シュリナガル⑤
バスを降りて、モスクに行こうと歩き出す。
商店のおじさんの言う通りに進むけれど、全くそれらしきものが見えてこない。
地図に載っているモスクの名前は英語表記なので、地元の人たちはあまり理解してくれない。
ちょうどそばを通りかかった夫婦に聞いてみるけど、やはりよくわからないみたい。でも、この夫婦はすごくいい人たちだったので、周りの人に訪ねてくれたりしてくれて、どうやらどこのモスクのことかが分かったようだ。
わたしからすると、あんなにきれいなモスクはそんなにあるものでもないから、『きれいなモスク』っていうと通じそうなのに、こっちの人は、『あれのこと?いや、あれか?』って迷っている。
でも、モスクは本当にあちこちに点在していて、小さいけれどとてもかわいらしいものもたくさん見かけた。
半信半疑で夫婦に付いて行く。その間、この夫婦と少し話した。話といっても、英語が通じないので、ジェスチャーのみ。彼らはとても愛し合っているようで、こちらもとても幸せな気分になれた。夫婦が連れて行ってくれたのは、まさにSha Hamdan Mosque。ズバリわたしが求めていたモスクだった。
彼らもイスラム教徒なので、一緒に入ってお祈りをする。
今回も中には入れなかったけれど、正面の階段までは登らせてもらえた。本当に声を失う位の素晴らしさで...。苦労してまた来てよかったと実感する。
1周をぐるっと廻って、裏の方でちょっとゆっくり座っていたら、小学校高学年ぐらいの女の子がわたしの横に座って、紙を見ながらなにかモゾモゾ独り言のように言っている。どうやら、コーランを覚えているみたい。コーランはアラビア語だから、まずアラビア語から勉強しないといけない。ヒンディー語訳されたものもあるにはあるらしいけれど、アラビア語から学ぶ人の方が多いらしい。
彼女は、モスクのまわりを何周もしながら、コーランを暗唱しようとがんばっていた。
彼女の雰囲気が好きで撮影したいなぁと思い、何度も目が合って笑いかけるけど、やはりこの神聖なモスクの中ではそういうことはできなかった。でも、やはりあきらめきれなくて、遠くから盗み撮り。。
イスラム教徒の方々は、それこそテロリストだなんだと勘違いされやすい立場に置かれていますが、みなさんとても紳士で実直で、暖かい人格の方々ばかりです。
インドに来るまでは、わたしもイスラム教徒に対して怖い印象があったのですが、イスラム教徒の人々のあたたかさやまっすぐな信仰心に触れるうちに、固定概念を覆されました。
何と言っても、モスクの中の雰囲気が大好きです。男性、女性ともに必ず頭から布などで頭や体を隠して入ったり、女性はモスクの正面の礼拝堂みたいなところでは、原則お祈りはできません。
わたしが皆さんと同じようにお祈りをしていると、女性は、少し離れた場所からお祈りしなければいけないと叱られました。こういうことはちょっと疑問に思いましたが、イスラム教徒の人たちの祈る心が深いからか、モスクに漂う空気は何か澄んでいるような気がします。日本のお寺やチベットのゴンパやキリスト教の教会ともどこか違った、もっと祈りの「気」のようなものを感じることができました。
ヒンドゥー教が大半を占めるこのインドで、わたしはイスラム教徒の街を選ぶように廻ったような気もします。
このモスクを出て、もうひとつ行きたいモスクがあったのだけれど、時間がなくなってきたので引き返すことに。何となく降りて行けば、中心地あたりに着くだろう...というまたわたしの悪い癖が。
商店街みたいなところを通って行っていると、街に馴染んだベーカリー屋さんがあった。まぁ特に目を引くような店でもなかったんだけど、なんとなく入りたくなったので入ってみることに。
ケーキやお菓子がたくさん並んでいて、どれもおいしそう。クッキーを4、5種類とパンを2種類ぐらい買ってお金を払おうとしたら、お店の人が『あなたは外国から来たお客さんだから、お金は要らないよ。これはわたしのwelcomeの気持ちです』と言って、お金を受け取らなかった。う~~~ん、泣ける。
ありがとうございます~~~(=⌒▽⌒=)
クッキ―を食べ食べ、街を降りて行くと、道端でなんだか大量調理をしている方々に会う。
目が合っただけなのに、『お茶でも飲んで行きなさい~』と手招きを受ける。
どうやら、結婚式の準備をしているところらしい。こうやって、みんなでご飯をつくってみんなに振る舞うとのこと。親戚や友人だけでなく通りがかりの他人にももてなすのがインド流らしい。チャイをごちそうになりながら、いろんなお話を聞いているうちに、『ぜひ、結婚式に来なさい~』と招待を受ける。わたしも、インドの結婚式に興味があったので見てみたかったけれど、始まるのは夜の11時。ちょっと危ないので丁重にお断りする。でも、ごはんやお菓子、おいしそうだったな~ 花嫁さんの衣装も見てみたかった...。
さらに、下っていく。しかし、このあたりから道が怪しくなってきた。ので、通りがかりのおじいさんに地図を見せながら、自分の宿の方へ帰るにはどうしたらいいのかを聞いてみた。
いろいろ説明してくれるけど、わたしがあまり理解していないので、その辺にいた中坊2人にわたしを宿の近くまで送って行くように仕向ける。こういうのが、実にインドっぽい。
中坊くんたちもちょっと面食らっていたけど、お年寄りの言うことには敬意を示す...イスラムの街。
仕方なく(って感じに見えた...)わたしを引き連れていく。
でも、この子たちは英語が話せないので、意思の疎通がはかりにくくて。『用事はないのか?』『わたしの宿周辺のことは知ってるのか?』『方向だけ教えてくれれば、自分で行けるよ~』などなど、わたしなりにがんばって言っているんだけど、あまり通じていない。
なんと、彼らはわたしの地図を持って、他の人に道を聞き始めた。『知らないんじゃん...』⤵️
それでも、必死にこっちだ、あっちだと探してくれながら向かってくれるもので、『もういいよ~』とも言い辛い。(;^_^A かなり宿に近くなって、もう分かるっていう距離でもずっと一緒に付いてくる。
とうとう、ホテルに着いてしまった。
仕方ないので、食堂みたいなところでコーラをおごる。でも、最初はそれも断る。
『この子たちは何を求めているんだろう...』
おばさんは、理解に苦しむ。。
食堂で名前を聞いたり、指差し会話帳でいろいろ話して、『さぁ、そろそろ..』っていう空気に持ち込んだものの、帰り際に『お部屋はどこ?』とか、『また会える?』とかいうもんで、、。
仲良くなりたいという気持ちはありがたいのだけど、、ちょっとここはごめんなさいでした。
まぁ、なんとかこうとか、理由をつけてきちんと『さよなら~、ありがとね~~』って別れましたが。
でも、やっぱりシュリナガルは広い。Abudulさんの功績は大きかった..と実感した1日でした。
でも、心あたたまる出会いもあったし、これはこれでまたよし!ですね。
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