海外アンティークバイヤーの続け方
海外バイヤーという職業をプロで続ける方法です。
プロフェッショナルの定義は置いておいて、
生活を成り立たせる生業と仮定します。
ここでの話は、
副業や趣味ではございません。
母体(雇用される会社等)を持たない、
単独のプロとしての仕事の話です。
そして、
「実際に」現地、
自国以外の地へ、足を運ぶ旅をしている事を指します。
重要な事を言っておくと、
プロがすごいとか
プロが偉いとか
現地へ実際に行く事が良いとか、
全然ないと思います。
僕が一応プロ(底辺)で、
現地へ実際に行っている、経験談を書いているだけです。
なお、バイヤーとしていますが、
販売も行うので、
正確には、ディーラーとなります。
まず始めに、
10年続けられる人は、
本当に一握りです。
ほぼ居ません。
基本的には続きません。
僕の知る範囲ですが、
20年、30年続けている人は、
何がしかの理由や裏付けがあります。
始めるのは簡単ですが、
生き残るのは簡単ではないのです。
甘い世界ではございません。
海外への渡航っていう要素もあります。
実際、
アンティークのプロ(専業)のバイヤーとして生き残っているのは、
気合の入った変態、
旅や古い物の「重度の中毒者」、
元々、どっかがおかしい人、
演出や経営(金銭勘定)に才能がある人、
下地(経験)が強固な人、
お金に余裕がある人、
容姿や環境が恵まれている人か、
嘘つき、
くらいかな。
そのいずれかか、
複数の要因でしょう。
正直に言うと、
嘘つきが一番、この仕事に適正があるかもしれません。
そして、
仕事でやる場合、
色々な職業と同様に、
好きなだけじゃ続きません。
運ってのも無限じゃないです。
そもそもアンティーク業界、
骨董業界ってのは、
修羅の世界です。
かつて日本では、
窃盗、
強盗、
骨董
と揶揄された職種であります。
海外アンティーク・バイヤーとは、
それに加え、
海外への渡航、旅がプラスされます。
気力・体力・金・時間などなど
それらの消費は本当に激しいです。
始めて、1年や2年は楽しいでしょう。
夢中になり、5年は続けられるかもしれません。
その先は自分や、何かとの戦いになります。
それは日本人だけに限りません。
中途半端なバイヤーは、
例えば、
中国人バイヤーでも、
すぐに大部分が居なくなります。
よく言われる、
「物を視る眼」ですら、
ぶっちゃけ、
最重要事項ではないです。
できる人は、最初からできます。
できない人は、何年経ってもできません。
それが現実です。
それが、どんな職業にも共通する、
向き、不向き、ってやつです。
個人的な意見ですが、
物を視れなくても、続ける事は可能です。
実際、世界中に古物業者は多く居ますが、
長年やっている業者全員が、
物を視れるのかというと、それは分かりません。
知識と才能は別物であります。
そもそも、
物の良し悪しってのは、
環境(国を跨ぐなど)や、
人それぞれの価値観、
見る角度で
異なってきます。
センスという言葉自体も、
場所や時代や人などの要因によって
変動します。
その不安定で不確実なものに
対応していかなければいけません。
仕事である以上、
金銭的に売らなければなりません。
だからこそ、
「お金や環境に恵まれていない場合」(これが重要)、
途中でやめる場合が多いです。
もしくは、
「方法・取り組み方・思想」などが、変化する場合もあります。
また、
実体験から、大切な事を言います。
『本気で深みを追求すると、マジで大変です』
深く求めようとすると、
求めれば、
求めるほど
大変さ(お金や精神的、労力などなど)は半端ないです。
だからこそ、
どの深度を求めるか、
は重要になります。
そして、
長く続けている過程で、
人生ってのは様々な事が起きます。
もちろん、僕も同じです。
金銭事情、
結婚や子供ができたり、
安定を求めたり、
新たに興味ある職業が出たり、
病気をしたり、
飽きたり、
良くも悪くも、
色々な理由が、予告のアリ・ナシで起きます。
その際に、
それぞれが、
それぞれの判断を迫られます。
仕事の選択肢という事に、
なる事もあるかもしれません。
僕?
現状、上記の、重度の中毒者に当てはまるでしょう。
もう完治不能です。
苦悩に
苦悩に
苦悩を重ね、
毎回、旅をする毎に
「マジで俺は、どーしてこんなツラい事をやっているんだろう?」と
自分で強く思っております。
しかし、
やめられない、のです。
旅と古い物の、中毒者だから仕方がありません。
気がつくと、
何処かの空の下に居ます。
気がつくと、
物語のある物を探しています。
それに加えて、
「価値観の共有」をしたいと思ってしまっているので、
完全に、こじらせています。
自分的には、
こんな自分に興味を持ってくれたり、
まして、
品物を買ってくださる方には、
本当に感謝しかないのです。
偽善だとか言われよーとも、
もう、これ、本音なんスよ。
海外バイヤーをする上で、
オンライン等での仕入れをしない場合
(実際に現地へ行かない方法など)、
基本的には、
旅は切り離せません。
時として、
旅は中毒になります。
その深度・症状は人それぞれですが、
仕事としてやる以上、
ある程度は、
中毒にならないと続けれられません。
しかし、
旅の中毒ってのは、
本当に厄介です。
僕はコロナ全盛期にも、
調べまくり、
渡航を我慢できず、
あの手この手で、
イスタンブールに飛び、長く居ました。
アパートとか借りちゃってました。
狂気の沙汰です。
その時期のイスタンブールの、
ある地区の旅行者は、
マジで変態しか居ませんでした。
経営してた会社を売って、
7年間エジプトのカイロに住んでたアメリカ人、
8ヶ国語を流暢に話すドイツ人、
ドバイへ巨大冷蔵庫を売っているインド人、
自国から脱出したイラン人、
夏場の国々を渡り歩いているので、
冬服すら持っていない長年ノマド・ワーカーしているフランス人、
疑わしいワクチン接種証明書を持つ、自称・医療関係者のイギリス人、
職業不詳のロシア人などななど
例を挙げればキリがありません。
友人である、
30年以上、旅人でアンティーク・コレクターの、
クリスとアフィヨンに至っては、
日本の一般常識では、
何処から説明したら良いのか分からないほど、
無軌道・無茶苦茶な人生です。
ただし、
全員に共通するのは、
「知性がある」ことです。
よく勘違いされますが、
完全にアホだと、
旅という金のかかる行為はできません。
短期の観光旅行とは訳が違います。
知性とゆーか、
地頭が良くないと、長年続けるのは無理です。
さて
海外アンティーク・バイヤーの続け方の
僕の結論を言います。
『旅と古い物の、中毒者になる事』
それが、
僕の実体験から言える結論です。
生命に関わる、例外的な事情を除き、
中毒になればなるほど、
言語の壁とか、
金銭事情とか、
経験云々とか、
大なり小なりの問題は、
結果、
どうにかなります。
どうにかしてしまいます。
そう
安心して下さい。
もし中毒者になれば、
その頃のあなたは、
もう、
どうにかなっている(頭もお金とかも)と思うのです。
日本社会での、
後ろめたい気持ちになる必要もないです。
日本だけを見る必要もございません。
世界ではド変態たちが
日夜、
喜劇と悲劇を繰り広げているのです。
アンティーク売買を介して、
その舞台で踊るだけです。
本当に、
ただそれだけなのです。
また参考になりませんでした。
すみません。
終わり