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子どもが出てくる映画の話をしよう ドキュメンタリー『大きな家』

2024年も 終わりますね。

さて、ことし最後に映画館で見た映画は、ドキュメンタリー。
『大きな家』
かの斉藤工氏が企画したという児童養護施設の子どもたちの話であります。

斉藤氏が、この映画をつくろうと思ったきっかけを聞いて、
観たかった映画のリストにいれていた。
それで、年末にふわりとあいた時間に 観にいくことにした。
ちなみに、(あとで知ったことだが)この映画は、その後の配信などはしないらしい。つまり、映画館でしか見ることのできない映画になる。

実は、ちょっと 気合もはいっていた。
なんらかのバイアスをもって、見てしまわないように、と。
それぞれの「事情」とか、そういうものよりも、
自分としては、ふつうに「今の子どもたち」の世界を感じたかったので。

そして、このドキュメンタリーは、まさにそんな映画だった。

映画は、6歳から18歳までの、とある施設で暮らす子どもたちの姿を 時系列ばらばらで 追いかける。
朝、起きる。学校へいく。食べる。遊ぶ。勉強する。スポーツする。卒業する。出ていく。帰ってくる。山へ行く。
誕生日がある。卒業式がある。後半では、ネパールで、同じような施設の訪問ボランティアに いったりもする。

施設はきれいで、年齢が上になれば個室もある。施設をでて一人暮らしをする前の練習ができるキッチンつきの部屋もある。

時々スタッフと、子どもたちとのやりとりがある。
その言葉、表情、仕草が じつにいい。
一人ひとり 違った魅力が伝わってくる。
そして、最後のランには……胸うたれた!

我は製作者じゃないけれど、
子どもを描くドキュメンタリーは、難しいような気がする。
我なら ちょっとこわい。いや、めちゃくちゃ こわい。
子どもたちは、見ている。わかっている。感じてる。
相手が どういう「オトナ」かを。忖度なんかしない。
ああ、でも、こういういい表情が言葉が撮れたってことは、
きっと撮影クルーは、彼らに許されたんだろう。

これは、ただの記録映像じゃない。
音楽がややドラマチックに入っているし、なんか全員かっこいい。
やっぱり彼らのものがたりであり、映画なのだ。
そして、物語はまだまだ続く。
きっと登場した彼らにとっても、一生モンのメモリーとなるだろう。

観終わって、パンフレットを買おうとしたら……1400円。
迷った。
鑑賞記念のつもりじゃない。でも何を知りたいのか。何が書いてあるのか。
アニメなら、見たいシーンの画があるだけでうれしいが・・。うーむ。
と、いったん保留にして、映画館を出て、町中をふらふらと歩きまわる。
年末の新宿。たくさんの人、人、人。
道を歩きながら。信号で待ちながら。店の前で。路地で。
さまざまな声の断片が つかのま通り過ぎていく。
あれ、なんでだろう。
見知らぬ声たちが どれも いとおしくてたまらない。 

映画の魔法にかかってしまったようだ。

で、映画館にもどってパンフレットを買った。

そこに、もう一度みたかった写真がのっていた。(やたっ!)
映画の中で少年が撮っていた写真だ。これがいい。
それから、監督の言葉。登場した年長の子たちの言葉も。

2024年のマイ・ラストシネマ。よかったな。

画像は「みんなのギャラリー」からお借りしました。Thanks.



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