第2回 20210102「脳の話」時実利彦
去年、広報誌に書籍紹介の記事を書きました。
https://www.kit.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2013/12/kitnews54.pdf
もとの原稿は「である調」でしたが、編集の結果「ですます調」に。。。これは仕方のないことですが、以下にもとの原稿を載せます。
ツイッターでこのTLをみて、書いたものです。
こちらも参考になりました。
学生の頃、お世話になった松村先生の本。この本も影響を受けた一冊です。この本の中でも「脳の話」が取り上げられていました。
ここから元の原稿です。
今年の5月、ふとツイッターをみていると、懐かしい名前がTLを流れていった。「時実利彦」。脳生理学者で東大名誉教授(1909-1973年)。時実利彦記念賞などの冠も多いが、そうではなく、MacLeanの三位一体脳(triune brain)との絡みのようだ。
私の学生時代、まだ文学部の梵語梵文学研究室にいた頃、神経生理学を勉強しようと手にした1つが「脳の話」であった。脳の生理学について、やさしい言葉で語られ、頭にすっと入ってきた。同時に、ラスコー洞窟の壁画からアリストテレス、ガレノスといった心や医学の歴史にも触れつつ、格調の高さと自然科学としての明解さが楽しかった。初版は1962年なので最新の情報はないが、教養としての入門書にはぴったりだろう。
三位一体脳とは、進化的に爬虫類の脳(基底核)に古い脳(辺縁系)が加わり、さらに新しい脳(新皮質)が加わって高等な哺乳類の脳になったという、今では誤りとされる考え方である。ツイッターでは、時実も階層モデルとして捉えていたが、新皮質を理性脳とするキリスト教的な世界観ではなく、知情意の脳という日本的な捉え方だとする主張を引用して、感情と理性の関係に言及されていた。脳の話、もう一度、読み返してみたいと思った。
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