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改正 「子ども・子育て支援法」何が変わった?
岸田政権の少子化対策を反映した「改正子ども・子育て支援法」などが、6月に成立いたしました。児童手当の大幅な拡充や、新たな財源確保策の導入など、生活に密接に関わる内容が含まれています。これから、その主な内容についてご紹介いたします。
(※2024年6月13日と7月17日の朝日新聞の記事を参考に要約しています。)
少子化対策強化、児童手当拡充と財源確保の課題
岸田政権が子ども・子育て政策を強化する背景には、出生数が80万人を下回り、少子化の進行に歯止めがかからない現状があります。2030年代までが「最後のチャンス」とされ、昨年末に「こども未来戦略」が策定されました。この戦略に基づき、2028年度までに年間約3.6兆円規模の対策を実施する予定です。
具体的には、児童手当や児童扶養手当の拡充、多子世帯向けの大学授業料無償化、保育士数の基準改善など、多岐にわたる施策が導入されます。児童手当では、所得制限を撤廃し支給期間を高校生年代まで延長、第3子以降には月額3万円に増額されます。この規模は全体の約1兆2千億円に達し、全体の3分の1を占めるものです。
さらに、子ども・子育て支援のための特別会計「こども金庫」と支援金制度の創設も含まれ、20本近くの法改正が行われました。課題となる財源確保や社会保障の歳出改革が、今後の鍵となるでしょう。
児童手当拡充と育児支援の強化による包括的な子育て支援策
今回の施策では、主に次の3つの柱が設けられました。まず、「経済的支援の強化」として児童手当の拡充が行われます。次に、保護者の就労条件を問わず保育所を利用できる「こども誰でも通園制度」など、全ての子ども・子育て世帯を対象とした支援が拡充されます。そして、「共働き・共育ての推進」として、夫婦で育休を取得した場合の給付額を手取り10割相当まで引き上げる施策も導入されました。
さらに、困難を抱える子どもや家庭への支援も強化され、児童扶養手当では第3子以降の加算額が第2子と同額に引き上げられます。また、これまで法的定義がなかったヤングケアラーについても「家族の介護や日常生活上の世話を過度に行っている子ども・若者」として定義され、自治体の支援対象となることが明記されました。
子育て支援策の財源確保と今後の課題について
今回の子育て支援策の財源確保は、主に3つの柱に基づいています。まず、余剰予算の活用(1.5兆円)、次に社会保障の歳出改革(1.1兆円)、そして医療保険料と併せて徴収する支援金(1兆円)です。児童手当の拡充などの施策は今年度から開始されますが、支援金の徴収は2026年度から実施予定です。足りない分については、つなぎ国債を発行して対応する計画です。
しかし、課題も少なくありません。例えば、「こども誰でも通園制度」は、保育士不足の状況で全国的に展開できるかという懸念があります。また、財源の一部を担う社会保障の歳出改革についても、利用者の負担増が予想されることから、確実に資金を確保できるかは不透明な状況です。今後もさまざまな課題が浮上することが予測されます。
急がれる小中学校の給食費支援
公立小中学校の給食費無償化が急増、全国の3割が実施中、今後の課題は費用負担
2023年9月時点で、公立小中学校の児童生徒全員の給食費を無償化している自治体が、全国の約3割にあたる547自治体に上ることが、文部科学省の調査で明らかになりました。これは、2017年度の調査時点から約7倍に増加しており、子育て支援の一環として無償化の動きが急速に広がっていることが浮き彫りになりました。政府は今後、全国的な無償化の実現を検討する方針ですが、費用面での課題が残り、実現は不透明です。
文部科学省が12日に公表した調査結果によると、全国の722自治体が何らかの形で「給食費無償化」を実施しており、そのうち547自治体(75.8%)は小中学校の全児童生徒を対象としています。その他にも、多子世帯に限定した支援要件を設けている自治体や、一部の学年に限って無償化している自治体も見られました。また、調査時点では無償化を実施していないものの、2023年度中に実施を予定している自治体も40あり、無償化の広がりが続いています。
公立小中学校給食無償化の理由と財源確保の課題
公立小中学校の給食無償化を実施した理由について、複数回答可で自治体に尋ねたところ、652自治体(90.3%)が「保護者の経済的負担軽減や子育て支援」を挙げました。さらに、66自治体(9.1%)は「少子化対策」、37自治体(5.1%)は「定住・転入の促進、地域創生」を目的とした支援として無償化を行っています。
一方で、無償化の継続が困難であることも明らかになりました。722自治体のうち、2024年度以降に無償化を続ける予定がないと答えた自治体は82(11.4%)に上ります。文部科学省の担当者は、財源の問題から一定期間のみ無償化を実施するケースが少なくないと述べています。
今回の調査は、昨年6月に発表された岸田政権の少子化対策「こども未来戦略方針」に基づくもので、全国的な給食無償化の実現に向けた実態調査が行われました。しかし、文科省の試算では、全国の公立小中学校で給食無償化を実現するためには、同省予算の約1割にあたる約5,000億円が必要とされており、実現は容易ではないとの見解が省内で広がっています。