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『追憶の余韻』~はじめの一歩~
『追憶の余韻』~はじめの一歩~
2014年05月13日
どうも、自称末期的恐怖感中毒患者集団~ホラーホリック~代表の@KIDです。
最近、繁忙期や出産、自動車教習所等、日常に多忙で全然オカルトに触れてませんが
ま、今はちと(オカルト的に)流れが悪いのでまた良い流れが来るのを虎視眈々と忍んでます。
もう少し…再来年あたりで前厄だしね…
しかし、面白いもんで、そうゆう心霊やオカルト方面の話ってのは自分から近付けば色んな体験にワンサカ出会えるのに、それどころじゃなくなるとサッパリ出会わなくなるんだよね
で、今回は、俺がオカルトにアグレッシブだった頃、色々散々な目に会ったそっち方面での思出話でも語ろうかなと…
俺を知るマイミクさんは『武勇伝』とか言ってくれてますが
まぁ、個人の主観の怪体験談なんてものは、あんまり他人には意味の無いのろけ話みたいなもんだと思ってるんで、
興味ない方にはサッパリ面白くないかもしれませんけどね
過去
有名無名含めいくつものホラースポットや心霊スポットを巡り、違法な廃墟、廃屋、廃施設侵入を繰り返し、こっくりさんやひとりかくれんぼ等の降霊儀式やいくつもの都市伝説の検証実験、心霊写真や心霊動画も撮ったことあるし、また地元のオカルトな噂の真相調査、廃旅館に忍び込んでの百物語や、24時間丸々使って限界ギリギリまでの廃墟、心霊スポット巡りもした。
やり過ぎて二回ほど警察に捕まったり、野生の動物や正体不明の浮浪者に追われたり…しまいにはホンとに心霊スポットで死にかけて俺自身が都市伝説化しそうになった事もあった…
思い付く限りの限界ラインに足を踏み込むその先には
いつも結局何もなかったようで、
実は沢山のナニカがあった。
さっきもちょっと書いたけど
俺は他人のオカルトな体験談なんてのは、正直『のろけ話』にしか聞こえないんだよ
霊を見た?怖い目に合った?
あー良かったねって、羨ましいだけなんだよ
俺が、俺自身がそれを味わいたいんだ
そのヒリヒリするような緊迫感と息も出来ない恐怖感を
実際に、この身を持って体験して、この目で確認したいんだ。
オカルトな体験談てのは、そいつ自身の『主観の現実』でしかないんだよ
俺が感じないとなんの意味もないんだよ
だから俺はいつももう一歩前に踏み出して来たんだ
ちょっと前フリが長くなったので
最初は軽く短い話をしようか
俺がオカルトに完全にハマったキッカケの話だ
まぁ、昔から3日に1度は金縛りに合ってた金縛り体質だったり、ヨウツベで一晩中心霊動画漁ってはガクブルしてただけだったんだけど、
実際にあるラインを踏み越えてオカルトの醍醐味にカポッとハマったのは
あるマイミクさんがキッカケだったんだよね
ま、知ってるやつは知ってる、毎度お馴染み俺のオカルトパートナー『ヤギ(仮称)』さんです。
ある夏前の梅雨が明けたちょっと蒸し暑い時期に彼から突然
『心霊スポットいきませんか?』
と打診があった。
ヤギくんは昔からよく心霊スポットとか行ってるタイプの根っからのオカルト好きだったからね
でも正直俺はそれまで、オカルトに関しては完全に『傍観者』で
興味はあったが実際に自分がその恐怖感の素に自ら触れに行く勇気も行動力もなかった。
でも、せっかくのお誘いだし、車も出してくれるし、何より興味があったので、
一人で行くわけでもないし…
と内心ドキドキしながら
彼と待ち合わせして
関西でも一二を争う有名な心霊スポット『旧Iトンネル』へと向かって車を走らせた。
旧トンは大阪と奈良県の境目に聳える霊峰生駒山の山中を走る日本近畿鉄道が管理している列車用のトンネルなんだけど
曰くその工事中に崩落事故があって何十人もの犠牲者が出ていて、今もその犠牲者が山中に埋まっているのだという。
それだけでも充分な曰くだというのに
さらにはそのトンネル貫通後、列車のトンネル内でのブレーキ事故に因りまた、何十人もの犠牲者が出た、それも二度も立て続けに…
そうした背景を踏まえて呪われたトンネルとして、様々な怪談が語られる廃線になった旧トンは、新たに掘った新トンネルの点検用通路として、今も利用されている。
つまりは、未だに近鉄に管理されている公営施設なのだ。
実際に現地に到着して現場に近付いたおれが最初に驚いたのはその厳重な警備体制だった。
トンネルのまわりは完全に有刺鉄線付きのフェンスで包囲され
あちこちに立ち入り禁止、侵入即通報の立て札が並び、フェンスから覗いたトンネルには完全にトンネル口を塞いだ巨大な鉄扉が建っていて、一部の隙もない。
俺は正直、『ああ、こりゃもうこれ以上は近付けないな…』とこれ以上の侵入を諦めていた
しかし、隣を見るとヤギくんの目が爛々と輝いている。
『大丈夫ですよ、こんなフェンスすく越えれますって♪』
と軽い口調で手に持っていたカメラを俺に渡した
え?監視カメラとかあるかもしれんのだぞ?
見つかったら警察沙汰だぞ?
とこの時俺は正直ちょっと引いていた
しかし、彼の目はそんな不安要素より、目の前にある妖しげな魅力に執り憑かれていた
一気にフェンスを登り、有刺鉄線もものともせずに、飛び降りて、『外から撮ってくださいね?』とどんどんトンネルの方に近づいて行った。
俺は、フェンスの外でカメラを構えて颯爽と歩いていく彼の後をそそくさと付いていく…
しかし、トンネルはフェンスからは遠く、どんどん俺は取り残されて行った。。
どんどん遠ざかる彼の背中を見ながら
俺はどうしようもなく情けない気持ちになっていった。
『なにやってんだ?おれ』
彼一人危険な目に合わせて俺はビビって安全圏で突っ立ってる
イヤイヤ…あかんやろ俺…
こんなんカッコ悪すぎる…
気付いたときには
フェンスを潜り抜け
彼の後を追って
カメラを彼に『自分で撮れよ』と押し返していた。
保身の為の恐怖感より
俺の尊厳が脅かされる恐怖感により夢中で飛び込んだ
始めて越えた『やってはいけない事の一線』
しかし、その目の前にあったのは罪悪感でも、後悔でもなく
始めて触れた『魅力的な恐怖感』への感動だった。
『スゲェ…』
梅雨明けの湿気と夏の足音がジメジメと嫌な暑さを醸し出し
ずっと滲んでいたはずの汗が
一瞬で引くほど、
そこの空気は全く違っていた。
寒い…
気温が低いのか?
いや違う、トンネルの方から明らかに冷たい何かを感じる
冷気とゆうか、冷たい気配だ
足元にはトンネル内からにじみ出る水の痕が黒く地面を染めている
トンネル脇の土手には雑草が風に揺られてざわめいていた
なるほど、
これが心霊スポットか…
心理的なものか。物理的な作用かわからないが、
確かにビシビシと空気が全身に突き刺さり、胸が押し潰されそうな圧迫感がある
その圧倒的な存在感とスケールの鉄扉と異様な空気を前に、俺は始めての感覚に興奮しながらも、身動きが取れず、しばしぼうっと見とれてしまった
そこで同じく興奮気味のヤギさんが記念写真を撮りましょうよ?
と寄ってきたので、トンネルの鉄扉に近付いて交代で写真をとった。
鉄扉に近付くと一部施錠のための穴が空いていて中が 確認できる
トンネル内は常時工事用のライトが焚かれ、オレンジ色に光っている
スゲェな…
またもドキドキとゾクゾクが交互に俺の心臓を高鳴らせた
この時一瞬、
ゾクゥ!!
と背筋を突然冷たいなにかが走り抜けた
びくっとして俺は隣で話していたヤギさんを『ちょっと待て』と制止する
シーンと静まり返る無気味なトンネルのド真ん前
聞こえてくるのはトンネル奥からヒュオ~…と鳴る空気の流れの様な音と、その奥遠くから聞こえる
ピチョン…ピチョン…とゆう水の滴る音だけだった…
耳を澄まし、目を凝らして俺達は注意深く真っ暗でなにも見えないトンネル奥を凝視した
ピチョン…
ピチョン…
ピチョン…
キィィ…バタンン…
ピチョン…
ピチョン…
ザッ…
ピチョン…
ザッ…
ピチョン…
ザッ…
ピチョン…
古い扉が開く様な音と、
水の滴る音に混じって聞こえるゆっくり歩く足音のような音…
『え?…誰かくる?』
そんなバカな?
こんな時間に?
外からじゃなく中から?
しかしやはり
ザッ…ザッ…と足音が聞こえる…
が、いくら暗闇を凝視しても
何かが動いている気配はない…
いくら待っても足音のようなものは近付いてこない、
しかし遠ざかりもしない…
足音だけがトンネル内に響いている
なんだこれ?
次の瞬間、
ガサガサッ!!
トンネル脇の土手の上にある森の中から何かが動いて逃げる音がした
俺達はびくっとして同時に土手側を凝視した
その時俺は、暗闇に僅かに動く物影を視界の隅に捉えた
暗い森の中から何かがこちらを見ている
そんな気配が二人を襲った。
野犬?
人?
イヤだって…
この上は墓地だぜ?
そうこの旧トンは生駒山の中腹に拡がる巨大な石切霊園の真下を通っているのだ。
ましてここは完全に封鎖された隔離地帯
どこからかなにかが紛れ込むなんて有り得ないのだ。
ザワザワ…
風が吹き出した
土手の草むらが揺れてざわめき出す
気づいたらトンネル内からの足音も消えていた。
視線は未だに消えない
俺達は声を出さずに目で合図して退散を決め、静かに後退り、フェンスを越えて退却した。。。
俺は今しがた起きた自分の体験にきつねに摘ままれた様な感覚を覚え
なんだったんだ?と最後にフッとトンネルの入口を見たとき
トンネル脇の土手の腰くらい高さのある草むらに
数人の黒い人影が並んで立っていて全員がこっちを見ているのが見えた
え?えっ?
一瞬悲鳴を上げかけたが、
次に見たときそいつらはもう見えなくなっていた。
結局…
何かがあったのか?なかったのかすらあやふやなまま
俺の初心霊スポット体験は幕を下ろした。
しかし俺はこの時の興奮が未だに冷めやらない
この一件から俺は
否応なく感情を揺さぶられる恐怖感とゆう感動の虜になってしまったのだ
ひょっとすると
霊は近付こうとする奴に近付いて来て
覗こうとする奴を覗いていて
興味がない奴には
興味がないのかもしれないね