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なぜ鎌倉?なぜアルゼンチン?/河内一馬(鎌倉インターナショナルFC 2021シーズン監督)

メインパーソナリティ:
四方 健太郎(よもけんたろう)/ヨモケン
【鎌倉インターナショナルFCオーナー】
1979年生まれ。立教大学経済学部を卒業後、アクセンチュア株式会社の東京事務所にて、主に通信・ハイテク産業の業務改革・ITシステム構築に従事。2006年より中国(大連・上海)に業務拠点を移し、中華圏の日系企業に対するコンサルティング業務にあたる。独立後、1年かけてサッカーワールドカップ2010年大会に出場する32カ国を巡る『世界一蹴の旅』を遂行し、同名著書を上梓。(あわせて、経済界社より『世界はジャパンをどう見たか?』を上梓。)現在は、日本の大手企業のビジネスパーソン向けに、東南アジアなど新興国でグローバル人材育成/海外研修事業などを行う株式会社スパイスアップ・ジャパンなど国内外のグループ企業数社を経営。2018年に神奈川県鎌倉市をベースとする「徹頭徹尾国際化を意識したサッカークラブ」、鎌倉インターナショナルFCを立ち上げる。シンガポール在住。
鎌倉インターナショナルFC:https://kamakura-inter.com/
スパイスアップ・ジャパン:https://spiceup.jp/
今回のゲスト:
河内 一馬(かわうちかずま)
【鎌倉インターナショナルFC 2021シーズン監督】
1992年7月20日生まれ
東京都出身​/アルゼンチン在住
アルゼンチン指導者協会監督養成学校「Escuela Osvaldo Zubeldía」在籍
Conmebol(南米サッカー連盟)Football Coach A-license
NPO法人 love.fútbol Japan 理事
フットボールカルチャーブランド 92 F.C. Founder
2021年より鎌倉インターナショナルFCにて監督 兼 CBO(Chief Branding Officer)に就任予定

南米サッカー連盟のプロ指導者ライセンスを取得するとどうなるの?

(ヨモケン)
今回は、アルゼンチンと繫いでゲストとお話をしたいと思います。
ゲストと呼ぶのがふさわしいのかわかりませんが、来年の鎌倉インテルトップチーム監督に就任予定の河内一馬さんです。
おはようございます!

(河内 一馬さん)
こちらは夜なので、こんばんわ、ですね(笑)

(ヨモケン)
日本とアルゼンチンは時差12時間なので、全く逆側ですよね。
早速なんですが、自己紹介をお願いします!

(河内 一馬さん)
河内 一馬と言います。先日28歳になりまして、約3年ほど前からアルゼンチンに住んでいます。
アルゼンチンでは、サッカー監督になるための監督養成学校に通っています。
その他に、自分のメディアや既存メディアで執筆をしたり、サッカーに関するブランドを立ち上げてブランディングをしたりしています。
あとは、NPO法人の理事を勤めたりもしていて、サッカーを軸に活動をしています。

(ヨモケン)
色々やっていますね(笑)
一馬との出会いは3年前で、その時はアルゼンチンに行く前で鎌倉インテルを作る前でした。
共通の知り合いから紹介されて、初めて会った時はお互い面白そうなことをしているなという印象でしたよね。
その時、お互い頑張ってね、と言いながらも、いつか鎌倉インテルがJリーグに上がる時とかに、一馬が監督をしてくれたらいいよねと、冗談みたいな話しをしたのをすごい覚えています。
それが僕らのきっかけでしたが、そこから2年半が経ちますね。
ところで、アルゼンチンの監督養成学校では、何をしているんですか?

(河内 一馬さん)
今通っている学校で、アルゼンチンのサッカー教会や南米サッカー連盟が定めたカリキュラムを3年間行なって、CONMEBOL(コンメボル)という南米サッカー連盟のライセンスを取得しようとしています。
なので、サッカーに関連した勉強をしていますね。

(ヨモケン)
それを取得すると、監督としての免許がもらえるんですか?

(河内 一馬さん)
そうですね。アルゼンチンでの3年を終えると、コンメボル・プロという一番位の高いライセンスを取得できて、南米のサッカー連盟に加盟している国のトップチームで監督ができるようになります。

(ヨモケン)
素朴な疑問なんですけど、鎌倉インテルはアマチュアリーグに属しているので監督のライセンスは問われませんが、南米のライセンスを持っていることで日本ではどのように使えるんですか?

(河内 一馬さん)
前例がないので、わからないですね(笑)
Jリーグでアルゼンチンのライセンスを持って監督をした日本人がいないので、どういう形になるかはわかりません。(※通常、外国人が現地でのプロライセンスを持っていると、日本では「S級ライセンス相当」として扱われ、Jリーグでも監督をすることができることが多い)

ただ、日本の監督ライセンス制度に異議を申したいという想いがあったので、アルゼンチンでライセンスを取って日本で監督をするのが当初からの願いでした。

(ヨモケン)
日本初というか、誰もやったことのないところにパイオニアとして突っ走っているということですよね。

(河内 一馬さん)
上手くいけばそうなっていきますし、あとはコンメボル・プロというライセンス制度ができたのが今年が初めてで、それを取得すると日本人初になります。
今まではアルゼンチンのサッカー協会が管理しているライセンスだったんですけど、今年からコンメボルが管理するようになりました。

(ヨモケン)
日本人どうこうではなく、世界的に初の事象が起きているど真ん中にいるという感じですね。
しかも、今はコロナの影響でアルゼンチンにいるのにも関わらず、家に引きこもって監督養成学校の授業を受けていて、ある意味誰も経験していないことをやっていますよね。(笑)
そんな一馬が今年中に日本に帰ってきて、来年鎌倉インテルの指揮を取るのは僕としてはすごく光栄ですし、非常に楽しみです。

なぜ鎌倉?なぜアルゼンチン?

(ヨモケン)
鎌倉インテルへの監督就任を決めた理由は何ですか?

(河内 一馬さん)
一番最初に四方さんとお会いした時に、鎌倉インテルのビジョンを聞いてすごくワクワクして、鎌倉という街自体にも魅力を感じました。
ただ、その時は僕がアルゼンチンに行く前だったので、今の自分とは違う価値観を持っていて、いつか鎌倉インテルで監督ができたら素敵だなとしか思っていませんでした。
アルゼンチンに来て1年、2年が経ち、人生の価値観が変わっていくなかで、もっと社会に影響を与えることがしたいと思うようになりました。
自分がサッカーをやっている理由とか、監督として成功したい理由とかをアルゼンチンに来て、ひたすら考えました。
そういったなかで、自分はこういうことがしたいというのがはっきり見えてきたときに、これ以上の場所はないなと思ったのが鎌倉インテルでした。
僕としては、最後は全く迷うことなく決断をしました。

(ヨモケン)
例えば、どんなところが自分の考えとフィットしたんですか?

(河内 一馬さん)
監督をやるとなれば、今の状況からすごく変わることが多いので、そういう部分で(比較的しがらみが少ないので)新しいクラブの方がいいと思っていました。
あとは、自分のやりたいことをやるためには地方のクラブだとなかなか難しくて、ただ東京だと違うなとも思っていて、鎌倉が自分にとってベストの街でした。

(ヨモケン)
それは偶然かもしれませんけど、僕は偶然をあまり信じていなくて、偶然の集まりが必然だと思っています。
そもそも僕も鎌倉出身ではないんですけど、この街だ!とピンときて鎌倉インテルをスタートさせました。
そのピンときたというのを紐解くと、今一馬が言ってくれたことに集約されるのかなと思います。

(河内 一馬さん)
そうですね。もしかすると、僕は鎌倉でなければ監督をやっていなかったかもしれません。
例えば、東京の都心とか地方の小さい街のチームなら違っていたかもしれないので、ものすごく縁を感じています。

(ヨモケン)
あとは、僕自身サッカーはすごく好きなんですけど、サッカーのど真ん中で育った人間ではないので、発想がサッカーっぽくないというのもありますね。
それは良いところでもあり、短所でもあると思うので、お互いが補えることがあるかもしれないですね。
伝統的な強いチームになると、若い人が監督やスタッフとして活躍しにくいかもしれませんが、鎌倉インテルはこれからのクラブなので、一馬には自分のカラーを出してくれればなと思っています。

アルゼンチンの話も聞いてみたいと思うんですけど、そもそもなぜアルゼンチンを選んだんですか?

(河内 一馬さん)
これも鎌倉インテルを選んだ理由と同じで、色んな条件が合って完璧な国でした。
アルゼンチンに行く2年ほど前にアジアとヨーロッパを旅した経験があって、その時に色んな国のサッカーを見たんですけど、ここだなとしっくりくるところはありませんでした。
その時に、南米のサッカーを見ないと世界のサッカーを見たとは言えないという思いが湧き上がってきて、それなら南米に行こうという発想からスタートしました。
僕のなかで南米はブラジルとアルゼンチンしかなかったんですけど、アルゼンチンは優秀な監督がすごい多くて、スペイン語が公用語なところが良いなと思ったから選びました。

(ヨモケン)
僕も世界一周をしている時にブラジルとかアルゼンチンに行ったんですけど、サッカー中心の文化でしたね。
社会におけるサッカーの価値が全然違うなと思いましたし、熱狂の度合いもヨーロッパとは違うなと感じました。
2年半アルゼンチンにいて、これは日本とは違うなと感じたことはありますか?

(河内 一馬さん)
ほとんど先のことはわからないという前提でアルゼンチンの人は生きているなと思いました。
日本だと、電車とかバスが時間通りにくるんですけど、アルゼンチンだといつくるかわからなくて、時間に対して寛容だなという印象です。

(ヨモケン)
日本だと予定調和で物事が進んで、あまり考えなくても危険な目に合わないので素晴らしい国ですけど、それが故に日本人は考えていないので何か予定外のことが起こると急に何もできなくなりますよね。

(河内 一馬さん)
そうですよね。アルゼンチン人は臨機応変に動く力とか野生感がすごいなと思います。

(ヨモケン)
サッカーの現場でも影響はあるんですか?

(河内 一馬さん)
絶対にあると思います。サッカーというスポーツがこの国には合っているなと思いますし、臨機応変の力がすごいですね。
例えば、プロでもリーグ戦の日程が急に変わることがあるんですけど、基本的に日本とかヨーロッパでは起こらないことなんですよね。
そういうところがアルゼンチンサッカーの強い部分ではありますね。

(ヨモケン)
こういうのは経験しないと、文化的背景がどれだけサッカーの現場に色濃く反映されているのかわからないですよね。
これは選手もそうですけど、指導者とか色んな人に経験してほしいことですよね。
1年、2年行くのは難しいかもしれないですけど、少しでも海外に行けば感覚が掴めると思います。

(河内 一馬さん)
人から聞くことはできますけど、実際に来てみると聞くだけとは全然違いますね。

(ヨモケン)
今はコロナで海外に飛び出していくのは難しい環境ですけど、1年か2年したら願わくば戻るかもしれないので、年齢関係なく海外に行って色んなことを吸収して欲しいなと思います。


鎌倉インテルの将来像 社会、世界に影響を与えるクラブ

(ヨモケン)
鎌倉インテルは来年で4年目になるんですけど、将来像やどんなクラブになってほしいと思っていますか?

(河内 一馬さん)
一番は社会に影響を与えるクラブになって欲しいと思っていますし、世界にも影響を与えて欲しいと思っています。
個人的な想いとしても社会や世界に影響を与えたいと思っていますし、そういった意味でクラブと一緒に歩んでいきたいと思っています。

(ヨモケン)
日本社会にはどんな影響を与えられると思いますか?

(河内 一馬さん)
例えば、サッカーの試合がある時に町中の人がクラブのユニフォームを着たり、町のほとんどの人達が試合の勝ち負けに一喜一憂したり、そんなイメージが僕のなかにはあります。
サッカー自体の価値とも、鎌倉インテル自体の価値とも言えますけど、もっと社会に影響を与えたいなと常々思っています。

(ヨモケン)
それはサッカーが好きだから、サッカーそのものが評価されたいというのもあるんですか?

(河内 一馬さん)
それもあるかもしれないです。
サッカーが楽しいことを伝えたいのが根底にあって、これだけグローバルなスポーツであることには必ず理由があると思います。
僕はアルゼンチンに来てから、サッカーが社会にとって大きな存在であることを肌で感じているので、日本はもっとできるという想いが僕のなかにあります。

(ヨモケン)
それは、日本を出たからこそ感じるものかもしれないですね。
元々僕もサッカーが好きという理由で、サッカーボールを持って世界中に飛び出したんですけど、ボールを蹴らなくても今みたいな話をするだけで世界中に仲間が増えていくんですよね。
そこから色んなものが繋がって、国際交流が生まれたり、ビジネスが生まれたりした実体験があるので、サッカーの価値を顕在化できていないことにもどかしさがあります。
それを証明できれば、そこに対してお金とか人が集まってきて良い循環になると思っています。

(河内 一馬さん)
サッカーに関するあらゆるもののポテンシャルを最大化していきたいですよね。

(ヨモケン)
そうなると、出来て4年の鎌倉インテルはポテンシャルありますよね(笑)
なので、ここからどうクラブを育てていくのかが重要になりますね。

(河内 一馬さん)
僕が外から見ている時から、鎌倉インテルはものすごいポテンシャルを持っているなと思っていたので、そういうところを最大化していきたいなと思います。

(ヨモケン)
サッカーに限らず、海外で生活とか仕事をするにあたって、必要な要素は何ですか?

(河内 一馬さん)
ずばりメンタルヘルスですね。
海外に出ると日本では体験しないような大変なことがあるので、精神的に健康じゃないと立ち向かっていけないです。
どうしたら心が豊かになれるのか、ポジティブになれるのかというのを僕はこの2年半ですごく研究しました(笑)

(ヨモケン)
その2年半の研究結果として、どうしたらメンタルヘルスを保てるんですか?

(河内 一馬さん)
難しいですね。規則正しく朝起きるとか、健康的なご飯を食べるとか、そういった細かいところも重要だと思います。
あとは、あんまり自分を責めないことも大事だと思います。

(ヨモケン)
最低限のことはしっかりやって、自己肯定することが大事なんですね。
多くの日本人は今まで予定調和で進んできたけど、今は不確実な世の中で先が見えなくなって、自分はどうすればいいのかと悩んでいる人が多いと思います。そういった状況には、規則正しい生活は重要かもしれないですし、今の日本には必要かもしれないですね。

(河内 一馬さん)
精神的に健康であれば何でも立ち向かっていけると思います。

(ヨモケン)
これから何か新しいことにチャレンジしようとか、海外に飛び出してみようという人のなかには、なかなか一歩踏み出せない人がいると思います。
そういう人達に向けて、何かメッセージとかアドバイスはありますか?

(河内 一馬さん)
僕はよく年下の人にアドバイスを求められたら、自分のペースを守ったほうがいいと言っています。
人によって成長速度は違うので、周りの人と比べてしまうと自分のペースを乱してしまうんですよね。
そうすると、元も子もなくなってしまうので、周りを見ないで自分のできることに集中してほしいと常々思っています。

(ヨモケン)
人と比較して自分はできないと思うのではなくて、「自分は自分」と考えるんですね。

(河内 一馬さん)
はい。自分が思うようなペースで生きてほしいなと思います。

(ヨモケン)
新しい視点を頂きました。僕も40歳ですが自分のペースで生きたいと思います(笑)
一馬とはいつリアルに会えるのかわかりませんが、会える日を楽しみにしています!
ありがとうございました!

(河内 一馬さん)
ありがとうございました!


エンディング

今回はアルゼンチンから、河内一馬さんにお越しいただきました。
次回以降も、新しいゲストを世界のどこかと繋いでお迎えしたいと思います。
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ビジョナリーサッカークラブのつくり方 鎌倉インターナショナルFC、創設初年度の軌跡

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<footballista / 河内一馬が鎌倉インターナショナルFCの監督兼CBOになる理由 >
https://www.footballista.jp/special/78316


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