本当に楽なアルバイトとは何なのか
「本当に楽なアルバイトとは何なのか」というタイトルから始まったこの記事。これを読んでる皆さん、アルバイトは楽なほうがいいですよね。もうバイトやってないよって人も、アルバイトをしていた時は楽なアルバイトを探していたと思います。楽で楽しいアルバイトが一番ですよね。しかし、本当の楽とは何なのでしょうか。少し、僕の話を聞いてください。
学生時代のアルバイトは、僕は楽しかったです。生活費を入れるためにバイトをしているとかではなく、単純に興味からバイトをやる。楽しいのは当たり前です。僕の初めてのバイトは奈良の田舎にあるスーパーなのですが、そこで初恋の男の子に出会い(詳しくはすいませんが、「ガクヅケ木田 後輩君」とYOUTUBEで検索して、僕の気持ちの全てを歌っている曲を聴いて下さい)とても楽しくバイトしていました。
その子と喋るのが楽しすぎて、惣菜室の掃除をまったく進めていない僕に腹を立てた普段はすごく優しい店長が本気のパンチで段ボールに穴を空け「働けガキ」と言ってきた事や、値札シールを作り間違えて「0円」と表記されたキャベツを大量に売り場に出し、おばさんたちが買いまくってレジがパニックになり、店長に「クソガキが」と呟かれたりというのもありましたがそれでもやはり楽しかったです。
それらが楽しいというのも、別にそこでの収入が生活に直結していないからだと思います。情けない話ですが、僕は当時バイト代をまったく家に入れておらず、8~9万稼いだ金額を全て自分のために使うことができていました。コンビニの1回600円とかの1番くじでその男の子が好きなアニメのくじがあるとなれば、近所のコンビニに行き「このくじ全部ください」と言って店員さんを怖がらせながら数万円分を買い占めて、全てを大きなポリ袋に入れてその子に夜中プレゼントしに行ったりしていました。
そんなパパ活おじさんみたいな事ができていたのも、遊びバイトのお金であるからであって、実家を出て、大阪で一人暮らしを始めてから、僕はアルバイトの本当の意味を知ることになります。
僕が一人暮らしを始めて最初にやったバイトはご飯屋さんのアルバイトでした。僕はキッチンだったので昼から夜まで厨房で延々と唐揚げを揚げたり、しょうが焼きを焼いたり、ハンバーグを焼いたりなどをしており、慢性的に人員不足だったという事もあり、後半は生姜焼き4人前とからあげ4人前とハンバーグ3つを僕だけで同時並行で作りきるという荒業もこなしており、俺がお前らの胃を満足させてやる、という強い自覚もあったりしたのですが、最初がなかなかキツかったです。
なぜかそこのバイト先は「バイト先に一人はいる皮肉めいた感じで嫌なことを言ってくる先輩」でほとんど構成されている厨房で、入ったばかりの何もわからない僕に「これは自分で食べるんですか?」と遠回しに唐揚げの個数が多い事を指摘してくる無表情な若めの男の先輩、遠くから米びつを叩きながら「お米が出せないよ~」と客が多すぎて洗い場に大量の汚れた茶碗が溜まっており、こちらに綺麗な茶碗が足りませんとアピールしてくるおばさんのパートがいたりといった調子で全然気持ちよく仕事を覚えられなかった。
そうは言ってもそこでバイトしないと家賃も何もかも払えなくなるので、やるしかない。何回やっても肉を等分に切ることができず、その厨房でも随一の性格の悪いおばさんに詰められながら深夜ふらふらで肉を切っている時に、自分は何のために産まれてきたのだろうと思いましたが、そんなことは意味がなく、とにかくこの肉を等分に切らない事には帰れないし、家もなくなる、その強い思いで肉を切っていた。
しかしなぜそんなにそんなダルそうなバイト先に固執していたのか、それは僕が大阪で一人暮らしをするようになってから色んなバイト先の面接を何度も何度も落ちまくって、最後の最後でやっと合格できたというトラウマからくるものでした。
その当時の僕はTSUTAYAでバイトする事にすごく憧れがあり、大阪でバイトするならば、と家の近くにある難波のTSUTAYAに面接に行きました。しかしこれもまた当時の僕は面接というのものをまったく理解しておらず「週どれくらい入る?」という質問に「週1でも週6でも大丈夫です!」と答えた後「何か聞いておきたいことありますか?」という質問に「フリースタイルラップが特技なので、披露します」と言って当時まだ浸透していなかった即興でラップをするという技術を披露した後「これ、合格ですかね?」と聞くという絶対に落ちようと思ってバイトの面接を受けに来たやつでしかありえない流れを「印象に残る」という一点のみで採用していました。
難波のTSUTAYA、もう少し家から離れた場所にあるTSUTAYA、電車に乗って10分ほどにあるTSUTAYA、日本橋にあるスポーツ用品店、難波のゲームセンター、もう1個のゲームセンター、華やかさをを諦めて近所のコンビニなど覚えている限りでこれだけのところでその流れを披露し、全部落ちていました。最後の最後は1個1000円のハンバーガーを駅前で30個売らないと給料が発生しないバイトの面接に行き、めちゃめちゃガラの悪い太った男性に「合格!!!!!」と言われ、嬉々として母に電話したら「奈良に帰ってきて」と泣かれてしまい、これが最後のチャンス、と意気消沈しながら受けた飲食店のバイトで、意気消沈具合が良い方向に働き合格ということになったのです。
ここをクビになったら、もう働く場所がない。仕事ができない代わりに、僕はシフトで自分をアピールしようと思い週5くらいで昼~深夜でぶっ続けで入ったりしていました。正月も店長と2人で入り、通常では考えられないほどの大量の客をさばききった後、閉店して疲れ果て動けなくなっているところにフラフラの店長が「今年もよろしく」と言ってきたときはゾッとしました。
そのあと僕は東京に引っ越して、お笑いを始めます。お笑いを始めると、お笑いの予定もあり、その合間を縫ってバイトをするようになります。別に忙しい訳ではないので、バイトはできるのですが、それでもやはり楽なバイトをしたい、という思いが強くなります。本業をお笑いにしたいのですから、お金がもらえればいいだけのバイトというのはとことん楽なほうがいい、一見当たり前のようなこの考えですが、僕はそれは間違っているのかもしれないなと思うようになりました。かと言って僕自身はもうすっかり「本業をお笑いにしたいのだから、バイトはとことん楽なほうがいい」という考えに脳みそがつかりきっており「お笑いやるなら、楽バイト」という意識しかないのですが、結果いまのところそれがストレスを産む結果になっているのです。
「バイトはそこそこ楽ならそれでいい」という考えの方はこれ以上先は読まないでください。あなたはそのまま成功を掴むことができます。ここからは「バイトはとことん楽をしたい」という人のみに話をします。
結論から言うと僕たちは、もしかしたらある程度負荷のあるバイトをするべきなのかもしれません。
「負荷のあるアルバイトなんて百害あって一利なし。お笑いが一番であるべきなのに、アルバイトなどで疲れている場合ではない」と皆様が布団に横になりながら怒鳴りつけてくる気持ちもわかります。ここでバイトをするメリットとデメリットを考えてみましょう。
メリットはまずなんと言っても「お金が手に入る」。これでしょう。というかこれだけです。お金があればバイトをしませんし、お金がないからバイトをするのです。
デメリット、これは人によって様々ですね。「時間がなくなる」「疲れる」などありますが、めちゃめちゃ大きくまとめると「ストレスが発生する」だと思います。
時間や疲れなどはこれはもうほとんどの人が同じですから言い訳はできません。このストレスを無くすには、実は楽なバイトはそんなに合っていないのではないかと思うのです。
僕は東京に来てから楽なバイトを探し続けました。先輩の紹介で入った漫画喫茶の夜勤、ここは客層は悪かったですが、深夜暇なときは店内に客が4人しかいないという楽バイトでした。しかし、僕たちのように究極を求める性格がたたき出したい数字は本来「0」なはずです。客が「0人」。そんな漫画喫茶潰れてしまいますからありえないのですが、本能はこれを求めます。そうなると、この「4」を絶対に増やしたくなくなります。そこにカツカツカツと足音が聞こえてきて、お客がくる。「5」です。すると、本来楽だったはずの「4」が基準になっていることで「5」がしんどくなるのです。僕はここで、この沼に気づきませんでした。この「0」への憧れに近い期待の先には決して道などなく、進めば進むほどぬかるんで出れなくなる怠惰の沼だったのです。僕はこの時、お客が「1」だったとしても、目をギロギロさせ(絶対に増えるな)と周囲を威嚇し、実際に「2」になったら心の底から疲れていたでしょう。お客は「2人」しかいないのに。仮に「0」になったとしても、誰もいない店内をギョロギョロ睨みながら(「1」になるな・・「1」になるな・・)と祈っていたと思います。お客が0人なのにストレスを感じている状態ということです。
僕のこのバイト先で「バイトはとことん楽な方がいい」と脳に叩き込まれてしまったと思います。自分でも考えを変えたいのでこうして文を並べているのですが、「バイトは「楽」なのが「楽」ではない」こう言い切ってしまおうと思います。
そう言うと「お前は、本当に楽なバイトを探していないのだ」と言う人もいると思います。僕は先述の漫画喫茶の次に、もっと楽なバイトはないのかとインディードを一日に何百件と見漁り、ある受電専門のコールセンターを見つけ、そこにに入ることに決めました。そこは「給与」「時間」「夜勤」「業務内容」の4つのバランスがとれており、無事面接を通り入ってみると、やはりそこは業務自体は割と難しいのですが、特殊な業務内容のため、慣れるまでは大変でしたが、慣れてしまえばそこそこやっていける種類のバイト内容でした。さらにそのバイト先が緊急事態宣言を受け、業務をテレワークに移行させたのです。僕は不意に自宅バイトの恩恵に預かることとなりました。
今の僕のバイト現状は「1時間に1度くらい電話がきてそれを取り、また1時間くらい電話が鳴らない」といったような状況です。もちろん日によってまちまちですし、忙しい時もありますから一概には言えないですが、平均するとそのようなペース。これは僕たちのような究極の楽バイトを目指す者が憧れる「家に居ながらにしてなんかお金が入ってきてる」状態に限りなく近いのではないでしょうか。これは素晴らしい。これが求めていたものだ。そのままありがたくテレワークをさせてもらっていました。僕は平日は空いている限りどんどんバイトを入れるようになりました。0-10時の夜勤なので、終わるといくら在宅でも疲れて眠ってしまいます。そして起きてまた夜勤、鳴らない、嬉しい、暇、嬉しい、夜勤終わる、寝る、夜勤・・そのようなサイクルを繰り返しています。しかしこのバイトも楽といっても、たまには忙しくなります。すると頭にこんな事がよぎります。(せっかくさっきまで家にいるだけでお金がもらえてたのに・・)。また、ずれてきてしまっていますよね。家にいるだけで本当は楽なはずなのに、まだ先を求めている。頭が勝手に究極の「家の布団の上で9時間熟睡しているだけで1万5千円がもらえる」バイトを求めているんです。そんなものある訳がありません。もしか僕が超絶男前で、地下アイドルとして活動していたら自分の睡眠姿を生配信したものをアーカイブで1人1000円で売るなどという事もできたかもしれませんが、現実の僕は寝ている間に短い屁も長い屁も出て唾も出ます。そんな姿など、お金になる訳がありません。そう、僕は次第にこのバイト先でも「0」を求めていたのです。
僕がこのブログを書こうと思ったのは、一本のバイト先の社員さんからの連絡がキッカケでした。要約すると「業務体系の変更により、もう夜勤には入れない。朝勤は入れます」ということでした。僕はこの知らせを聞いて最初、かなり動揺しました。夜勤に入れなくなる。ありえない。僕がこんなに探していた素晴らしい夜勤が無くなってしまう。体の震えが止まりませんでした。しかし帰宅し、頭を整理し、少し眠り、今一度真剣に考えてみました。
たしかに、僕のバイトは「楽」ではありました。家でできる。不満はない。しかし、「楽」を手に入れることで僕のよくない性格の「さらに楽」を求めている現状、それは「苦しい」のではないかと思うようになったのです。もともとバイトにまみれている生活は苦しくはありました。ただ、まみれさせていたのは自分自身です。バイトできるならしてしまう、これは僕の「得」が好きな性格の悪癖からくるものです。一生バイトをするつもりな訳はないのですから、そんなにバイトに入っていても意味はありません。例えどれだけ入っても、限界で月15~17万円。そんな「楽」なバイトの沼に溺れて「苦しく」なるぐらいなら、「しんどい」バイトで割り切って働いて、他の「楽」を手にして、将来の大きな投資を自分にした方がいいのではないか。そう思うようになったのです。
これは、僕のような「楽をすると止まらず、調子に乗り続け痛い思いをしないとわからないことが多い」人に向けたバイトアドバイスです。まったく何を言っているかわからない人もいると思います。楽バイトに体を溶かすのはそこそこにして、僕は自分を見つめなおす段階にきたのかと思います。
皆さん、そのバイト本当に「楽」ですか?
バイトはちょっとしんどいくらいのものを少しして、時間を買いましょう。時間は15万円じゃ買えません。そう自分に言い聞かせています。
ここまで読んでいただき、まことに、ありがとうございました。
追記 10月31日 10時22分
テレワークのバイト普通にクビになりました。社員の皆様、僕を夜勤から救ってくださりありがとうございます。
1000倍返しだ!!!!!!!!!!!
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