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【パレード】
『パレード』2010.2.20
【この部屋ってさ、チャットとか掲示板みたいなもんよね。】
出て行きたければ出ていけばいいし、居たければ笑顔でいればいい。
上部だけの付き合い。若者5人がシェアハウスしながらある事件をきっかけに、いや、そんなことよりも前から他者と共存する生々しい術を映し出した作品に映る。
何回読んでも、何回鑑賞しても、この作品に【こわい】という表現が抜けることはないと思う。
事件がとか、人物がとかではなく作品そのものがおぞましい。
吉田修一の原作に追い打ちをかけるように、行定勲が手がける人間のリアルを映像と演者の力で、淡々と、そしてベッタリしたものが何重にも塗り重ねられている油絵のような印象。
原作が元々大好きで、もうセリフを覚えるくらい読み込んでいた。各々の人間らしい感情と相反する冷酷さもまた人間らしい。映像化されたことでより一層の虚無感を感じざるを得ない。
永遠に語りたい。
この作品が大好きだから。
だってこんなもんだもん。
原作にも、自分の価値観に大きく触れた大切な大切な、何箇所も忘れたくないフレーズが沢山ある。
タイトルの〝パレード〟
時間というものが実は直線ではなく、その両端が結ばれた輪っかのようなものに思えてきてループしている気がする。
原作では良介がぽろっと発した言葉だが、映画ではサトルと未来のシーンにメリーゴーランドが使われていて、原作オタクとしてはニヤッとしてしまう。
でも注意して下さい。
正常な感覚の人が観ると普通にヒューマンホラーですので。
最後の、直輝を見つめる4人の顔が忘れられない。