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新しい文章力の教室(週末日記#26)

この記事では、先週読み終わった「新しい文章力の教室」(著:唐木 元)という本のまとめを書いていく。

自分は最近、文章を書くことがあまり得意でないことに気づいた。それを解決するために、「読みやすい文章を書くにはどうすれば良いか」ということが書かれているこの本を手に取ったわけだ。

この記事の真の目的は、本の内容を自分の記憶に定着させることだが、ついでにこの記事を読んでくださった方が少しでも多くの学びを持ち帰ることができれば、それ以上に嬉しいことはない。

では始めていこう。


完読される文章を書くには

良い文章とは

説明を始める前に「良い文章」の定義付けが必要だ。著者によると良い文章とは完読される文章のことをいう。さらに簡単な言葉でいうと、読者が負担を感じることなく最後まで読んでもらえる文章のことだ。

とにかく読みやすく、誰でも簡単に完読できる文章が最も良い文章だ。

事実・ロジック・言葉使いの三層構造

良い文章に必要不可欠な要素として挙げられているのは「事実・ロジック・言葉使い」の三つだ。優先度も順序通りである。

記事や日記、ニュースなど、人に読まれる文章というのは事実に基づいたものでなければならない。いくら論理立った文章であっても全くの嘘が書かれていればそれは良い文章とは言えない。事実が最も重要な要素である。

二つ目にくるのがロジック(論理)だ。論理立った文章と聞けば小難しい言葉が並べられた文章を想像する人が多いが、必ずしもそうである必要はない。論理とはむしろ、思考を表現する力、あるいは表現された思考をきちんと読み解く力に他ならない(野矢茂樹、2001)。すなわち、人に伝わりやすい文章こそが論理立った文章であるといえる。

三つ目が言葉使いだ。事実、ロジックに続き、語呂、語句などの言葉使いが読みやすいものであれば、完読してもらえる可能性はさらに高まる。言葉使いは一見、良い文章において最も重要な要素であると思えるが、事実とロジックの方が「完読される文章」においては重要である。いくら言葉使いが不自然な文章であっても、100%事実に基づき、論理的に書かれていればその文章は読者の興味を惹き続けられるからだ。言葉使いは事実とロジックで作られた文章に読みやすさを足してくれる装飾品のようなものだ。

完読される文章を書くには「事実に基づき、ロジカルで、言葉使いが適切」である必要がある。

書く前に主眼と骨子の「地図」を持つ

事実と言葉使いに関しては、リサーチや知識によってカバーすることができるが、ロジックはその方法を理解していないと論理的な文章を書くことはできない。

ロジカルな文章を書くには、書き始める前に「主眼と骨子」を決めておく必要がある。主眼とは、その文章で何を伝えたいのかということだ。骨子とは主眼を達成するための骨組みのことを指している。この本では「何を・どれから・どれくらい」話すかを決めることがこれに値する。

このように主眼と骨子を使い事前準備をして、それに基づいて文章を作っていくことを構造的記述という。初心者が良い文章を書くにはこの構造的記述が不可欠だ。主眼と骨子の「地図」を明確に描き終わってから記述を始めると良い。

具体的には、一枚の紙を用意し、一番上に大きく主眼を書く。その下に線を引き、骨子を過剰書きで追加していく。この段階で順序や重要さを決める必要はない。全て書き終えた後に「どれから・どれくらい」を決めていく。この本では「A・B・C・D」で優先度と長さを決めていたが、やり方は様々なので好きなようにやると良い。

「何を伝える文章(章)なのか」、「何を・どれから・どれくらい書けば主眼を達成できるか」この二点を書き始める前に入念に準備することで素早く、目的が明確な文章を書くことができる。

話題を取捨選択する

完読される文章を作るためには話題の取捨選択が必要になる。書き始める前に含めたい内容を箇条書きしたら、その内容全てが本当に必要かどうかを見極めてみるといい。目的はあくまでも完読されることであり、あなたの主張や意見を強調するものではないことを忘れてはいけない。

日記では主観的な意見や感想が含まれていても良いが、それの目的が他者に読んでもらうこと、または読んでもらえるような環境下にあるのなら最低限の取捨選択の工夫を施すべきだ。自己主張が強すぎる文章というのは時に人を不快にさせてしまう。

読み返して直す

意味・字面・語呂を見直す

「地図」に沿って書き始めたら、まずは完成させることを優先するべきだ。一度で完璧な文章を仕上げようとあれこれ考えていたら時間と労力がかかりすぎて、タイパ(タイムパフォーマンス)がよくなくなるからだ。完璧でなくてもまずは完成させて、その後に読み返しを繰り返して、徐々に磨き上げる方が効率が良い。経験を積んでいくとこの読み返しが1回で済むようになる。

読み返しの際に見るべきポイントはいくつかあるが、第一に優先して確認が必要なものは、意味・字面・語呂だ。

「意味」は言わずもがな、文章を読みながら全体的に、または単語が不自然な書かれ方をしていないか確認をするといい。

「字面」を例えるなら、このようにひらがながつずいてしまうようなぶんしょうのことをいう。漢字もひらがなも続きすぎると読みづらくなる。やむを得ない場合は読点をうまく使うといい。

最後に「語呂」だ。人は文章を読む時も心の中で音に変換しながら読んでいる。文章リズムの心地が悪いと最後まで読む気を失せてしまう。心の中で音に変換しても分かりにく人は音読してみると良いだろう。語呂の確認は主に自分の感覚でのみ確認できることだが、どうしても分からないときは第三者に読んでもらうのも良いだろう。

重複チェック

同じ単語、文末が何度も使われている文章は非常に幼稚に見える。例えば、「昨日家族で温泉に行きました。帰りに温泉まんじゅうを買いました。その後、車で帰りました。車の中で寝てしまいました。」のような、文末が全て「ました」で統一されている文章は誰から見ても非常に読みにくい文章になる。

これを変えてみると、「昨日家族で温泉に行った。帰りに温泉まんじゅうを買い、車で帰る途中、車内で寝てしまった。」と修正できる。修正する際に注意すべきポイントは重複を最小限にして不自然さをなくすことだ。

このように、単語に加えて、文末の重複も修正するとさらに洗練された文章に仕上がる。

本来の意味から離れた漢字はかなで書く

「事」「物」「〜と言う」の三つはよく使われる言葉だが、これらは本来の意味から離れた使われ方をするので、「こと」「もの」「〜という」のように、ひらがなで書くのが好ましい。漢字で書くことで必要のない情報を読者に与えてしまい、読む上でのストレスになってしまうからだ。

濁し言葉を取る

「など」「〜ら」「といった」「ほか」
これらは何かを例示するときに他の選択肢の言及を省くことができる便利な単語だ。しかし、良い文章であればあるほど、このような濁し言葉は使われない。もちろん完全に省くことはできないが、できるだけ濁し言葉を使わない努力をする過程で、少しずつ「事実」の解像度が高く、信頼性のある文章に仕上がる。

文章力を仕事で活かす

構造的記述は仕事の効率を上げる

ここまで書いてきたことに忠実になれば、ある程度のレベルの「人に読んでもらう文章」を書くことができるだろう。だが、実際に文章を書く人なんて小説家やライター、出版系、広告系の仕事をしている人に限られるのでは、と思った方が多いと推測する。

しかし、この本の(特に)序盤の部分が示している、構造的記述というスキルはどんな仕事にも活かせる。例えば、企画書や報告書を書くときには、いたずらに書き始めるのではなく、事前準備として主眼と骨子を決めた方がより精度の高く分かりやすいものに仕上がる。

したがって、構造的記述というのは「人に伝える」もの全てに関連しているスキルだと言える。ここでは仕事と言ったが必ずしもそれだけとは限らない。自分が考えていることをどう伝わりやすい文章に変えるか、そんなことを学びたい人はぜひ一度この本を読んでみてほしい。

では、また次の記事で。

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