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黄黒真直
2021年8月1日 18:42
江戸から歩いて一日足らずの小山(おやま)村は、豊かで安穏とした村である。北に小さな山があり、そこから下る数本の細い川が、村を幾つかの集落に分けていた。 豊かになったきっかけを高村は知らなかったが、ちょうどこの春日神社を建て替えた頃からだと、祖父は語っていた。やはり氏神様のおかげなのかと幼い高村が尋ねると、いや境内を広くして、年貢免除地を増やしたからだと祖父は笑った。 代々神職を務めている高村