アイスと奥さん
先月のある日。
1人でスーパーへ買い物に行った。
その日はまだ午前中だというのにとても暑くて、
イライラを通り越して全てを諦めたくなるような暑い日だった。
スーパーまでは歩いて3分くらい。
その3分の間で僕の心はすっかりアイスに支配され、スーパーに着く頃には
「絶対アイス買って帰ろう!」と固く決意したのだった。
買い物の最後にアイスコーナーに寄ったら
箱のアイスが割引されていた。
奥さんと僕はアイスの好みが違うので
1箱ずつ買って帰る事にした。
奥さんには大好物のパルム。
僕はミカン味のやつ。
帰ってから箱ごと冷凍庫に入れた。
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それから2週間ほど経って
仕事帰りにコンビニに寄った時、
アイスが食べたかったので
自分用と奥さん用に2つずつ買った。
今度は箱じゃないし、パルムじゃないやつだ。
帰って冷凍庫を開けるとパルムの箱があったので
「まだ食べ終わってなかったんだ。買ってこなくても良かったなぁ」なんて思いつつ
箱を見てみると中はすっからかん。
そう、空箱がキンキンに冷やされていた。
思わず「捨てなさいよ(笑)」と
ひとり呟いて箱を捨てようとしたけど、
空箱に買ってきたアイスをしまう事にした。
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僕はじっと待った。
そしてその時は訪れた。
休日に2人でゴロゴロのんびりしてたら
奥さんが「今日暑いね〜」と言い出した。
「アイス食べれば?」と言うと
「もうなくなっちゃったよ(•᷄દ•᷅)」と言う奥さん。
(知ってたなら捨てろやぃ💦)
「え?そうだっけ?まだあった気がしたよ。」
僕が先日買って空箱に入れておいたアイスがあるからだ。
僕の言葉を聞いて奥さんは半信半疑のままモゾモゾと起き上がって冷凍庫をガラガラと開ける。
ガサゴソする音がした後、奥さんの声がした。
「むっ!アイスが増えた!!」(((;꒪ꈊ꒪;)))
増えたんじゃなくて買ったんですよ。。。
でもね、さすがに「増えた!!」とビックリしてるのが本気じゃないのは分かってるんですよ。
奥さんなりのボケでもあるし、ストレートにはしゃぐのが苦手な奥さんの照れ隠しでもあるんです😊
「増えてねぇし!笑」という僕のツッコミをガン無視してアイスを頬張る奥さんなのであった。
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それからまた数日。
僕が仕事から帰ると奥さんはまだ帰っていなかった。
夕飯を食べ終えた僕は無性にアイスが食べたくなった。
そういえば奥さんのアイスがまだ一個残ってた気がする。
「ごめん、もらうわ。また買ってくるからね」とと思って冷凍庫を開けた。
そこには中身がすっからかんのパルムの空箱が
ヒエヒエで転がっていた。
あれ?
もしかしたら
あの人は本気でアイスが増殖すると思っているのかも知れない(-᷄◞८̻◟-᷅)
しかたない。
僕はずっと、お爺さんになっても
こっそりアイスを増やす妖精として生きていこう。