退職まで1ヶ月を切った私が、『ちょっと今から仕事やめてくる』を見た話

学生時代に、働き始めて仕事が辛くなった時観ようと思っていた『ちょっと今から仕事やめてくる』。

退職まで1ヶ月を切った私にとって、仕事の辛い時期はとうに過ぎていましたが、せっかくなので観てみることにしました。

主人公の隆は、会社に身を捧げ、罵声を浴びせられながらも必死に働いている真面目な青年。
上司のパワハラ・モラハラに疲れ切ってしまった隆が自殺を試みようとしたところに、”ヤマモトが”が現れ、物語が始まります。

最初に思ったのは、隆はどこにでもいるサラリーマンで、同じように激しい暴言に耐えながら、生きて行くために働いている方は多く存在するのではないかということ。
死ぬなんて、よっぽどのことをされたに違い無い。と思う人が大半だと思いますが、日々吐き捨てられる小さな暴言は泥のように心に蓄積していき、あるタイミングで何の気なしに言われた言葉がトドメとなって人間を死に追いやるのだと思います。

自分も働いていて、先輩から酷い言葉を浴びせられる度に、精神が擦り減り、ふとした瞬間に思い出してはいつの間にか泣いていた、ということがよくありました。
ある時、客観的に聞いたら大したことない言葉で、ぷつん、と細い糸が切れたような感覚になり、もう何もかもどうなってもいいやと思い始め、そこでやっと辞めるという選択肢が生まれました。

そんな苦しみながら働き続ける人に、この映画は「辞めることは死ぬより難しいのか」と問いかけます。
人はなぜ我慢してまでも働き続けるのか、お金のため?キャリアのため?生活のため?
私は最終的には仕事を辞めることを決心しましたが、ずっと次の仕事が見つからないかもしれないという不安で辞めることを躊躇していました。

きっと、辛いけど無理しながら働く人の多くは将来の不安や生活のためだからだと思いますが、ヤマモトはそんな隆に対して、「人生なんて生きてさえいれば案外なんとでもなる」と伝えました。
そう、死んでしまったら何も残らない。働くために生きるのではなくて、生きるために働く。どうしていつの間にか働くことが中心になってしまうのだろう。

この映画で一番ジーンときた場面は、自殺を図った隆にヤマモトが自殺なんて絶対にしてはいけないと諭しながら、「人生は誰のためにあるのか?」と語りかけるカットです。
当然、自分のためだろう、と答えますが、ヤマモトは「家族や大切な人のため」と伝えます。もはや自分の体は自分のものではない。家族や大切な存在によってここまで生きてこれた。もしあなたが死んだら、自分はそこで苦しみから解放されるかもしれないが、残された家族は一生消えない悲しみを抱えて生きていかなければならなくなる。
家族のために、生きろ、と。
自殺を図ろうとしたことはないですが、この言葉は私の価値観をがらりと変えました。
自分のためだけでなく、自分を支えてくれた家族のために、人生楽しんでやろうと。

一度仕事を辞めたら、次がなかなか決まらないかもしれない。
けれど、「簡単に決めなくていい」

「生きてれば辛いことはある
だけどどこかに必ず希望がある
最初から探せばいい
そうやってすすんで進んでいくしかない」

不安だらけで先が見えない自分の未来ですが、このヤマモトの言葉を灯火のように心に携えて歩んでいきたいと思います。

これからの社会、仕事で耐えられないほど辛いことがあった時、
自分の力ではどうしようもできないのなら、
死ぬ前に、『ちょっと今から仕事やめてくる』のノリで辞められる社会になればいいなあとしみじみ思いました。

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