『ブルーマウンテン』 第一週 《はじまりは、雨だった…》vol.4
【登場人物】
谷崎 涼真/25歳
カフェでバイトをしている。
いつか、自分で店をオープンするために修行中。
嶋田 樹(いつき)/20歳
大学生。両親は有名な俳優。
幼い頃から世話係に育てられ、親の愛情を知らない。
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樹：
『…いっそのこと、意識が戻らなきゃ良かったのに…』
涼真：
『…なんてこと』
樹：
『僕なんて、どうなったっていいんだ…』
涼真：
『？……あ、あのさ』
樹：
『…』
涼真：
『……君、もしかして、あの、高台の、高級住宅街にあるマンションに住んでる？』
樹：
『…？』
涼真：
『…最上階の、ペントハウス』
樹：
『…どうして、知ってるんだ』
涼真：
『やっぱり、そうなのか。確か、人気俳優の高梨洋司と橋本優香の1人息子…』
樹：
『あんた、誰だ？週刊誌の記者なのか？』
涼真：
『ハハ…違うよ。俺のバイト先のカフェによく来るお客さんが、君のお父さんの大ファンらしくて、君の写真もその人が見せてくれたんだ…。さっきから、どこかで見たことのある顔だな〜と思ってたんだ。』
樹：
『…』
涼真：
高梨洋司と橋本優香といえば、どちらも有名な人気俳優。
若い時にテレビドラマでの共演がキッカケで結婚し、子どもが1人いることは知っていた…2人が、この街の高級マンションに住んでいると知ってはいたが…まさかその息子と、こんな形で出会うとは。
『両親があれだけ稼いでたら、何も困ることないんだろうな。あんな凄いマンションに住んでて、羨ましいよ。それでも…何か、悩みがあるのか？』
樹：
『…あんたには、わかんないよな。僕の気持ちなんか…』
涼真：
『え？』
樹：
『…わかるはず、ない』