からだに学ぶ、克すれど悪しとせず
みなさんこんにちは。気学Style 西島です。
Facebookなど眺めておりますと、みなさん「今年の桜は早い」というような投稿をされておられます。
先日の雨のこともございますが、確かに今年はそのような気配も致します。
桜の花がこのコロナ対策へ配慮してすこし花の盛りを短めにしてくれているのかしら…と、そんな風にも思ってしまいます。
さて、お話は変わりますが皆さんは「はたらく細胞」という漫画、あるいはアニメをご存知でしょうか。
公式サイト:https://hataraku-saibou.com/
これは私たちの体の中を舞台に体に関して起こる様々な現象…例えば怪我や風邪、果ては癌など…に対して、赤血球や白血球をはじめとした私たちの細胞たちを擬人化して彼らがどのように働いているかを面白く表現したアニメです。
かなり人気が出たのか、「はたらく細胞」に対して別編とも言える「はたらく細胞 Black」も制作されております。
この「はたらく細胞 Black」は細胞たちが働いている体の主人はストレス、飲酒喫煙その他による不摂生で体内環境をより過酷なものにしているという設定で、そうした中で働く細胞は文字通りブラック企業ではたらいているようなもの…と捉えて表現し直したものになります。
「はたらく細胞」が一般的・全年齢向きの作品といたしますと、この「Black」は水虫・胃潰瘍など、社会で働いる人たちによく起こりがちな現象を題材にしておりますので、どちらかと言いますと少し大人向きな構成になっております。「Black」を見れば身につまされる心持ちになる人も多いのではないでしょうか。
何にいたしましても、このアニメもしくは漫画を見ていますと、体内の本当に微細な一つ一つの細胞たちが健気に、そして律儀にその役割を果たしてくれているからこそ私たちが日々呑気に生きてゆくことができるのだと思い知らされます。
「体を労る」というような言葉をよく耳にいたします。
時に使い古された陳腐にも響くこの言葉ですが、この作品を見ておりますと血管を走る赤血球の一つ一つを始め、24時間休むことなく体をメンテナンスしてくれている細胞たちに本当に感謝の気持ちが湧いてきます。
そして、
「彼らを労ってあげないといけないな」
と心から思えてまいります。
とても素敵な作品ですのでもし宜しければアニメだからといとわずご覧になってみてください。
現在はネットフリックスなどでも配信しているようです。
からだと星
今ここでこうしてコラムを書いておりますのも私の体内で様々な細胞たちがコラボして働いてくれるおかげというわけですが、今回はこの「はたらく細胞」から気付かされたこと少しまとめてみたいと思います。を体の働きについて少し今回振り返ってみようと思います。
さて、「はたらく細胞」では、赤血球の1人がメインキャラクターとしてお話が進んでゆきます。
私たちの血が赤いのはこの赤血球のためなのですが、その働きは体内に酸素や養分を運ぶというどちらかと言えば地味な部類のものでありつつもよても重要な役目を担っております。
そしてこの赤血球が流れているのが血液です。
易経においては血液は水(=坎)に属すると書かれております。
そしてここから九星気学においての担当では一白水星となります。
血液は赤いので、色的に九紫火星かしらとも思いますが、やはり体内の「水」ということでこうした分類になるわけですね。
そして興味深いところですが、こうした血液、あるいはリンパ液などを循環させる仕組みは九紫火星の働きに属します。
体の中を血液が循環するということ一つとっても、様々な星が関連しているということをご理解いただけましたらと存じます。
相克と相性
ここまでご覧になって、東洋系の占術をかじった方なら少し不思議に思えるかもしれません。
まずは五行の関係を見てみましょう。
いわゆる「相性が良い悪い」ということが言われるようになったベースがこの五行の図です。
これまでのコラムでも何度かこの図は引き合いに出しておりますのでもう覚えてしまわれた方もいらっしゃるかもしれませんね。
東洋において、世界は「木・火・土・金・水」の属性に分類されます。
洋の東西を問わず、こうした分類は様々ございます。
西洋においては、火・水・風・土などに分けられていたりもいたします。
さて、その五行ですが上の図面の向かって左側、「相性」と書かれているものにおいて、矢印同士で繋がっているもの同士が一般的によく言われる
「相性が良い」
という関係性になります。
そして逆に、図面の向かって右側、「相克」という図において矢印で繋がっているもの同士が「相克の関係」、つまり
俗にいう「相性が良くない」
とされる関係性になります。
例えば「土」を題材に考えますと、
・土(二黒・五黄・八白)は、
*火(九紫)および金(六白・七赤)と相性が良く
*水(一白)および木(三碧・四緑)と相克である
という関係性が見て取れるわけです。
相克の捉え方
ここで翻って体のお話です。
血液は水の範疇、つまり一白水星の担当でした。
一方、その血液が巡るシステム=循環器系については九紫火星が担当です。
この2つの星、すなわち一白水星と九紫火星の関係性ですが、先の図で見た場合これは「相克」という位置づけになっております。
しかしながら人体を運営するにおいてこの相克の二者が「血液&循環器系」として人体に必須な機能をもたらしていることはとても興味深く思えます。
世間的には「相克」という字面のせいもあってか、この「相克」という関係性に関してはあまり良い印象が持たれていないような感覚を受けます。「克」(もしくは「剋」)には、『相手を攻撃して打ち倒す』
という意味合いがあるからということもあるでしょう。
ですが、相克だからといってそこまでダメだというふうには思えません。
確かに水と火は住む世界が全く違いますし、両者の世界観はなかなか共鳴しづらい部分もあるでしょう。
時にはお互い「ニガテ」感も出てくることもあるかもしれません。
しかしながら、相克といえど起こりうる内容はこの程度のことなのだと私は考えます。
例えば
一白水星の方が九紫火星の方角へゆくことは相克ゆえによろしくない
と言われたりすることがあるようです。
これは相克の星のいる方位があたかも凶方位であるように扱う言い回しです。
実際のところ、一白水星の方が相克の九紫火星方面へゆけば、ニガテな星の領域ですので落ち着かない感覚は出てくるかもしれません。
ですが、これをNGとしてしまうのは不適当のように思えます。
訳あって「五行」という形でこの世界に存在する要素同士なのです。
その中にあって、お互いに全く相容れないようなものが存在することはないだろうと思う訳です。
世界は様々な変化の中に
例え相克の関係にあったとしても、私たちの体の中においては血液と循環器系のようにお互いがコラボして重要なシステムになっております。
そして、もっと身近なところで言うのであれば、
「調理において物を煮炊きする(あるいは、煮炊きできる)」
という重要なファクターは水と火という、この相克する両者の働きがあってこそなのです。
九星気学の元となった易という学問は、そもそも「変化を見る」学問です。
相性の良い物同士・相克のもの同士関係なくそれらが出会った時にどう言う化学反応を起こすかを探求し、そこから人の生きる道を見つめ直すのが易ですので、例え相克の関係性であったとしてもその関係性に善悪はつけることはしないでしょう。
お互いの在り様ゆえに、時にはお互い「相克」する関係のものが出てくる場合もあるかもしれません。
しかしながら例えその両者が相克する関係であっても、その両者がコラボレーションすることでできるオリジナルな仕事もあるはずです。
とはいえ実際人間社会においては相性のあまりピンとこない相手と何かを進めてゆくのは難しいかもしれません。
しかしながらお互いの相克の溝を埋め全体として上手にまとめてゆく知恵もまた気学や易の中には存在いたします。
そうしたテクニックも用いつつ、「相克だからよろしくない」と早計な思考に走ることなく、「この人とだからできることがある」という考え方に舵を切り、人生をより創造的なものにしてゆければと思います。
私も意外と好き嫌いはある方ですが、こうした視点を思い出しつつ、じっくりと素敵な人間関係を作れる様に歩んでゆきたいと思います。
次回の投稿は4月16日です。