「僕は僕を好きになる」 個人PV 全レビュー
個人PVが、好きだ。メンバーの持ち合わせている魅力をクリエイターの皆さんが独自の感性で引き出していく。個人的には全シングルの全特典映像が個人PVでも良いと思っているくらい好きだ。
ということで、今回発売された乃木坂46「僕は僕を好きになる」の特典映像に収録されている個人PVを1つづつレビューしていく。めちゃくちゃネタバレしているので、そこだけ注意していただきたい。
1.清宮レイ「REIPEN」
typeAの1本目から衝撃的な作品が。予告編にもあった通り、前半は「いつもの」清宮さんが明るい笑顔でペンのCMを撮影する。しかし、どこか納得いかない表情の清宮さん。
撮影終了後、突然「This is not me!」と叫び、「大人風な」清宮さんに豹変して再登場、かっこよくCMの撮影に挑む。
清宮さんといえば、一部で「キッズ」と呼ばれるほど底抜けの明るさが魅力で、「Out of the blue」のMVでもそれを思い切り発揮したが、大人な清宮さんも本当に魅力的だった。清宮レイはまだ無限の可能性を秘めているようだ。
2.筒井あやめ「青春の天才」
「個人PVって、よくわからねぇ!」と言いたくなるような作品。
「青春の天才」、筒井あやめが青春十数周目のおっさん高校生と青春みたいなことをするという内容。「青春って、よくわからねえけどこんな感じで最高だよな!」という解釈で合っているはず。
さすがは現役JK筒井さん、乃木坂らしい上品さと若々しい爽やかさを兼ね備えた制服姿には全視聴者メロメロだろう。「こんな同級生いたら最高の青春だろうな〜!」と妄想が膨らむこと間違いなしである。
「待ってるガール」のまさかの再登場にもエモさを感じ、微炭酸のような爽やかさと青春の青臭さのバランスも程よく、良い作品だと思う。
3.矢久保美緒「Mio Yakubo's Morning Routine」
矢久保美緒は2次元からそのまま出てきた説を提唱したい。こんなにピンクが似合う人、3次元では不可能なはずである。矢久保さんの底抜けの可愛さと「ぴえん」という言葉が似合う「不運の天才」感はもっとフィーチャーされていいのではないだろうか。
作品自体も新鮮で面白かった。モーニングルーティン動画を作成する過程で様々なチャレンジに挑戦していき、失敗してもメイク直しなどはしないためtake32の初っ端から髪の毛が真っ白で登場する。可愛さとハラハラ感を同時に味わえる素晴らしい作品だと思う。
4.弓木奈於「なお、失敗ではありません」
少しぼんやりしていた「弓木奈於像」がより一層鮮明になった。弓木さんは本当に日常生活でも些細な失敗を繰り返していそうだし、集合時間も間違えていそうなイメージが何となくある。
しかし、度重なるピンチは全て魔法の力で乗り越えてきたのである。きっと弓木さんは自分が知らないうちに本当に魔法を身につけていて、神様が全てのことを弓木さんにとって都合のいいように操っているのだ。仕事現場に向かう途中に通行人が落としたみかんを拾った後、「神対応」としてSNSで話題になったに違いない。
弓木さんの唯一無二の輝きは日に日に増すばかりだし、これから私たちはもっと彼女の虜になっていくことだろう。弓木さんのイメージカラーは「白」だと思う。彼女の純粋さに人々はどんどん魅了されていく。
5.賀喜遥香「激辛の天才」
賀喜さんの不器用さ(褒めてる)はもっとフィーチャーされていいと思う。イカれたテレビマンに振り回されながら何とかして苦手な激辛料理を食べる表情が最高すぎる。クールなだけでなく、人間味のある表情は努力だけでは作ることができない、まさに天賦の才能である。
と、思いきや急に女優スイッチがオンになる。テレビマンに関西弁で怒りを露わにする...と思いきやそれは脳内シュミレーションで、限界を迎えた賀喜さんは逃げ出してしまう。追うテレビマンを振り払った時の「してやったり」と爽快な表情も凄く良い。
テレビ局でもネット番組でもどこでもいいので、賀喜さん主演で1本作品を撮ってくれませんか、と言いたいくらい賀喜さんは女優としての才能に満ち溢れていると思う。それを気づかせてくれた上に内容も面白い、素晴らしい作品だと思う。そして賀喜さん、よく頑張った!
6.北川悠理「ラショナルガール」
北川悠理は見れば見るほど謎が深まる。「理性」をテーマにした作品だったが、基本的に「感性」で行動しているように見える北川さんの面白い一面がさらに見えた気がする。でも、やること為すことがぶっ飛んでいるイメージのある北川さんだからか、なんだか理にかなっているようにも見える。作品としてすごく面白かった。
そして何より、北川さんの演技がまあ上手い。無表情の時の恐ろしさとリラックスしている時のほんわかさとのギャップが素晴らしい。そういえばプリンシパルで大活躍だった北川さん、演技の仕事が舞い込んでくるのもそう遠くないはずだ。
7.黒見明香 「天才なんて、」
なんだか、すごい大作を見た気分だ。黒見さんの朗読によって主人公の感情がどんどん高ぶっていき、それに伴い見ている側も次第に語りに引き込まれていく。黒見さんの生徒手帳を拾ったという些細な出来事がきっかけで大事に巻き込まれた気分になることができるという新鮮さと、最後の言葉の急に日常に引き戻された感、映像を作る人はさすがだ。
あと、黒見さんは天才である。先輩方を次々と攻略し、ブログもとんでもない情報量のものをとんでもないペースで更新している。天才が「天才なんて、」を語るのなんて、
8.松尾美佑 「儚さの世界」
初めて知ったのだが、松尾美佑は森の精霊だったらしい。本当に天才でなければここまで自然と一体化して森を守る存在になり、儚さを醸し出すことはできない。5分間映像を保つことさえ難しいテーマだったのに、見事にこなしてみせた。
それにしても、松尾さんは自然がよく似合う。前回の個人PV「みゆキャン」では大自然の中でキャンプを楽しんでいたが、今回は真逆のアプローチで見事に自然の中に溶け込んだ。彼女の純朴さ、そして自然を愛する心ゆえだろう。松尾さんが日本全国の絶景スポットを旅してフォトジェニックな写真を撮るだけの番組でもやってくれないだろうか。
9.遠藤さくら「いや、マジ天才!」
遠藤さん、まだ高校卒業してないだろ!ってくらい制服が似合っている。ただ可愛いだけでなく、掴んだら消えてしまいそうな儚さもある。まずその佇まいがマジ天才である。
きっと、「マジ天才!」に大した意味はない。若者はスラングですぐ「天才!」と言う。そしてその解釈が果てしなく幅広いから面白い。この場合の遠藤さんと男子学生が言った「マジ天才!」の意味もかなり違うと思うし、天才には無限の可能性がある。しかし、天才と共に過ごした時間はいつまで経っても忘れないものなのではないだろうか。「ちょっと変な日」だったこの日の出来事は、なぜか2人の脳裏に深く刻まれるようなものだと思う。
10.柴田柚菜「POSING QUEEN」
ポージングによって物の表情を無限に引き出すことが可能らしい。たかがお花1本、持ち方を変えるだけでこうも楽しむことができるのか。4分間、一瞬たりとも目を離すことのできない、感嘆あり、笑いありのとても面白い作品だった。
柴田さんは実はめちゃくちゃダンスが上手い。4期生ライブで柴田さんに魅せられたことを鮮明に覚えている。「ダンスが上手い」の中には色々な要素が含まれていると思うが、そのうちの一つに「一瞬の表情の作り方が上手い」もあるだろう。きっとこの面において、柴田さんはこれから乃木坂でキャリアを積んでいくにつれてまだまだ成長していくはずだし、その片鱗を今回は見ることができた。
11.早川聖来「あかんたれ two sissis」
今泉監督の映画でも見た気分だな〜と思っていたら最後に衝撃の一言だ。いや、嘘だろ!?!?そんなはずがない。にしては、やり取りが自然すぎるし「あかんたれ」感を出すのが上手すぎる。これでは、今野さんも「早川は女優路線でいく」と言うはずだ。
2人の「あかんたれ」同士の関係のぎこちなさが「あるある感」があって良かったし、それにしても早川さんに恋する乙女役がこんなにもハマるとは。「ノギザカスキッツ」では出る度に1回はアドリブを入れるなど笑いに貪欲なイメージの早川さんだが、こういう演技もちゃんと上手で感心した。これは引っ張りだこどころの騒ぎではないぞ!
12.林瑠奈「発売延期(仮)(林)」
伊藤衆人監督と林さんの組み合わせ、これ即ち中毒。これほど監督と演者の息がピッタリなことはあるのだろうか。思わず、もう1回再生ボタンを押してしまった。そもそも「個人PVの監督」という切り口が面白い。
林さんほど早口や白目やオタクが似合うアイドルは過去にも未来にもいないだろう。そしてこの作品が秀逸なのは、ただ面白いからというわけではない。ところどころ出てくる「個人PV風」な映像に出てくる林さんはちゃんと美しいしちゃんと可愛い。可愛い...可愛すぎるな...!
それにしても、加入して1年経たないうちにこんなに思い切って演技できるのは普通にすごい。今後の可能性が無限に広がる。林瑠奈の未来は光に満ちている。
13.掛橋沙耶香「KICK THE CRAFTY」
「缶蹴りアクション」とかいう新ジャンル。子どもたちに混ざって全力で缶蹴りに挑む馬鹿馬鹿しさと緊迫感のバランスがすごく良かった。最後にしっかり伏線回収してくるあたりも良い。
掛橋さんは以前から「演技の仕事にチャレンジしてみたい」と各所で発言しているが、この調子ならすぐにできるのではないだろうか。この作品は表情のひとつひとつに緊迫感がないと成り立たないものだし、動きのスピード感なども大切だ。「ノギザカスキッツ」ではさらば青春の光・森田さんが掛橋さんの演技に高い評価をしていたが、今回の作品でその成果を十分に見せつけることができたのではないだろうか。
14.金川紗耶「みな天才だカーニバル!」
こんなに見ているだけで幸せな気持ちになれる動画が他にあるだろうか。生きとし生けるもの、全てを「天才」と全肯定していくスタイル。あることができないと悩んでいても、裏を返せば別のことの天才だ!と考えられるし、そういえば人の名前も天才だよなぁと思い返すことができた。金川さんのゆるゆる感も相まって、癒し以外のなにものでもない、最高の作品だと思う。作品自体を短くまとめ、メイキングを長めにとったのも大正解だと思う。
しかし、金川紗耶はかわいい。常軌を逸したスタイルの良さを誇り、キレイめ路線で行っても間違いなく成功すると思うが、北海道の広大な大地で育った金川さんの純朴な可愛さがこの作品で爆発していた。以前、「これ余談なんですけど...」という番組で金川さんが漢字を読めなかった際、かまいたちの濱家さんが「かわいいなぁ〜」と言っていたが、本当にその通りで、金川さんはめちゃくちゃかわいい。基本に立ち返らせてくれたこの作品に感謝だ。
15.佐藤璃果「HACKER GIRL」
シリアスな雰囲気だった予告編から一変、ゆるい感じの始まり。途中で何か展開があるのかと思いきや結局ゆるいまま終わったじゃないか!薄暗い部屋で世界をめちゃくちゃにする作品を予想していたが、まさか女子ハッカーのお父さんとのゆるい日常を描いているだけとは。シンプルに可愛くて最高だった。やはり高専に通っていたこともあってか、佐藤さんはパソコンがとてもよく似合う。
仮に予告編のようなシリアスな作風で行っていたとしても、きっとこの作品は上手くいっていただろう、と思わせるくらい、少しだけ映っていた「典型的な」ハッカーの姿も似合っていた。というか、予告編で出てきたような恐ろしいハッカーが実は身の回りに潜んでいる、みたいな捉え方もできる気がする。どっちが正解...?いやでも、やっぱり本編を見たらやっぱり健全な女の子だし...どっちだこれは...たぶん正解とかないのかな。まあでも佐藤さん可愛かったし楽しく見れたのでオッケーです!
16.田村真佑「ワタシの天才って、なに?」
個人PVのお手本のような作品が最後に出てきた。田村さんに歌ったり踊ったりさせ、「私、天才でしょう?」と見せつけてくる。田村さんのアイドルとしてのスペックの高さに改めて気付かされた。
そもそも、田村真佑は天性のアイドルだと思う。高校卒業後はアルバイトを転々とし、ラストチャンスだと思って受けた乃木坂のオーディションに見事合格。「まゆたん」という愛称がピッタリの可愛さで次々とファンを虜にしていき、4期生の中で中心的なポジションに立ったりラジオのレギュラーを務めたりと飛ぶ鳥を落とす勢いで坂を駆け上がっていく。もうこれは映画やドラマの世界線では。
結局、田村さんはアイドルの天才だと思う。最後の「頑張ります!」(ぶりっ子)が全てを物語っている。
総評
やはり、個人PVは最高だ。普段の活動だけでは引き出すことの難しいメンバーの側面を見事に引き出すことができている。素晴らしい作品ばかりで、クリエイターの皆様には本当に頭が上がらない。
個人PVはとても魅力的なコンテンツだと思うし、個人PVがしばらく作られていないメンバーもいるのはとてももったいないことだと思う。もっとたくさん、個人PVを見たい。