保護犬×若者ペア報告:若者たち×しらたま/ H さん×ほうとう
キドックスは茨城県つくば市に拠点を置く認定 NPO 法人です。拠点の正式名称を HACC (ヒューマンアニマルコミュニティセンター)キドックスといいます。ちょっと長い名前ですが、私たちはこの名前に誇りとこだわりを持っています。
キドックスは「人も犬も自分らしく」を掲げて、捨て犬の保護から心身の回復、保護犬譲渡からその後の生活までのサポートと、生きづらさを抱える子ども・若者の一歩を支援しています。
今回は、自らもひきこもり経験を経て、キドックスで保護犬と若者の変化を見守る、ドッグトレーナー里見による、保護犬と若者ピックアップペアの報告です。
ペア①若者たち×しらたま
日頃の関わりや犬を観れば、その人と犬の関係性やトレーニングの進み具合は想像できます。逆に見ていないと分かりにくい。私はしらたまの日頃のトレーニングを観ていなかったので、どのぐらいしらたまが成長しているか知りませんでした。
しらたまに保護犬カフェで大部屋参加するためのテストをするため、私は久 しぶりに 1 頭で連れ出しました。
以前のしらたまは 、壁際でうつむき加減になり、 相手を伺いながら、でも動けませんでした。それが今回は、伺う様子はありながらも自らこちらに近づき、匂いを嗅いで相手を確認しようとしている・・・!やりとりを取ろうとしてくれている。顔は少し上を向き、意思を感じるぐらい、目には光がともり始めていました。
しらたまの成長を実感しました。しらたまのことが大好きな N さんは、犬の目線から、 語り掛けるように足並みを揃えて、時間を掛けてゆっくりしらたまと向き合ってくれます。だからでしょう、重ねてきた関わりを通して、しらたまの不安や怖さが相手への興味や期待に変わってきまし た。
不安そうな様子を見せる時はまだま だあります。でも、顔を上に向けて若者たちとやり取りをとることに期待の芽を確かに持ち始めたしらたま。1 人と丁寧に積み重ねた関わりが 2 人、3 人と横に 広がり、いつか里親さんと縁が繋がった時にも必ず活きるはず。これからのしらたまが楽しみです。
ペア② H さん × ほうとう
ほうとうは明るい犬ですが、頭の上から出される手が怖くて、嫌がります。保護される前、どこで、誰に、どんな飼われ方をされてきたかは、分かりません。保護犬と直接関わることで見えてくる、その犬の得手不得手。ほうとうは以前、人から叩かれる経験をしていたのかもしれません。
若者 H さんは、ほうとうと関わりを持ってくれることが多い。きびきびと動くことは苦手ですが、必要な手順を省くことなく、いつも変わらず同じようにやってくれます。 ほうとうにとって、これがとても分かりやすい。同じ手順で、気持ちによる差がない H さんの関わり。
当初見られた頭の上に出される手を怖がる態度はいつしか見られなくなってきました。今、ほうとうと H さんは、顔周りに何かされる時の緊張の緩和を目的に、「耳を触る、撫でる」関わりをしてくれてます。顔近くに出される手にほうとうは緊張はしつつも、淡々とゆっくり変わらずにやる H さん、気持ちよさそうに触られ、撫でられるほうとうを観るのに時間は掛かりませんでした。
さらに、ほうとうの触られたら気持ちいいポイントを熟知する H さんが首元 を丁寧に触りだすと身体の力が抜けていくように、下に崩れるように伏せ、お腹を出してしまいます。指示としてやっているのではなく、ただただ気持ちよくてお腹を出してしまう、ほうとう。
H さんはいつしか「ほうとう使い」と呼ばれるように。ほっこりするその様子も、ほうとうにとっては人と信頼を積み重ねるやりとりです 。
(キドックス四季報Vol.36より抜粋)
最近のキドックス〜 SNS から
チップはボールに興味津々。
初めて知ったおもちゃのように一人でぴょんぴょん、うきうき、噛み噛みします。
犬にとって「追う」「噛む」は本能からくる欲求行動です。
犬らしさを出せるようになってきたのはチップに成長を感じます。
ボールを「持ってくる」まで教えるにはまだ早く、今は意欲を育ててあげる時。
いつか人と一緒にボール投げができようになったら、チップと人を結ぶ楽しいツールが一つ増える。
独り遊びにするのはもったいない。
一緒遊びに昇華できるか。
それにしても楽しそうなチップ(笑)
見ているこちらが癒されてる。
ドッグトレーナーの里見でした。
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