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『ブルーマウンテン』 第ニ週 《見えない糸》 vol.6

【登場人物】
谷崎 涼真/25歳
カフェでバイトをしている。
いつか、自分で店をオープンするために修行中。
       
嶋田 樹(いつき)/20歳
大学生。両親は有名な俳優。
幼い頃から世話係に育てられ、親の愛情を知らない。
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涼真:
3ヶ月前に、道端で俺とぶつかり、転んだ勢いで腕を骨折した青年…
両親は有名俳優で、この街の高台の高級マンションのペントハウスに住んでいる。
偶然、このカフェの常連さんが父親のファンで、息子のことも教えてくれた。

名前は、嶋田樹(いつき)。
今、20歳で有名私立大学2年生らしいが、あるのは籍だけで、ほとんど通学していないという話だ。

…あいつ、もう退院したんだろうな…
しかし、ホント、キレイな顔してたよな…寝顔を見てたら、変な気持ちになった…

色々悩みを抱えてるみたいだったが…相談する友だちもいないんだろうな。
有名人の子どもってのも大変なもんだ。

(携帯電話が鳴る)

『はい。あー、姉ちゃん?どうした? あー、元気だよ。父さんは大丈夫?
うん、はいはい…酒、飲み過ぎないようにな。え?姉ちゃんがだよ。ハハ…ああ、来月、休暇出来たから、そっちに帰るから。ああ、またな』

俺の家は、俺が5歳の時に母さんが若い男と浮気して家を出て行ってから、父さんが男手一つで、俺より10歳年上の姉ちゃんと俺2人を育ててくれた。

父さんは、5年前に60歳で退職したあたりから認知症の症状が出始め…最近は、かなり物忘れが酷くなって来ているようだ…
姉ちゃんは、父さんの介護のために結婚も諦めて実家にいてくれてる…

来月、働いてるこのカフェがリフォームするため、1週間休暇になったから、久しぶりに実家に帰ろうと思っていたところだった。



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