推し(推師)に会える奇跡を迎えてみえた感情のフェーズ
夢は「口に出してなんぼ」だと、色々なところで耳にしてきた。
今までも、口に出して行動したら希望が叶ったことが何度もあった。だからね、試しにまずは仲間の前で語ってみた……我が「推し」について。
秘めていた想いを吐き出したのが2月。
調子に乗り出して、語りが止まらなくなったのは3月。
仲間は、私が早口で眼光開いてしゃべり出しても、「面白いね」「へえ、読んでみよ」などと言って、受け入れてくれた。優しい。
心の中であたためていた夢を、行動に起こそうと思ったもの、この頃だった。
<推しに会いたい。会って質問したい!>
ってか、推しと言っているけど私にしたらどちらかというと「推師」って感じだな。私の思考の軸になっている大きく尊い存在。
そして、先週。脳内であたためていた熱い想いと読書会のお誘いを、メールで送った。我が推し様は、現役を引退されているから、半分ダメもと、半分は神頼み。けっこう本気で拝んだ。
翌日。返事がきた。
オッケー。オッケーだって! 返事がきちゃった!!!
これが1週間前。そしてこの1週間、私は今まで経験したことのない、色々な感情の波に流されていたので、ここに記しておきたいと思う。
フェーズ1【幸福】興奮して眠れない
ご本人からの返信は神がかっていて、メールが作品の文体そのままだったことに、興奮した。メールの始まり、言葉の選び方、句読点の打ち方、漢字のひらき方、ご本人だとすぐに分かった。それがもう、感動で感動で、何度も何度も読み返した。すぐさまメールをダウンロードして、パソコンと携帯の両方に、保存。私の宝物になった。
どうしよう……どうしよう……きゃーーーーーー!!!
ライターである我が師と仲間達に報告したら、みんなお祭り騒ぎで喜んでくれた。まじで優しい。
この時の私は、うれしくてうれしくて、舞い上がって、「どうしよう」を連発しながら、パタパタ空を飛んでる気分だった。
フェーズ2【絶望】ウジ虫モード炸裂
幸せな気分もつかの間、数時間後。私の症状は激変した。
<私、大丈夫やろか。ベテランの推し様を前にうまく息ができるやろうか。ちっぽけやなコイツって思われたらどうしよう……>
私はもともとメンタルが豆腐で、自分に自信がない。ビビりのくせに、行動したがりで、けっこう面倒くさいヤツである。
自信の種がきゅうっと縮んでいくのを感じた。私の心が下を向きかけている。やばいな、こりゃ。
そこで、同じスペインの都市に住む、私を娘だと呼んでくれている日本人の元作家のM子さん(80歳)に連絡をした。M子さんは私よりも推しと年齢が近い。M子さんは過去にロルカとダリの本を翻訳し、吉川英治を「おじちゃん」と呼び、森茉莉と交流し、遠藤周作の講義を受け……などなど、“大物”の圧に触れてきた人である。アドバイスをもらおうと思った。
私はM子さんに、かくかくしかじか説明した。推しに会えることになったこと。自信がなくなってきたこと。私なんかが、みたいな気持ちが湧いてきていること。髪青いけど大丈夫かな、とか。
ふむ、とM子さんはひと呼吸おいて、ウジ虫モードの私にいった。
「あなた、かざっちゃだめよ」
「えっ」
「自分をよく見せようと、かざっちゃだめよ。本当にすごい方というのはね、とても謙虚よ。中途半端な人ほど、横柄な態度をとるの。自分を大きく見せようとしても見抜かれるわよ」
ドキッとした。
「不安になるってことは、自分をよく見せたいという欲が出ているんじゃないかしら」
M子さんはとても上品に話す。
「いいじゃない。そのままのあなたでぶつかってみなさいよ。おっちょこちょいのあなたでいいじゃない。あなたの素直な言葉で話してごらんなさい。きっと、耳を傾けてくださるわよ」
単純がヒトの形をしてできたみたいな私は、「そうか」と思った。このままでいいのか。格好つけたところで、いいことないな。なるようになるか、まあいっか。そう思ったら元気になった。
フェーズ3【やる気】燃えてきた!
その後も、推しとのメールのやりとりに一喜一憂して、「やったー!」「あかんかも……」「うれしいいい」「あれでよかったかな……」と、羽が生えてはウジ虫になるを繰り返した。
読書会を開くといっても、読書会に行ったこともなければ開いたことなど一度もない。人をまとめたり仕切ったりするのが苦手だし、人前で話すのも得意ではない。色々考え過ぎて脳みそが蒸発しそうにもなった。
そこにすかさず現れ、助けてくれるのは、師と仲間達。みんな優しい。そして、アツい。
海外在住で色々不便な私に、「できないことは私がするよ」とサポートしてくれている。「最高に楽しんで」と背中を押してくれる。「(私の)夢が叶う瞬間が見たい」と言ってくれる。我が師に関しては、モデレーターに名乗りでてくれた。
大好きな推しと大好きな師のコラボが見られるとか……「感無量」とはこのこと。当日、ヒトの形を保てるかな。それが少し心配。
ああ、燃えてきたああああ。
一生に一度の宝箱みたいな時間まであと、4カ月半。
今はもう、楽しみで楽しみで仕方がない。
かざらずに全力で、楽しみまーす!
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