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就活生向け企業分析 総合商社~事業理解編~

就活生に大変人気な総合商社業界についてピックアップします。
今回はまず総合商社の事業内容について深掘りしてみます。次回以降三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、丸紅、双日、豊田通商それぞれに関して企業分析レポートを出す予定なのでよろしくお願いします!


まず総合商社って何?


就活生は皆口を揃えて「総合商社行きたい!」と言います。(偏見です)
人気の理由はとてもよくわかります。高い給与水準と国際的に事業を行うビジネススタイル。昔から不変の人気業界であることは納得です。僕の友達も総合商社とりあえず志望していた人はいっぱいいました。ただそんな友達に性格の悪い僕はこう質問しました。

「総合商社ってなにやってるの?」

しょっぱなこんな質問してくる奴に付き合ってくれてる友達にまず感謝です。はい。

でもどうでしょうか。皆さんは答えられたでしょうか。人気が高い業界の割りに案外なにやってるのかよくわかんない人が多いのではないでしょうか。
ということでまずなにやってるのかを理解するところから始めましょう。

ビジネススタイル


一言で言うと「何でもやってる」です。
どういうことか?一例として、2023年4月時点の三菱商事本店グループを以下に列挙します。

・天然ガスグループ
・総合素材グループ
・化学ソリューショングループ
・金属資源グループ
・産業インフラグループ
・自動車・モビリティグループ
・食品産業グループ
・コンシューマー産業グループ
・電力ソリューショングループ
・複合都市開発グループ

これらグループの中にそれぞれまた事業本部が分かれています。
どうでしょう。あまりにも色々な分野に手を出していると思いませんか。よって分野で言うと「総合」商社ということになるわけです。
じゃあ具体的に何をやっているのでしょうか。
これは以下の三つに分けられます。
トレーディング
事業投資
事業経営
ではそれぞれについて見ていきましょう。

トレーディング

いわゆる昔からの商社のイメージでしょう。物を右から左に流すという仕事です。「トレーディング」とカタカナだと分かりにくいかもしれませんが、貿易業と考えると分かりやすいかもしれません。しかし注意しておきたいことは、ただ物を右から左に流しているだけではありません。具体的に説明しましょう。

総合商社は先ほど紹介した様々な事業分野、具体的には資源やエネルギー、産業製品、消費財などの商品を対象に、仕入れから販売までのプロセスを管理しています。市場動向に応じた最適な仕入れ・販売戦略を構築し、リスク管理や物流の効率化、価格交渉を行うという特徴もあるため各商品の市場動向分析なども行う必要があります。よって各商材の市場動向について深い知識を持ち合わせているということもあり、付加価値をそこで生み出すことも出来ています。

その歴史は長く、第一次世界大戦の物資不足から輸出業が拡大していったところで総合商社の基盤が整っていったという背景もあります。
日本という資源が乏しい国の経済発展は間違いなく総合商社の貿易事業なくしては成り立たかったのではないでしょうか。

ただ最近の総合商社は事業投資を積極的に行うようになってきていることから、昔よりはトレーディングの印象が薄れてきているかもしれません。ただだからといってトレーディングを軽視しているわけではなく、総合商社の根本事業です。ここを軽視する就活生は特に年次の高い社員さんを相手にした時に良い印象を持たれないのではないでしょうか。
「投資がやりたいから総合商社」と言っている学生は注意が必要です。
事業投資先がトレーディング事業をしているパターンもあります。

事業投資

最近の総合商社はこの事業投資を行っている印象が強いのではないでしょうか。ただ事業投資と一口に言ってもパターンが複数あるのでそこをまず整理しましょう。
大きく三つに分けることができます。

①新規事業への資金提供
②既存事業成長への資金提供
③他社への出資

主に総合商社で”事業投資”という場合、基本③の他社への出資を指すでしょう。ただここでややこしいのは他社といっても二種類あることです。

A資本関係のある子会社や関係会社
B 資本関係がない完全な他社

どちらに対する”事業投資”かでその意味合いが変わってきますので注意が必要です。Aに対しての事業投資であれば①、②のパターンですし、Bに対しての事業投資であれば③のパターンです。同じ事業投資といっても前者は設備投資の意味合いが強く、後者は株式取得の意味合いが強いと言えます。ここを混同しないようにしましょう。

さて、この事業投資という分野は動く金額は大きいうえ、メディア露出もあるので華々しい事業の印象はあります。
日経で総合商社の事業が取り上げられた際、この事業投資に関するニュースのパターンが非常に多いです。直近のニュースだとこんなものがあります。

ここに関わったんだぜ、とか言えるとなんかかっこよさそうですよね。この「なんかかっこよさそう」という感情は非常に大事だと思います。

事業経営

さて、先ほどまで総合商社の事業投資についてみてきたわけですが、彼らは買収した企業を実際どうするのでしょうか。

はい、自分たちで経営していくわけです。それが事業経営です。

自社の人を子会社それぞれに送っていき、その会社の経営をしていきます。そうすることで買収した時よりバリューアップを実現させ利益をだしていく。

ただ買うだけが総合商社ではありません。

買ったあとのバリューアップも自分たちで担っていく。そこが重要なところであり、ヘッジファンドなどとは大きく異なるところです。ヘッジファンドはあくまで資産運用が目的とする機関投資家です。こことの差はきちんと把握しておきましょう。ただもちろん事業経営をした後、事業売却に至ることもあります。最近だとこのニュースが話題ですね。

経営者層へのキャリアパスが選択肢として多くの社員に与えられていることは非常に特徴的ですし、魅力的な点かなと思います。

求められるソフト・ハードスキル

ソフトスキル

コミュニケーション能力
これは想像に難くないと思います。多様なステークホルダー(取引先、顧客、社内チーム)との交渉や協力が重要ですから、そこの調整力といったものは必要でしょう。これはトレーディングでも事業投資、事業経営全てでいう事が出来ます。

適応力
トレーディング事業に関しては、扱っている商材の市場環境というものが国際情勢などに応じて敏感に変わっていきます。そのためそこへの適応力というものはもちろん必要になってきますし、ただ対応するだけでなくて現状を踏まえた業界分析力というのも兼ね備えている必要があるでしょう。
また、これは事業投資でも事業経営でも同じような事が言えます。投資対象業界に関してしっかり理解する必要があることはもちろん、業界変化への適応力は必要となってきます。
また、総合商社という事業上、世界各国への出張や駐在が考えられます。その際、異文化への適応力というのも求められるところでしょう。
よって、適応力という言葉より「胆力」や「根性」という言葉の方が刺さるかもしれません。

チームワーク
これも想像に難くないと思いますが、チームメンバーと協力して目標達成に向かう能力は非常に重要です。部門間を横断するような複雑な取引やプロジェクトには、協働が不可欠です。営業の方であればコーポレートの方とのやり取りも必須になってくるでしょうから、社内でのチームワークというのは同じ部署内だけでなく、部署を横断したところでも重要になってくるでしょう。

ハードスキル

データ分析能力
前述しましたが、トレーディングに関しては扱っている商材の市場動向というものに敏感になる必要があります。また事業投資、事業経営に関しては財務データを分析し、戦略的な意思決定を行っていく力も必要になるでしょう。

財務知識
財務諸表の理解、会計知識、予算管理などの財務関連スキルは全ビジネスマンが必修のスキルだとは思いますが、商社マンは特に必要になるでしょう。収益性の分析、コスト管理をしていく前提として、これら財務知識がなければ話になりません。多少の財務知識は蓄えておいた方が無難といえます。

まとめ


いかがだったでしょうか?
総合商社の事業内容、求められる能力について少しは理解が深まったでしょうか。
自分自身の学生時代の経験から、少しでもあてはまる要素があれば積極的にそこをアピールしていくことが大事です!

少しでもお役に立てたのであれば幸いです。
今後は総合商社各社について詳しい企業分析を行ったレポートを公開予定ですのでぜひご覧ください!

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それでは、また次回の記事でお会いしましょう。

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