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建築旅 #004 【Doha Tower, Qaṭar Doha, by Jean Nouvel, 2012】 22th Dec 2024
もしかして鳩の巣なのか?
磯崎さん・小嶋さん・OMAの建築で大きな刺激を受けた。単に良かったというより僕の関わってきた建築との相対距離みたいなものがつかめたことが大きいのだと思う。気分は建築ハイの状況。エデュケーションシティを後にして、お昼ご飯を食べるためにKataraに向かった。海岸沿いのショッピングエリアなのだろう。駅の出口を出て案内に従って歩いていると、唐突にショッピングモールが現れる。駅に接続されていて、たくさんのブランドショップが立ち並んでいる。海岸沿いへ向かう途中にモスクがあり、その横には「鳩の巣」というものがあった。スーク・ワキーフの伝統的な建屋についていた鳩が留まるための木の棒。それを葉巻型を地面に突き刺した形をした土壁に付けていた。鳩へのリスペクトはイスラム文化圏のものなのだろうか?また調べてみよう。海岸沿いで遅めのランチを済ませて南側に目をやると、Jean NouvelのDoha Towerが見えた。学生の時から計画案は何度かみていた気がするが完成は2012年ということで割と最近だ。鳩の塔とそっくりだな。奥さんに「あれも観に行きたいけど、どうかな?」と聞いてみた。「いくなら今日」と言われたので、早速電車に乗り込み向かった。
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イスラム建築
電車を降りて、少し歩くと、手前の神戸ポートタワーのドーハバージョンの後ろに隠れていた。相変わらず歩行者ネットワークは最悪で車を前提としている。ペデストリアンデッキレベルに上がれば繋がっているのかな?と思い上がってみるも、敷地で完結している。そりゃそうだよな、、、梅田じゃないんだから。
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方位によって開口率が異なる
アルミのキャストで作られている外装は4つのパターンで構成されている。方位によって開口率を変えていて、東西が一番遮蔽率が高いようだ。
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行ってみてわかったこと
単なるアイコニックなタワーだと思っていたがただでは済ませないのがジャンヌーベル。1Fのアプローチのとりかたが秀逸だった。タワーの足元をうまくデザインできているものって案外少ないように思う。余分な庇が付いていたり、日本だと墓石型の基壇の商業エリアなどが貼り付いていることが多いからだ。優れているのは1FのアプローチレベルをGLから下げている。これによってタワーのシンボル性を増すデザインとしながらも足元には落ち着いた日陰のゾーンと、街の喧騒から離れた落ち着いた場をつくれている。
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喧騒から距離を置く
周辺にはランドスケープもしっかりと施されていて、法面には豊かな植栽と階段も設けられている。こちらの気候にも配慮しながら、見事なタワーの足元のデザインになっていると思う。中に入ると床はステンレス。雨が降らないので滑らないのであろう。こんな床見た事はない。エンジンドア周辺の床のビスは頭が飛んでいた。おそらく熱伸びでビスの頭が飛ばされたのだろう。
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どうせ、、、
正直あまり期待していなかった。どうせただのアイコニック建築だと思っていた。いい意味で大きく期待を裏切ってくれた。さすがですジャンヌーベル。ありがとうございました。