カミングアウトに正解はない


※この記事での「カミングアウト」は「セクシュアルマイノリティを他者に打ち明ける」ことを指しています


こんにちは。そしてお久しぶりです。

ずいぶん久しぶりの投稿になってしまいました。最後の投稿が約2年前?

あの時書いたnoteにいまだにいいねをいただきます。
思った以上にいろんな人に読んでいただいて、ゲイの悩みって割と共通するものがあるのかなと感じました。

僕ですが、あれから何をしていたかと言うと別れた彼氏とは3ヶ月でやり直す事になり(早い)、それからすでに2年。

また、新卒で入社し3年半務めた会社を退職しました。


本題です。

皆さんはカミングアウトをしたことはありますか?

おそらく大半の方は経験があるのではないでしょうか。

家族、友人、同僚、、、
僕らゲイにとってカミングアウトとは、切っても切れない関係にあると思います。

長くなりますが、若い子や悩んでいる方の参考になれば、、、




僕がゲイだとはっきり自覚したのは中学2年生の時です。

僕が興味を持ったのは幼馴染の女の子でもクラスで一番可愛いマドンナでもなく、やはり男性でした。

男の子の裸を見てみたいとか、仲良くなってみたい、手を繋ぎたい、キスをしたい、それから、、、と思うのはもちろん男だけ。

当時、大好きなAKB48の曲にこんなフレーズが出てきました。

「ねえ この世にはオトコ・オンナ・ゲイしかいないの」

Dear my teacher/AKB48

ゲイ?ゲイってなんだ?
ガラケーで調べてみるとゲイとはなんであるかが書いてありました。

あ、これじゃん

今まで感じていた違和感というか、モヤモヤしていた感情の正体。

ゲイなんだ、おれって。


左利きの人がいるように、同性が好きな人もいること、それが少数派だということ、まだLGBTという言葉が世に広まっていない時代だったこともあり、ゲイの人に嫌悪感を抱く人も多いと書かれていました。

どうして自分はゲイなんだろう、いつから?なんでこんな人生を送らなければいけないんだ。男同士じゃ結婚もできないし、周りにゲイって言ってる人なんていないし。ゲイってことはおれもテレビに出てるオカマの人たちと同じなのかな、でも、女性の格好がしたいわけではないし、、、心も体も男だよね?大人になったらああなるのかなと、とにかく無知な14歳の僕にはあまりにもショッキングな出来事でした。

「お前、女とばっかり仲良くしててそんなに女好きなのかよ。それとも、もしかしてオカマ?きめー。」

と男子たちに揶揄われることもしばしば。
この頃から、男子たちの会話についていけず、女の子と仲良くすることが多かったです。

この「ゲイなんだ、おれって」を自覚してから、より一層男性への興味が強くなったように感じます。今までなんとなーく目を逸らしていたのかもしれません。

そして中学最大の難関、修学旅行。

完全に性への関心は男性。
覚えたてですが一人でする時のオカズももちろん男性でした。

一緒の時間にお風呂入ることなんてできない!
クラスメイトの裸を見て勃起してしまったらどうしようとか
かっこいいあの子に自分の裸を見られるのが恥ずかしいとか

そんな、なんていうか今思えば可愛い不安なんですけど

思春期真っ盛りには地獄のイベント。

結局、具合が悪いと担任に嘘をつき、お風呂の時間をみんなとずらしてもらったのを覚えています。




前述の通り、クラスメイトから「オカマかよ」と揶揄われていた僕は知り合いがいなくなるようにと地元からは少し離れた高校に進学を決めました。

しかしその思惑も失敗。

集まるのはスポーツが得意な男の子たち。
体育会系のノリはとにかく、僕には合いませんでした。

ですがこの高校で僕に初めて「好き」な男の子ができたんです。

同じ部活の、男の子でした。

Aくんとしましょう。

男の子と仲良くできなかった自分が、心を開いてしまうほど優しい子でした。

今までとは違う、明確な好き。

Aくんは友達として接してくれていましたが、僕は一緒に過ごす時間が増えるにつれて「友達」では片付けられなくなっていました。

毎朝一緒に登校して、帰りはAくんの最寄り駅で好きな音楽とか、部活の話を随分と遅くまで語りました。彼におすすめされた音楽を聴くのが好きだったし、こんな時間がずっと続けばいいなと思っていました。


もちろん、彼がノンケであることは知っていました。

叶うことなんてないし、この気持ちを伝えてはいけない。

だって、思ってもない、ただの男友達に好きって言われたら困るじゃないですか。
気持ち悪いって思われるかもしれないし、これからどうやって付き合っていったらいいのかわからない。それに、Aくんが「あいつに告白されたんだよ」と周りの人に言いふらしたりでもしたら、僕の高校生活は終わりです。

ノンケが振り向いてくれるなんて、そんなのファンタジーです。

結局、これ以上好きになりたくない僕はAくんを避けてしまい、そんな僕に嫌気がさしてAくんも僕を避けるようになりました。

自分が悪いんですけど、いやーもう、とにかくつらかったです。

僕が高校生になってできた初めての友達で、好きな人。

もし僕が女の子に生まれていたらAくんは僕のことを好きになってくれたかもしれない、ノンケに生まれていたらAくんと一生友達でいることができたかもしれない。

どうしておれはゲイなんだろう、、、

ゲイなんていいことないじゃん!

部活も恋愛も、うまくいかないのは自分がゲイだからだと本気で思っていました。

Aくんとはその後友達に戻れることはありませんでした。

卒業式の日、Aくんと話したかったのですが勇気が出ず、SHISHAMOの第3ボタンを聴きながら帰りの電車で涙したことも今となってはいい思い出です。





そんなこんなで大学生になり、東京へ進学。一人暮らしを始めました。

ここで今までの人生観が全部ひっくり返ったんですね。


そして20歳の誕生日、母親にカミングアウト。

「伝えよう!」って決めていたわけではなく、なんとなく言うなら今かなと思い、母親から誕生日おめでとうと電話がかかってきた時に伝えたんです。

きっと大丈夫だろう、なんて慢心があったのかもしれません。

カミングアウトって、ものすごくエゴイズムな行為だと思うんですよね(持論です)

だって、分かって欲しいから伝えるわけじゃないですか。

本当の自分を知って欲しいから。
ありのままの自分でいたいから。
隠しているのがつらいから。

なんていうか、まず「自分」なんですよ。


愛情目一杯に育ててきた息子にゲイだと告白されて。
母親はどう思ったのでしょうか。

伝えること自体が悪いことだと思ってはいません。

でも、伝えるにあたって相手の気持ちを考えなければならない。

自分がゲイだと伝えることで、傷つく人、戸惑う人、気持ち悪いと思う人。

どう思うかは相手次第だし、「分かってほしい」を強制してはいけません。


母親からは「少し時間がほしい」と言われ電話を切られました。

翌日、「なんとなく気づいていたよ」とLINEが入っていました。


大変なのは貴方だからと言われましたが、正直めちゃくちゃ気まずかったです。

「女の子になりたいってこと?」
「いつか結婚して子どもができるかもしれない」
「男を好きなのは今だけかも」

などなど、数々のいやいやそうじゃなくてを連発。

まあでも、息子から突然のカミングアウト、そりゃ混乱するよなと。
こうなった以上、直接会って話すべきかと思いましたが、母親も取り乱しそうだし、僕も感情的になってしまう気がしたので、手紙を書きました。

男として男が好きだということ
女性と付き合うつもりはないということ
孫の顔は見せられないこと
彼氏(当時)がいること

そして、親の手を借りずに生活できること

つまり縁を切られてもいいと書きました。



上京する費用を出してもらったくせに、何言ってんだって感じですよね。

東京に出て来てから二年間、 稼ぎのいいバイト(察してください)をしていたこともあって、なんとかやりくりしていけそうでした。

まあ、今思うとかなり自分勝手な考えだったと反省しています。

2週間ほど音沙汰なく、あーこりゃもう終わったなと思っていた矢先、母親から「成人式の日、帰っておいで」とLINEが来ました。

行くつもりのなかった成人式ですが、当時付き合っていた彼氏に後押しされ、心臓バクバクの帰省。

何を言われるのかとドキドキしていましたが、いざ家に着くと母親も父親も、普段と何も変わらず、、

どうして何も言わないのかと尋ねたところ「何も言う必要ないから」と言われました。

どういう意味かは分かりませんが、色々考えた上で息子がゲイということについて何も言う必要がないと判断した母親の気持ちを尊重するのであれば、この話題については僕からもこれ以上話すことはないと。

別に、分かってもらわなくてもいい。
アドバイスが欲しいわけでもないし、同情してほしいわけでもない。

「今まで気づいてあげられなくてごめんね」
なんて言葉が欲しかったわけでもないです。

じゃあなんでカミングアウトしたのか?

たぶん、「もう自立したからさ、自由に生きさせてね」のカミングアウトでした。

初めてこの時、今までガチガチに武装していた鎧を脱げた気がします。

20歳になり、まだまだガキでしたが、ガキなりの決意でした。


それに親であろうと、どこか他人と思っている自分がいるんですよね。

もちろん両親共に大切な存在です。
彼氏も紹介しましたし、関係性は良好。

ですが、彼らが僕の人生を決めることはできないし、僕も彼らの人生を決めることはできません。


もしかしたら、親の言うとおり今後子どもが欲しいとか、女性を好きになったりすることがあったかもしれません。うーん、99%ないけど、人生何があって自分の考え方がどう変わるかなんて分からないじゃないですか。

でも、嫌だったんです。

女性を好きになる自分も、子どもの世話をしている自分も、それっておれなのかな?って。

学生時代はスポーツに熱中したり、就職してからは仕事に力を入れて、上司と飲みに行ったり女遊びをしたり、でもちゃんと結婚して、子どもができて、愛情持って育てて、こういう言い方はあまり良くないかもしれませんが、そういうモデルコース?のような暮らしをしている自分を想像すると気持ち悪くて仕方ありませんでした。

もちろん、上記のような生活をしている方は素敵だと思います。
自分はそうはなれないなってだけです。


ゲイライフ最高!とは思っていません。
きっとゲイじゃなかったらもうちょっと、楽に生きられたと思います。

でも20歳になるまで傷ついてきて、たくさん悩んできて

やっとゲイであることを受け入れられた。

だから、この先自分が万が一でも女性を好きになることがあったら、子どもが欲しいと思うことがあれば

「オカマかよ」と揶揄われ、好きな男の子には告白することすらできなかった、そんなふうに今まで傷ついてきた自分が報われない気がしました。


意地を張っているといえばそうなのかもしれません。

でも、僕の個性なんです。

個性、、、

そう思えた時に、「ゲイだから」うまくいかなかったんじゃなくて
うまくいかない理由を「ゲイだから」にしてしまっていたんだと気づきました。

ゲイじゃなくたって、Aくんとうまくいってたとは限りませんし、
揶揄われた理由が「なんかムカつくから」だったかもしれません。

じゃあいっそのこと「ゲイだから」毎日楽しいのかもと考えてみたり。

僕にとってのカミングアウトとは

今までの自分を肯定してあげることだったのかもしれません。


かと言って、みんなもカミングアウトしてね!とは思ってないです。

カミングアウトして自分を包み隠さず生きるのも
カミングアウトせずに取り繕って生きるのも

どっちだっていいんです、自分の自由です。

「ありのままの自分で」なんて良く言いますが
「ありのままじゃない自分」もまた、自分の一面じゃないですか。


「この人には伝えてもいいかな」
「この人には言いたくないな」
と選択肢があったっていい。

親を傷つけたくないからと、
カミングアウトせずに墓場まで持っていってもいいと思います。
ノンケっぽく生きてみてもいいと思います。

言っても言わなくても、どっちでもいい。
カミングアウトをすることに正解はありません。
言わなくたって、自分に嘘をついているわけじゃないですよ。

だから、どんな選択をしたって、君は君です。
一度決めた選択をまた変えてもいい。
ぜんぶ君が決めていいんです。


母親へのカミングアウト以来、相手から聞かれるまで自分のセクシュアリティについて話すことはしていません。

聞かれたら「そうだよ」と答えますが、自分から伝えるのはやめました。

マイルールです。
自分からは言わない、聞かれたら答える。

僕は彼氏のこととかもインスタに平気で載せたりしてるし、男と二人暮らししてると職場でも言ってきたので大体は「彼氏何してる人なの?」とかそんな聞かれ方ですけどね。

カミングアウトって言葉がなくなるくらい
世の中が全てのセクシュアリティに対して寛容であればいいなと思いますが

シークレットだからこそ、楽しめるものもあったりしますよね。


まとまってるかは分かりませんが

時代はセルフラブですよ?

「最上級に可愛いの〜♪」なんて歌が流行ってるくらいです。

時代は変わってるんです。

どんな自分も、最上級に可愛いのかもしれないですね。








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