんなものを見せつけられると相対として「もう日本は業界全体として、沈没しきっているのかもしれない。」そんなふうに感じる。派手でなくても良い。チャレンジする気持ちを忘れていることが危機だ。僕としてはこのカタールの旅を通してやらなければいけないこととが見えてきた。もちろんこれまでの自分の仕事の延長上にそれはある。自分に残された時間は本当に少ない。頑張ろう。