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いまいち楽しみ切れなかったキングオブコントの感想
「今年はレベルが高い」という感想を何度か目にしたが、たぶんこっち側のメンタルとボディの不具合で、例年よりもあまり楽しめなかった。
歳を重ねたことで、感性がマヒしてきている感じもするな。
バイきんぐ・かもめんたるが優勝していた年のほうが圧倒的に面白かったような……。
まあでもこれは、きっと思い出を美化してるだけか。
近年では空気階段の優勝年も印象的だった。
楽しめなかったとか言いつつ、もちろん全ネタ声を出して笑ったので、せっかくだから感想を書いておこう。
こういうのはお笑い評論家ぶってあーだこーだ言うまでがセットなので、「今年おもんない」とか「審査おかしい」とか、なんでもかんでも言い放題で楽しむもんだと思ってる。
好き勝手書きます。
全員敬称略。心からリスペクト。
***
ロングコートダディ
・モンスターカスタマー兎が、特に擁護のしようのないモンスターだったので、個人的には笑いが半減してしまった。
・最初のピンクの花束について、「一切の好みをヒアリングしなかったらそうなりますよね」とか、「そもそも予算を聞かないのはどういうおつもりですか?」とか、なにかこう、一定の正しさを感じさせるロジックを披露して欲しかった。
・こういうイヤミはある一定の客観性に基づいた「正しさ」があったほうが面白いと感じる。元和牛の水田とか、かまいたち山内とか、ブラマヨ吉田とか。ああいう人たちがネタでも平場でも披露するような、気持ちの悪い正論を楽しみたかった。
・「あの、ラッピングを完成させる前に、一度手で持った状態で確認してもらうっていう発想は持てませんか?」とか、刺しに行く正論を言うなど。
・見ている間に、上記のような「イヤミが面白い人たち」をけっこう連想してしまって、そこと比較して「足りない」と感じてしまった。
・「まだマイナスです」、最高。セリフのシェイプアップ、ばっちり。
・もちろん笑ったのだが、「まあまあまあ、トップはこんなもんか」という肌感だったので、めちゃくちゃな高得点にひっくり返った。
ダンビラムーチョ
・なんやねん、四発太鼓って。
・設定めちゃくちゃ面白い。早めに三回叩いちゃうとか、普通に笑った。
・でも、こういうのも「にゃんこスター」のほうが、何しとんねんこれという感じで腹抱えて笑ったなぁと比較してしまった。
・ので、「あぁ、もう懐古厨として死ぬしかないかぁ」と、この辺ですでに落ち込んだ。
・パワハラ設定はなくてよかったと思う。あんまり面白くなかった。そっちより、それこそロバート秋山がやりそうな「音響と肉体関係を思わせるほど異様に親密」とか、観客にやらせるときも、心の底から楽しんで欲しいと願って涙が出ちゃうとか、愛情が暴走するタイプのキャラクターで、四発太鼓が見たかった。
・四発太鼓という設定がほんとにわらけるので、彼だけは四発太鼓を疑わず信じ愛し抜いたままラストに向かったほうが、どうかしてて面白いんじゃないだろうか。
・いっぱい叩きたいという本音の吐露ではあんまり笑えなかった。たぶんそうじゃない彼を理想として思い描いてしまったからだと思う。
シティホテル3号室
・初見。なにこの人ら。演技がどっしりしてて場数を感じさせた。そこに驚き。
・実は演技でした、の仕掛けが好評だったけど、僕は冒頭の時点で「これは社長が本当にアドリブで値引きさせられているのか、それともそういう流れを社長と演じてるという方向に行くのか、どっちだろうなぁ」と思いながら見てた。
・ので、「アハッ、やっぱそっちね!」という感じで笑ったが、会場が「ええー!?そっちー!?!!?」のレベルでウケてたのが、すごく意外だった。
・「掃除機で頭を吸う」とかは別にあんまり面白くなかった。
・普通にめちゃ笑ったけど、ボケをあんまり思い出せない。そういう「弱さ」みたいなのはあったと思う。
・タレント側が炎上リスクにおびえるみたいな展開だが、別にタレント側に対してあまり思い入れが湧かず、「別にお前の炎上リスクとかどうでもいいから、いちいちそこ議題に上げんといて」と思ってしまった。
・社長にも、「どうせ何の未来もない、粛々と人間関係をこなしてうまく泳いでいくだけの敗戦処理タレントがガタガタ言うな!」くらいの厳しいことは言って欲しかった。
や団
・冒頭の釘、伏線だと思って気にしてたら、単に正義感があるを示すための記号でしかなくて、なんじゃそりゃと思った。いる?
・あれをやるなら、アナルにツッコんだ後の指を、さらに釘でケガして舐めてもらうとか、そういう回収が必須じゃない?
・後半ひたすら絶叫してツッコむのほんまオモロイ。
・おもろかった。
コットン
・これは絶対に配役が逆。なんでこうなったんだろう。
・人形劇を、周りが目が離せなくなるクオリティで上演するなら、絶対にきょんにやらせないといけない。きょんにやらせれば、西村が心酔していくおじさんを演じるのもそう難しくないはず。
・単純に、あの人形劇、そんなのめり込むほどのクオリティか…?
・それこそきょんの演技で説得力出せてるけど、なんてことないつまらないドラマを、大した演じ分けもなく上演しているだけなので、観客としては入っていけなかった。
・西村に批判的すぎるか。でもそこじゃなくて、きょんのほうが常軌を逸してうまいはずだろ?っていうことが言いたい。
・「キスエロ」笑った。でも、それも「小学生が大まじめにやってる」ということ込みで、きょんならもっと重層的な表現ができたと思ってしまう。
・ちょっと俺がきょんのファン過ぎるかもしれん。マジもったいないと思う。
ニッポンの社長
・くそわろ。
・バットが折れやすすぎるというか、「バシン!」と当たってる感じがなく、ほぼ感触なく折れてしまってるのだけが、僕の文句の付け所。
・あとは何もない。シンプルにくそわろ。
・逆に、別に大した評価点もない。終わった時点で、「はー、おもろ…!絶対に点は高くないわ…!」と思った。マジ可哀想。
・純粋な笑いで言うと、ニッポンの社長が一番だった人、結構いると思う。なんか、ここにズレが発生してるの、ちょっと健全じゃないなという感じがする。
・にゃんこスターとかまいたちがギリギリで競ってしまう、競ってしまうことになってしまうからこそ、だからこそ「お笑いの大会」と言えるのでは?
・点数に笑いが反映されてない感じがして、「こいつら何を大真面目に審査しとんねん」と思ってしまった。おもろいやつが一番えらいんちゃうんかい。
・声小さいのオモロイわぁ……。なんやねんアイツ……。
ファイヤーサンダー
・アイデアおもろい。
・ただ最初のたとえツッコミの列挙の時点で、「ああ、それが本当に言い当てていたっていう展開にするのね」と読めてしまったので、そこで笑えなかった。
・会場はウケてたので、意外だった。
・クプクドゥブフとどっちがオモロイかっていうと、クプクドゥブフのほうがオモロイ気がする。そういう爆発力を味わえなかった。あれはクプクドゥブフって言われるまで、まさかクプクドゥブフなんてことに展開するとは予想だにしなかったから。
・(加筆)クプクドゥブフはキングオブコントじゃなかった……。
・この人らめっちゃネタ面白いのに、なんか不遇っぽくてマジで可哀想。知らんだけで単独とかはけっこう売れてんのかな?
・「君みたいな勘の良すぎるツッコミは嫌いだよ」みたいなのって、あえて入れてんのかな。そういうのはあんまり面白くなかった。ガキくさくて冷める。
CACAO
・フリが長くてタルかった。
・めっちゃうまくなること自体はそんなにおもんなくて、でも部室でスパンスパンやるその動きそのものは気持ちよくておもろかった。
・フリに対してのオチが普通過ぎるというか、もっと変なことになって欲しかったな。
・ジャルジャルの「野球どんどん下手なっていく奴」くらいには、「お前たち、なんでそんなことになってしまったん…?」と思いたい。
・まったく野球に関係しない、ものすごく特殊で限定的な技能が発達するとか、そういう結果に至ったほうが面白いと思う。
・それこそ、例えばこれが漫画やアニメなら、あの狭い部屋に18人集めて試合するんじゃない?そういうとんでもないイマジネーションを予感させてしまうフリだからこそ、もっともっと裏切られたかった。
隣人
・おもろかった。最下位、ひっくり返った。ぜったいファイナル行くと思った。
・背筋伸びるところマジ笑った。伸びた後、もう戻らないで欲しかった。
・あそこから、普通に人間的な挙動をするだけで笑いが倍増するシステムにできてたはず。落ちたものを拾うとか、肩に虫が止まった気がしてパッと払って宙を見るとか。
・そういう、ささやかな人間らしさでたまらなく怖がれるはずだったので、歌い出すという大きなボケよりは、おだやかに喋り出して欲しかった。
・おじいさんが感じている「怖さ」に共鳴しにくかったのがアカンかったのかな…。なんにせよ俺はケラケラ笑ってたので、点数の低さにマジで驚いた。
・もう、自分はダメなのかもしれない。
ラブレターズ
・そんなに笑えなかったのよね…。だからマジ優勝が驚きで。
・いや、笑えなかったって、もちろん笑ってはいるんだけども。個人的には演技レベルがちょっと……。同じネタでも、シソンヌがやるだけで多分僕の腹は千切れる。
・父と母が嘘過ぎない?僕、そこがアカンみたい。こう、ドラマに入っていく感覚をまったくつかめなくて、ずっと嘘を見せられてる気持ちになってしまった。
・息子の名前に設定がないのとかもホントにそれを象徴するような甘さというか。なんでもいいからテキトーにつけて、その名を呼ぶだけでリアリティが全然違うのに。
・息子がどんぐりを集めている=外に出ている、という事実に対して、両親に感情移入して喜べなかったのも大きい。どっちかというと、「その、息子の精神状態は、健康なの?」というところがずっと頭に浮かんで、それを全く気にしない親に乗っていけなかった。
・何が面白いのかよくわからないというか…。これってなんでみんな笑ってんの?
・「ひきこもりの子どもが、ドングリを拾いに外に出ていたことを知って、泣く親」だとして、それは面白いことではないやんね…? 二人の、なんやろ、言い方というか、反応みたいなのが面白いのはわかるねん。ドングリぶちまけるのとか、いいよね。
・この、なんやろ、このコントって、「何」が面白いんだろう。
ラブレターズ②
・で、「何が面白いんだろう…?」の頂点が、この海岸のコントだった。
・これマジでなんなん? いや、笑ってんねんで? 俺もずっとシラけてみてるとか、そういうことではないねん。アハハって声出してんねんけどさ。
・これ……、これなんやねん……?
・結論、多分僕ラブレターズの「演技体」がハマってないんだと思う。ゆうたって別にストーリーとか展開がぐちゃぐちゃであることに対して、僕はそんなネガティブな印象を持つタイプじゃない。
・純粋に、「こいつらずっと嘘ついてるやん」と思ってしまう。変なことをしてる。ずっと。あんな人間はいない。両方とも。
・だから僕にとって不可解に映る。「人を笑わせるためのセリフと、人を笑わせるための動きを、人を笑わせるために行っているキャラクター」に見える。
・ニッポンの社長のケツはそうじゃない。だから大好きで、オモロイ。あいつは、誰を笑わせる気もなく、ただただ声がちっちゃい。
ロングコートダディ②
・オモロイ!
・ぜんぜん優勝でよかった。可哀想。
・モニターが美術にめり込んでるのが、まあ、美しくはない。
・あれ左側の壁いらないんじゃない? モニターはあくまでモニターとして置いておいて、岩のバケモノと台とは別の物体にしておいたほうが、まだギリ美しい。
・あと兎が兎じゃなくて良すぎて、確かにもったいなくは感じる。
・「介して」という大して意味をはらんでないところでコミュニケーションが停滞するのめっちゃおもろかった。あるあるだよな。
・おもろかったけど、歴代の「爆発」を思うと、やっぱりそういうのはないなと感じた。なんかこう、常軌を逸した熱狂みたいな笑いを求めてしまう。
・贅沢。
ファイヤーサンダー②
・いやおもろい、優勝でもよかった。
・やっぱアイデアが良い。わらける。
・別に文句がない。ケラケラわろた。
・ストーリーの進行に合わせて練習してるやつの衣装が変わらなかったのは残念かも。サングラスだけじゃなく、一式変わったほうが面白い。まあでも暗転のスピード感をあれ以上損ねたくないのはわかる。
・でもクプクドゥブフとどっちがオモロイかって言ったら、クプクドゥブフだと思う。
・こういうのほんまに可哀想よな……。常連の出場者はほんまにすごいし、ほんまに可哀想やで……。
***
や団もなぁ…。やっぱ俺かつてのバーベキューネタのほうがおもろかったもん。
コットンも浮気証拠隠滅ネタのほうがおもろかった。
漫才はさ、なんとなくこう、ネタ履歴を「積んでいける」感覚があると思うねん。
それこそニンが伝わるにつれてウケやすくなるとか。
「去年より面白い」が、コントよりなんとなく実現しやすそう。
(いや舐めた考え方なのは百も承知だが)
(ただこう、同じレールの先という感じがするのよ、去年と今年が)
ただコントは……。
コントはキッツいわなぁ~…!
それでいうと、コントは別のレールを走らされるイメージ。
これマジで、コント師のためになってんのか、この大会……?
キングオブコントの優勝をめざすってことが、この国の芸人たちのコントの質を上げることにつながってるのだろうか……?
それこそ審査員の面々にとって、KOCなんて、単なる足かせじゃなかったか…?
どうよ…?どうなのよ…?
君らは、KOCという鬱陶しいものを、振り払ってからついぞ輝いた感じがしない…?
ま、俺らはおもろいから楽しませてもらうだけやけど。
あんまりヘンに消耗されずに、長いネタを好きに作って欲しいもんですね。
(了)