英語を名言(+接頭語・語幹・接尾語)で学ぶ

はじめに

本記事は、名言を読むことを通して、接頭語・語幹・接尾語などを知り、英語により以上に慣れ親しむことを目的にしています。

英語は、“勉強すべきもの”である前に、言葉であり文章です。

つまり、表現されている内容、言葉の意味、伝えたい内容というものがあるワケです。

そのため、逆に言うなら、興味のないことが書かれているのでは、学習効果も上がらないだろうことは容易に想像できます。

そのため本記事では、作家などの著名人が残した名言を扱うこととしました。

名言・格言は、賢人たちが鋭い洞察をもとに、この世界の解釈を興味深い形で表現したものです。

また、英語を勉強するにあたって、接頭語・語幹・接尾語を意識することは、単語の意味と、そのニュアンスを理解するうえで、とても効果的なものと考えます。

このことから、適当な言葉が出てくる都度、接頭語等に説明を加えておりますので、学習の参考にしていただければと思います。

なお本書では、それぞれの名言について、カタカナ読みをあえて掲載しております。

もちろんカタカナ読みは、いわゆるネイティブな発音とは違います。

しかし、「読み方が分からない」「読み方が違っていたら恥ずかしいので読みたくない」という思いの方も、少なからずいるのではないかとも思われます。

そうした思いから、勉強に取り掛かる気持ちが削がれてしまうのなら、非常にもったいない話です。

このため、一種の方便としてカタカナ読みを掲載しておりますので、その点、お含みおきいただければ幸いです。

なお掲載している名言は、全部で30個です。


1.自然

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英文:Let us permit nature to have her way; she understands her business better than we do.

発音:レット アス パーミット ネイチャー トゥー ハブ ハー ウェイ; シー アンダースタンズ ハー ビジネス ベター ザン ウィー ドゥー

翻訳:自然のままに任せよう。自然は、我々よりも自らの仕事をよく分かっているのだから。

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『エセー(随想録)』で知られるフランスの哲学者ミシェル・ド・モンテーニュの言葉です。


この文では、nature[ネイチャー](自然)の代名詞として、she[シー](彼女)が使われています。

代名詞というのは、対象とするそのものの代わりに使われる名詞のことです。

日本語で言えば、“彼”、“彼女”、“あれ”、“これ”、“それ”、などがそれに当たります。


日本語では、“自然”の代名詞には、“それ”が使われます。

英語でも、人間以外は原則的にit[イット]ですが、自然や国、船など、she[シー]が使われることがあります。


permit[パーミット]は、per(通す)+ mit(送る)で、許可するという意味。

似た言葉で、forgive[フォーギブ]も“許す”ですが、こちらは罪を許すというニュアンスの場合に使われます。

容赦(ようしゃ)とか恩赦(おんしゃ)とかで使われる「赦」という字で表現される方の“赦す(ゆるす)”です。


Let's[レッツ]は、Let[レット] us[アス]の省略形と辞書に載っていますが、これら二つの表現は、いくらかニュアンスが違うようです。

Let's[レッツ]は、“〜しましょう”で、Let[レット]us[アス]は、“〜させてもらおう”といった感じの意味合いです。

そのため、この文では「自然は自然のままに任せるということにさせてもらおう」というような意味合いになります。


2.横顔

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英文:A competent portraitist knows how to imply the profile in the full face.

発音:ア コンペテント ポートレイティスト ノウズ ハウ トゥ インプライ ザ プロファイル イン ザ フル フェイス

訳文:有能な肖像画家というものは、正面から描いた顔に、横顔(プロフィール)を組み込むことを知っているものだ。

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イギリスの著作家オルダス・ハクスリーの言葉です。


映画祭などで、コンペティション[competition]という言葉が使われますが、これは、“競争”という意味です。

competent[コンペテント]は、「競争力のある」というようなニュアンスで、“有能な”、“十分な”、“資格のある”という意味になります。


portraitist[ポートレイティスト]は、portrait[ポートレート]が“肖像画”ですから、その作家、“肖像画家”です。

ちなみに、“自画像”は、self portrait[セルフポートレート]ですね。


imply[インプライ]は、im(中に)+ply(折り重ねる)で、“含む”、“暗に意味する”という意味になります。

reply[リプライ](返信する)のplyと同じです。

re(返して)+重ねる(ply)から、“返信”というワケです。


profile[プロファイル]というのは、日本語だとフランス語の発音から「プロフィール」と言われています。

“人物紹介”という意味と別に、“横顔”という意味があります。


full[フル] face[フェイス]は、“正面から見た顔”のこと。

この名言は、profile[プロファイル]を、“人物紹介”と“横顔”の意味の両方で使っているところがミソだということになります。


3.勝利

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英文:Victory belongs to the most persevering.

読み:ビクトリー ビロングス トゥー ザ モウスト パーセビアリング

訳文:勝利は、最も耐え抜いた者にこそ、ふさわしい。

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フランスの軍人・政治家ナポレオン・ボナパルトの言葉です。


victory[ビクトリー]はすでに日本語化していますね。

もちろん、“勝利”という意味です。


"belong[ビロング] to[トゥー]〜"は、“〜のもの、〜に属する、〜の所有物である”という意味。

歌詞で、"You belong to me."という表現が出てきますが、これは「あなたは私のもの」ということですね。


persevere[パーセビア]は、per(徹底的に)+severe(厳しい)ということで、“耐える”という意味です。


4.鉄

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英文:The finest steel has to go through the hottest fire.

発音:ザ ファイネスト スティール ハズ トゥー ゴー スルー ザ ホッテスト ファイア

訳文:最高の鉄は、最高温の火で作られるものだ。

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第三十七代アメリカ合衆国大統領リチャード・ニクソンの言葉です。


fine[ファイン]は“良い”という意味ですが、“より良い”(比較級)がfiner[ファイナー]で、“最も良い”(最上級)がfinest[ファイネスト]です。

同様に、hot[ホット] hotter[ホッター] hottest[ホッテスト]となります。

熱い、より熱い、最高に熱い、ということですね。


has[ハズ] to[トゥー]は、have[ハフ] to[トゥー](〜しなければならない)が変形したものです。

三人称単数(he[ヒー](彼),she[シー](彼女),it[イット](それ),人名など)には、has[ハズ]がつきます。


三人称というのは、I[アイ](私)=一人称と、You[ユー](あなた)=二人称のどちらでもないものということです。

つまり、彼や彼女、あれやこれ、それ、太郎や花子などが、三人称というワケです。


through[スルー]は、“スルーする”という表現のように、すでに日本語化されていると言ってよいでしょう。

最初から最後まで通り抜ける、というようなイメージです。

ここでの"go[ゴー] through[スルー]"は、“経験する”というような意味合いで使われています。


5.若さ

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英文:Youth is a blunder; Manhood a struggle; Old Age a regret.

発音:ユース イズ ア ブランダー; マンフッド ア ストラグル; オールド エイジ ア リグレット

訳文:若い時分はしくじり、壮年期はもがき、老年には後悔する。

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イギリスの政治家、小説家であるベンジャミン・ディズレーリの言葉です。


youth[ユース]は、“若さ”や“若者”、“若い頃”を意味します。

若者向けの安い宿泊施設を「ユースホステル」と言いますし、サッカーでも若い人のみに年齢を限定したチームなどを「ユース」と呼びますよね。


blunder[ブランダー]は、“へま”、“失態”のこと。


manhood[マンフッド]は、“大人の時期”のことです。

childhood[チャイルドフッド]となると、“子供時代”のことになります。


struggle[ストラグル]は、ジタバタしたり、もがいたりすること。

“努力”、“奮闘”、“闘争”、“抗争”を意味します。


ちなみに、“権力闘争”、“政権争い”は、"power[パワー] struggle[ストラグル]"と表現されます。

政治家がジタバタともがくさまをイメージすると、覚えやすいかもしれません。


regret[リグレット]は、“残念”、“後悔”の意。

reという接頭語は、return[リターン](戻る)や、remind[リマインド](思い出す)という単語からも分かるように、“以前に”、“逆に”というような意味合いを持っています。


これを使った言葉に、"No[ノー] regrets[リグレッツ]."という言い回しがあります。

「悔いはない」という意味です。


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