副腎疲労と摂食障害②
ー過食症と機能性低血糖ー
前回↓副腎疲労が招く低血糖のことをお話ししました。
今回は、過食症と大いに関わりのある、機能性低血糖について書いてみたいと思います。
【機能性低血糖とは?】
わたしたちの体は、食事を摂って血糖値が上がってくると、"インスリン"というホルモンが分泌され、それがスイッチとなって、細胞の中に糖が取り込まれることにより、血糖値が下がっていきます。
低血糖同様、高血糖の状態が続くことも、身体には大きな負担となります。
このインスリンが出なくなる病気が糖尿病です。
健康で正常ならば、食事を摂り始めると、糖分が小腸からゆっくりと吸収されて、血糖値が緩やかに上がると同時に、インスリンが分泌され始めます。
そして、血糖値は緩やかに下がっていきます。
その後もホルモンたちのおかげで、肝臓や筋肉にストックしてある糖分を少しずつ切り崩しながら、血糖値は安定を保ちます。
しかし、糖質過多な食事や、たんぱく質の不足、小麦や乳製品、精製糖の摂り過ぎ、食物繊維の不足などによって、腸内環境が悪化することが大きな要因となり、摂った糖分が急激に血管内に入ってしまい、一気に高血糖状態になります。
インスリンは初動が遅れてしまい、気づいた頃には、血管内には糖が溢れているので、これは大変!と、慌ててたくさんのインスリンを分泌します。
インスリンが急激に、それも多く分泌されると、もちろん血糖値は急激に、しかも必要以上に下がってしまいます。
これが[機能性低血糖]です。
食事を摂っても、すぐに低血糖になるので、脳は早く血糖値を上げろ!と命令します。
食後なのに飢餓感に襲われ、また何か食べたくなる。
そして、食べ出すと止まらない…
食後でなくとも、この、
『食べ出したら止まらない状態』は、
まさに低血糖状態であることを意味します。
『食後にまた何か食べたいだなんて、なんて卑しいんだろう。だからこんなに太るんだ』と何度思ったことか…
しかしガマンができなくて当然なのです。
根性の問題ではありません。
脳が、細胞が飢餓状態だと判断した結果なのです。
そしてまた、血糖値は急激に上がり、急激に下がる。
このストレスを身体に与え続けることで、血糖値は維持できず、ホルモンたちを常に総動員し、メンタルも不安定になり、負のループは続きます。
ましてや、過食嘔吐の場合、ほとんどが糖質と言ってもいいような食べ物が、ものすごい勢いで、且つとてつもない量が身体に入ってきて、すでに消化を始めているのにもかかわらず、全てを無理やり吐いてしまうのですから、脳がパニックを起こすのも当然です。
ホルモンたちへの指令もおかしくなってしまいます。
こうして、普通の食生活を送れなくなり、過食後、吐けない、吐ききれない場合はインスリンの過剰分泌によって、体脂肪となって蓄積されていきます。
自分を責めて、鏡に映る自分の姿にほとほと嫌気がさし、また一念発起しては食べないダイエットを繰り返し、ガマンの限界がきて暴食する。
これを成長期の子ども時代から、何十年と繰り返してきたわたしの"耐糖能"(糖分を処理する能力)はボロボロでした。
現にわたしは数十年間、いつもどんな時も、身体が空っぽな感覚が、ずーっとありました。
いつも何かを食べていたいのです。
いつも飢えているような感覚と共に生きてきました。
そんな自分が醜く、汚く、大嫌いでした。
そして、常にその空っぽ感と戦わなくてはいけなくて、今思えば、本当に辛かったなと思います。
自分を愛するどころか、いつも自分と戦わなくてはいけなくて。
周囲は理解できなかったと思いますが、何十年もの間、こころの底から、気が休まることとは無縁だったように思います。
そしてだんだんと40代前半あたり、娘が独立した時期くらいから、普通の食事量でも食後は動けなくなり、かと言って、食事を抜いても身体が重く、ずっと横になっていたい。
やっとの思いで仕事に行っても、異常な眠気に襲われるようになりました。
そして、些細なことで猛烈にイライラしては、その後落ち込むことを繰り返していましたが、
当時は、仕事にストレスを感じていることが原因だと思いこんでいました。
休日はもちろん一日中寝ていて、長いGWをただただ寝て過ごしただけの時は、無力感でいっぱいだったのを覚えています。
そして、副腎疲労あるあるなのですが、お風呂に入ることが、死ぬほど億劫でした。
仕事の日はやっとの思いで入らねばならず、ただ生きてるだけで、なんでこんなにしんどいの?と思っていました。
パニック発作を起こすことも増え、この先、更年期を迎える頃には、わたしの身体はどうなっているんだろうと、とても不安になりました。
ここでわたしは、必要な栄養素をサプリでたくさん摂るという"メガビタミン療法"と出会います。
これで一時的に体調は良くなり、食事管理と運動で、1年間で14キロの減量に成功します。
きちんと食べて、運動することで、幸せホルモンが分泌され、毎日を落ち着いた気持ちで過ごせて、ハッピーでした。
やっと…やっと…王道に辿り着いた!と喜べたのは、その後1年くらいで、これまた原因不明の体調不良と急激な体重増加に襲われて、どうしようもなくなってしまいます。
持っているカードは使い果たし、もう何も手立てがなくなってしまったわたしは、とにかく運動だ!運動すれば元気になれる!と必死に筋トレに励むのですが、
これが全く…全く筋力がつかず、疲弊するばかりになっていくのです。
毎日、カロリー計算をきちんとして、PFC(たんぱく質、脂質、糖質)バランスを考えた食事を摂り、今まで以上に筋トレを頑張っても、ブヨブヨになっていく体。
それだけではなく、毎晩気絶するように眠りに着くのに、夜中に目の奥の痛みや、何とも言えない焦燥感で覚醒したまま全く眠れない日が、長い間続き、本当にクタクタでした。
そうする中で、助けを求めに分子栄養学の先生に会いに行ったことがきっかけとなり、わたしは分子栄養学を本格的に学ぶことになります。
そして、副腎疲労の治療を開始し、学びを深める中で、
やっと。やっと。
過食の衝動とさよならすることができました。
このつづきはまた次の機会に。