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コロナ下の日本入国記録 羽田空港編

2021年6月7日にカリフォルニア州からANA NH107便で日本に入国しました。その3日前の6月4日から、入国の際に「検疫所が確保する宿泊施設」で3日間の待機が必要になっています。タイミングいとわろし。既に阿鼻叫喚と共にいくつかレポートをオンラインで見つけることができます。

到着空港や滞在施設が複数あり、同じ場所でも詳細が日々変わっていると思われること、違う視点からの情報があればと思い、このレポートを書いています。準備編羽田空港編ホテル編と分かれています。

(6/9 19:00 更新)

時間を追って

空港編は時間を追う形で書きます。なお、ここに書いてあることの詳細は日々変わっている、もしくは航空会社や降りるゲートの位置によって違うようです。例えばこの方のレポート(JALで帰国)とはたった二日違いにも関わらず詳細が異なっています。ざっくりと理解していただければ幸いです。

5:10 早朝に我々が乗る ANA NH107 便が着陸、飛行機は羽田空港第3ターミナル145番ゲートに向かいます

5:20 冒険の旅の始まりです。145番ゲートに降りたって、ぐるりと回って145番ゲート搭乗待合室に。前から入れば一発なのに回り込んで後ろから入る動線設計、動きを一方向に、とか何か理由があるのでしょう。ここでは順番に「ここに並べてある書類をお持ちですか?」と質問があります。「おはようございます。はい、持っています」と答えると、ご褒美に書類二枚と輪ゴムで腕に付ける緑の札が授与されます。この輪ゴム、腕の太めの人にはキツいと思う。

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搭乗前に自分で持って来たのは「検査証明書」だけ、「誓約書」「健康カード」「もう一つ何だったっけ」の三つの書類は機内に用意されていました。搭乗券を取っておくことが重要との情報もありましたが、それを求められた関所はありませんでした。が、その時間に着陸したのがNH107のみだとすれば、便名が自明だったからかもしれません。ちゃんと持っておいた方が安全でしょう。

授与された書類は二枚とも航空会社からのお知らせなどで何日も前から知っていた情報なので、特に読むところはありません。が何らかの理由で宿泊所での待機を知らなかった人には驚愕の情報でしょう。私には不要なのでカバンの中の「空港では不要」フォルダーに放り込みます(準備編参照)。緑の札を腕につけて、待合室のシートに座りながら乗客全員がこの部屋に揃うのを待ちます。今回の乗客62名(緑の札の束に書いてありました)、係員さんがあのカチカチ押す数取器で全員揃っているかチェックされます。全員揃ったら移動です。

ここの一番の目的は移動前に全員を揃えることだったと想像しますが、降りてきた人から進ませてはダメ? 

後で気がつくのですが、全ての関所は搭乗待合室を使っていて、それを串刺しにして歩いて行くように動線が作られています。ゲート間を串刺しなんてそんな歩き方初めて! 流れ作業で一つ一つの作業が単純になるように作られているようです。145番ゲートから始まって、目指すはターミナルの一番端っこ、142番ゲートの上です。心の中にはドラゴンクエストのテーマが流れています(準備編冒険の書参照)。

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5:45 さて二番目の関所は144番ゲート。書類チェック。ここで検査証明書は回収されます。バイバーイ。

5:50 三番目の関所は143番ゲート。143番エリアに入ると、まず質問票Web (https://arqs-qa.followup.mhlw.go.jp/#/) のQRコードを持っているかを確認する小さなテーブルがあります。ない場合ここで質問票Webに記入することになります。ANAの場合、フライトへのチェックインの際にQRコードを持っているか確認されていますので、ここは全員するっとパスでしょう。それを過ぎるとゲートの前でQRコードの読み取りと書類チェック。ここで健康カードの裏面(質問のある面)の上部に名前を書きます。その横には「アメリカ カリフォルニア州」と係員さんが記入してくれています。一日に何回書くんだろう。

事前に聞いていたように係員の方々がみなお若いです。大変なお仕事のはずなのに、みな笑顔で対応してくださるので癒されました。ありがとうね。私はせめてものお返しに、どの方にも、おはようございます、と挨拶しました。

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「健康カード」、と言ってもA4の紙です。この裏面には二つの質問があり、機内で記入するのですが、名前を書く欄は無く、また滞在場所も「アメリカ合衆国」の選択があるのみで、州を記入する場所がありません。州によって隔離措置が異なるので州は重要です。また右下の方にフライト番号が書き込まれています。これらを余白に書き足さなければならないのは明らかにフォームの不備です。おいおい改良されるのでしょう。

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5:55 四番目の関所はターミナルの一番端っこ142番ゲート。ここでCOVID-19の検査。検体番号の貼ってある唾容器と漏斗を渡されます。同じ検体番号シールが健康カードにも貼られています。容器と漏斗を持って、一人一人が区切られているブースに入ってひたすら唾を溜めます。ブースの正面には説明とともに、梅干しとレモンの写真が飾られています。検体を提出してここは終わり。

ちょっと疑問に思ったのは、なぜ検体採取を一番最初にしないのかということ。検体採取後の処理は平行に走らせることができるので、最初に行っていれば乗客が歩いている間にかなり進めることができそうです。まあ、そんなことプロセスを設計した人には言われなくてもわかっていることでしょうから、ここに持ってきたのは他に理由があるのでしょう。

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私の脳は写真の梅干しにダマされず、規定量の唾を集めるのに結構苦労したので、せめて着陸前の食事の際にせっせと水分を取っておくと良いと思います。

6:05 六番目の関所は離れの141番ゲート。142番ゲートの先をぐるっと回って離れの方に移動します。わかりにくくなってきたので、マップを載せておきます。出発点が145、一番端が142、今いるのは141です。写真は141に入るところ。内部は写真不可と書いてあります。

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今までの関所に比べて広く、多くの係員がいます。ここではアプリなどのチェックを行います。まず黄色ベストの係員さんが、アプリがインストールされていることを確認し、またそれぞれを立ち上げて、初期設定をしてくれます。ほとんどが通知や位置情報を許可する作業のようです。また位置情報の記録が ON になっていることを確認します。また右奥の方のテーブルで、登録したアドレスにメール(絵文字付き😊)が届くかどうかチェックし、また各アプリケーションで行うべきことなどの説明があります。

この関所は今までで一番時間がかかりました。このステップがスムーズに終わるように、必要な三つのアプリを一つのフォルダーに揃えて入れておく、またメールが受け取れるよう、特にフライト後ですからネットワークが通じているかのチェックをしておくと良いと思います。

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一番 IT っぽいこのステップに時間がかかるのは皮肉なことですが、それは係員が人手でチェックしなければならない項目が多いからです。例えば「接触確認アプリ」に機能をまとめて、必要な設定をできる人は事前にしておいてもらって、正しく設定が終わっていればアプリのアイコンに青信号印がつく、とかにしておけば、係員は自分で設定できない人の手助けをするだけで済みます。

6:30 いよいよ最終の関所、検査待ちエリア。場所は142番ゲートの真上。出発の人が歩いてくる3F出発階です。141番ゲートからは階段を上がります。何故かエスカレーターは停止状態。足の不自由な方は隣のエレベーターでしょうか。案内があると良いと思います。階段を上がると、緑の札を持っている人は検査結果待ちエリア、持っていない人はそのままお帰りください、の分岐があります。あれれ、緑の札をどこかにうっかり落としてくるべきだったかな?

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考えてみれば、ここで検査の結果も待たずに帰る人って何者でしょう。全ての国からの入国に検査が必要なので結果を待つ必要があるはずです。フライトアテンダントさん達?

ここの受付で誓約書が回収されます。誓約書は電子的な手段が良かったのでは。大量の紙が二度と開けられないだろう箱に入れられてゆきます。でもこれだから日本は、とか言わないでくださいね。米国に入る時も全く同じで紙の誓約書が必要です。比べるのではなく、そもそもどうあるべきかを考えましょう。

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どうやらオリンピック・パラリンピック関係で入ってくる方々は別の誓約書が必要なようです。どういう特別扱いなのか、ちょっと、気になります。

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待ちエリアの階段下には先ほど通った142番ゲートのCOVID-19検査場が見えます。もう誰もいません。早朝に到着するNH107は混雑を避けるという意味で正解かもしれません。

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座ってひたすら待ちます。ここが一番退屈でした。

7:30 待ちエリアに入ってから1時間後、検体採取からは1時間半後、ついに検体番号nn番のかたー、と一人一人呼び出しが始まりました。が、少し経つと呼び出しはストップ。見ていると一緒にバスに移動するグループごとに分けているようです。

8:15 とうとう私たち家族が呼ばれました。3グループ目。呼び出されたら検査結果お知らせコーナーに行きます。無事陰性。ホッとします。貼られたシールの記述から検査がPCRではなく、抗原定量検査であることもわかります。また次のデスクでホテルは全面禁煙であることを説明されました。成田では両方ある、というか禁煙希望でも喫煙者がいたことのある臭い部屋に入れられることがあるようです。家族で一緒の部屋はありますか?と聞いたところホテルに着いてから部屋の希望を言ってください、と説明されました。

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最初のグループの呼び出しから45分経っていますので、1グループ20人の処理に25分ほどかかっていることになります。この人数と間隔は検査装置によるものかもしれません。調べてみると、羽田には「ルミパルス G1200」という検査装置があって、この装置は24人分の抗原定量検査の結果を30分以内に出すそうです。グループのサイズも時間間隔もピッタリ一致します。それなら検体採取から最初の呼び出しまで1時間半もかかったのはなぜ?

ここに至るまで非効率な点に自然と目がいっていましたが、友人と話していて効率的にする理由なんてない可能性のあることを指摘されました。国土交通省は3月12日に、1日の入国者数を2000人、一便あたり100人以下に抑制することを発表しています(オリンピック・パラリンピック関係者はこの抑制の対象外)。6月4日から宿泊所待機の対象国が大幅に増えましたので、ホテルの方もキャパいっぱいかもしれません。いやでもそれにしても、人の時間を無駄にしてはダメだよ。

8:30 さて、グループ全員が揃うといよいよバスに向けて移動です。ここからたくさん歩くのですが、単に142番ゲートに降り立ったら中央の入国審査場まで普通に歩く事になるルートです。空港って大きい。途中にカートもありますので利用可能です、が、先導されて歩いているので、何もぜず大人しく付いて行くべきでカートを取ったりしてはだめ、との雰囲気が漂っています。私は AKY (Aete Kuuki Yomanai) なので、ダメとは言われていないのですから必要なら躊躇なく使うでしょう。でもここに報告できるように、念のため係員に聞いてみましたよ。係員さんはニコッと朗らかに答えてくれました。はい、カートを使っていただいて大丈夫ですよ!

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8:45 いつもは赤外線カメラを横目で見ながら素通りする検疫ですが、今日は人がいて一人一人チェック。オンラインの記録と照らし合わせておられる様子。入国審査は最近の自動化ゲート。

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手荷物受け取りに行くと、なんと係員さんが荷物を家族単位に分けてカートに乗せてくれていました。ありがとう! またここで麻薬探知犬ならぬ持ち込み不可の野菜と肉探知犬(?)の出迎えがあります。ビーグル犬、可愛くて癒されます。

9:00 荷物を受け取って再集合したら、税関検査を通って、先導されて出口へ、エレベーターに一つ乗って1Fから外へ。シャバの空気だ。じゃなくて今から収容されるのでした。

ここで一般客と動線が一緒になる、との批判もあるようですが、唾液にSARS-CoV-2のいないことを確認する検査をした直後ですから、仮に感染していたとしても未だ潜伏的で、感染を広げるリスクは無視できるのだと想像します。また反対に感染させられるリスクはこの後の日本での活動と同じ。つまり動線が同じことの問題点は特にないように思います(専門家の方いかが?)。

バス乗り場まで誘導されて、荷物を預けて乗車。バスが数台停まっていたのですが、乗り込むのは一番手前のバス。乗り込んだところで緑の札が回収されます。

そのバスにはDホテル、その向こうの二、三台はBホテル、と書いてあるのが見えました。とすると少なくともA-Dの4つの異なるホテルがあるということでしょうか。

私は他の方の記事でアパホテルにおける囚人のような扱いを読んでいたので、ハリーポッターが寮の振り分けの際に「スリゼリンは嫌、スリゼリンは嫌」とつぶやいていたように、私は「アパホテルは嫌、アパホテルは嫌」と呟いていました。もちろん他のホテルでも状況は同じである可能性もあるのですが、違うホテルならいくらかましに違いない、といちるの望みにかけたい気持ちでした。さて我々のDホテルとは一体どこでしょう?

10:36 アパホテル両国に到着。

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まとめと感想

結局着陸から3時間50分で空港を出て、5時間半でホテルに無事入所しました。入所、は刑務所に入る囚人になぞらえた私の皮肉ではありませんよ。本当に、入所、退所という言葉が使われているんです。お役所はコミュニケーションのセンスゼロです。

このプロセスはもっと効率的にできると思います。一日の入国者数を抑制しなければならないとしても、人の時間を無駄にしてはダメです。

係員さんたちはどの方も気持ちがよく、それはとても良い点でした。が、それ以外の点でのホスピタリティを見直して欲しいと思いました。例えば飲み物の案内、体力のない方への気遣い、カートを使ってくださいねとの案内、などできることがたくさんあると思います。

ドラクエでは人に話しかけることで冒険のために必要な情報を得ます。私もあちこちで係員さんとの会話を試み、いくつか重要な情報を得ましたよ。中にはこれ言っちゃって良いの?でもめちゃ有用というのもありましたが、それらは私の心の中にだけに留めておきます。差し障りのない重要なポイントを一つ明かしましょう。考えれば当たり前ですが、金土日は混む!ということです。処理が追いつかず待ち時間がとてもとてもとても長くなるのこと。次に海外に行かれることがあるなら次回もぜひ金土日以外の日に帰ってきてください、とアドバイスされました。ぜひそうします。

既報通り、対応してくれる係員さんはみな若いです。みなさん気さくで笑顔が素敵です。また外国出身と思われる方も結構おられましたが皆さん流暢で、語彙の使い方からも長年日本に住んでおられると思われます。時には不機嫌な乗客の相手をする、大変なお仕事でしょうに、彼らの笑顔にずいぶん癒されました。ありがとう。

検疫所の方々、よもや、多くの感染リスクの高い乗客と日々接するこの方々のワクチンがまだなんてことないでしょうね? 既に2回の摂取を終えておられるのだと信じたいと思います。

なぜカリフォルニア(or どこでも)からの帰国にホテル待機が必須になったんだ? と言う意見を聞きます。私は逆に、もっと早くから、全ての地域からの入国に宿泊施設での待機を必須とすべきであったと思います。

今回の変更のきっかけは新しい変異株B.1.617またはデルタ株です。この株は今まで比較的強かったアジア人への感染力が強い株で、インドで猛威を奮っています(専門家の方、もし表現が不正確ならぜひ教えてください)。残念ながら日本は既に一部地域でこの株の上陸を許してしまっています。変異株が国内に侵入する唯一のルートは我々のような海外からの入国者ですから、このルートの防御をもっと早くに強化しておくべきだったのです。それによって変異株の侵入を遅らせ、感染の拡大を抑え、ひいては国内の産業、例えば飲食店とそれにつながるビジネスをもっと守ることができます。

自分はワクチンを2回打って二週間経っているので、人に感染させるリスクはゼロではなくても小さいはず、との意見も聞きます。これは全く同意です。国際的にワクチン接種済みでかつ二週間経っていることを証明する方法が早く確立されることを望みます。もちろん、CDC、アメリカ疾病対策センターの発行する証書をそのまま信じてくれるならアメリカに関しては良さそうですが、これ、受けた場所によって例えばレター用紙に印刷したものがあるなどのバリエーションがあって、とっても偽造しやすそうです。まあそれを言ったら検査証明も似たようなものですが。下は一回打ったばかりの私の証書です。

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空港編はここでおしまい。次はホテル編です。

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