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仕組み化をするということ

仕組み化するということ

エンジニアリングマネージャーとして日々組織やプロジェクトの改善に取り組む中で、「仕組み化」の重要性を強く実感しています。今回は、失敗の防止から組織文化の醸成まで、仕組み化についての考えを共有したいと思います。(ちょうど失敗の科学の情報もinputしたのでその一部のoutputも兼ねて)

失敗から学び、システム化する

システム障害が発生した際、私たちはポストモーテム(事後検証)を行い、原因を特定し再発防止策を考えます。しかし、よく見られる「次回から気をつけましょう」「ダブルチェックを徹底しましょう」といった対策では、本質的な解決にはなりません。人間は必ず忘れるものですし、そもそもスケールしない方法論では組織の成長を妨げてしまいます。

ここで重要になってくるのが「フールプルーフ」の考え方です。これは、人間が間違えようとしても、システムの仕組み上そもそもできないようにする設計思想です。
例えば、身の回りのことで言うと以下のようなものが好例でしょう。

  1. 電気ストーブ: 転倒すると自動的に電源が切れる

  2. 電子レンジ: ドアが完全に閉じていないと作動しない

  3. 燃料給油システム:航空機の燃料タンクの給油口とガソリンポンプのノズル形状を燃料の種類ごとに異なるものにすることで、誤給油しない

失敗が起きた際、個人の注意力を責めるのではなく、そもそもなぜそのようなミスが可能な状態だったのかを考え、システムやルールを見直すべきなのです。

コード品質の自動化

この考え方は日々のコーディング作業にも適用できますね。PRのレビューで毎回指摘される事項、例えばtypoやエラー処理の書き方の統一性などは、Goであれば静的解析ツールを活用することで自動的にチェックできます。独自のLintルールを作成し、CIで自動的にチェックすることで、そもそもレビューに出せないなどのルールを敷くことも可能です。

人による判断の前に機械的なチェックを入れることで、レビュアーはより本質的な部分にフォーカスできるようになりますし、レビュイーもなんとも言えない申し訳なさを感じる必要もなくなります。これは単なる効率化以上の価値があります。

組織文化への応用

この「仕組み化」の考え方は、失敗やミスの防止だけでなく、より広い文脈でも活用できます。ドクターズプライムでは、目標設定をした後の実行フェーズや組織カルチャーを社内に浸透させる場合などにも仕組み化の考え方を用いています。ミスした時だけだけ意識しそうですが、これから実行していくぞという場面でも仕組み化していくことで苦なく目標が達成できるようになると思っています。

組織カルチャーを社内に浸透させる

2023年から、カルチャーを社内で強化していく一環として、新しい仕組みを導入しています。その一つが、毎週金曜日の朝に全社員を対象に実施している「カルチャー朝会」です。この朝会は基本的に出席必須となっていますが、良い意味で社員全員が考えることなく自然と集まってくる状態が定着しており、これも効果的な仕組みの一つだと考えています。

もちろん、朝会の内容が意味のあるものになっているかについては、ファシリテーター側がしっかりとPDCAを回していく必要があります。しかし、この仕組みを活用することで、多義性のないカルチャーに対しての解釈を全社員が自然とインプットできており、新入社員も当たり前のように朝会に参加し、カルチャーについての議論に加われています。

まとめ

仕組み化とは、単なる自動化や効率化ではありません。それは、人間の失敗を前提とした上で、より確実に目標を達成するための組織的なアプローチです。失敗を防ぐだけでなく、失敗から学び、継続的に改善していく文化を作ることこそが、真の仕組み化の目的なのです。

私たちエンジニアリングマネージャーの役割は、このような仕組み化を通じて、より健全で生産的な組織を作っていくことだと考えています。

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