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HANRORO「입춘 Let Me Love My Youth 立春」歌詞 日本語訳・解釈

00年生まれのシンガーソングライター、ハンロロが22年3月に発表したデビュー曲。一人の若いシンガーのデビュー曲としてもふさわしい、これから待ち受ける未来への希望と不安が、彼女の武器である文学的・詩的な表現で歌われます。なので、比喩が多く非常に(特にコーラス・サビ)日本語に意訳するのは難しかったです。それでも伝えたかったので、ところどころぎこちないですがこのまま。歌詞の日本語訳は敢えてサビだけですます調を外して書いてみました。


公式紹介文、インタビューの紹介

ハンロロはとあるインタビューで「青春を応援するメッセージを込めるようになった理由は?」という質問にこう答えています。

いまの自分に関しての悩みも多く、友達と同じような悩みをしているので、友達とよく話すんです。解決策はなくても、肩を叩いて、お互いに話をして聞いてあげるだけでも力になれるじゃないですか。私の曲が同年代を超えて、この世界で生きていく人たちに、私のメッセージを伝えたい。という思いから段々”青春の痛み”に関心を持つようになり私の曲の大きなテーマと考えるようになりました。

EBS”スペース共感” インタビュー

この他にもハンロロの言葉を2つ引用してみます。

私の開花を記録するための曲です。
不確実な春の迎えを決心してくれたあなたにこの曲を捧げます。

シングル公式紹介文より

23歳の私は春という季節にただ希望だけを持つことが出来ません。この世界では年と責任が比例していくので、ある時、(春について)希望より恐れ、心配が前に出てくるようになりました。
それでも時間はただただ流れていったので、複雑な気持ちで今年の立春を迎えました。
考えが多くなったある夜、偶然歩いていた道で見つけた花は私より強く見えました。私より遅く枯れるようでした。考えを整理しようと外に出てみたのに、その花はもっとたくさんの考えを私の胸に抱かせてくれました。
「입춘 Let Me Love My Youth 立春」は散歩を終えて帰ってきた薄暗い部屋でその花を思い浮かべながら書いた曲です。そして私はこの曲をもって今まで勇気を出せなかった”開花”を心に決めました。いつもそうですが否定的な感情ばかりじゃないですか。これからは本当に目を出そうと思います。
(省略)
「입춘 Let Me Love My Youth 立春」はもうすぐ花を咲かせようとしている芽を擬人化した曲です。
(省略)
私を始めすべての青春が世界に出て戦う勇気を持っていると思います。その勇気を通して愛、浪漫、自由を得られます。「입춘 Let Me Love My Youth 立春」を始めとした私の音楽を聴いてくれる人たちと一緒に”どんなことも始めは難しい”という言葉をゆっくりと証明していきたいし、私たちのゆっくりとした歩みをこれから発売される曲たちにうまく込めたかったです。どうか私と一緒に歩いてくれたらいいと思います。ありがとうございます。

Genie Musicの「입춘 Let Me Love My Youth 立春」MV撮影 ビハインドストーリー記事より

解釈まとめ

不安定な社会を生きる同世代はもちろん、同世代でなくても何かを始めよう、大きな決心をしなきゃいけない人にも、自信や希望を抱かなきゃいけない時でさえ同居する不安感を肯定し、共感し、応援してくれる歌詞だと思いました。

歌詞・日本語訳・解釈

<Verse> 0:07~0:30
얼어붙은 마음에
この凍り付いた心に
누가 입 맞춰줄까요?
誰が口づけしてくれるだろう?
봄을 기다린다는 말
春を待つという言葉
그 말의 근거가
その理由に(直訳:”その言葉の根拠に”)
될 수 있나요
なってくれますか?


このヴァースでは春を迎える時の、希望を持っていいのかなという曖昧な期待感、それと同居する簡単には解消されない不安が込められているように思います。希望を持てず、花咲かせずにいる自分を、春を前にした季節的なじ状況とかけて、”凍り付いた心”と表現するところからかっこいいです。聴き手に向けて、私の始まり(青春であり、アーティスト生活)を、曲を聴いてくれることで(口づけ、理由)応援してくれますか?と投げかけているかのようです。

<Verse> 0:32~0:56
바삐 오가던 바람
忙しなかったけれど
여유 생겨 말하네요
勇気が湧いたので言ってみます
내가 기다린다는 봄
私が待っていた春が
왔으니 이번엔 놓지 말라고
来たんだから、今度こそ逃さないでよ


決心をした、ということを歌っている。「(咲ける機会を)逃さないでよ」というのは自分へのメッセージであるとともに聴き手へのメッセージでもありそう。

<Chorus>0:56~1:44
아슬히 고개 내민 내게
ぎこちなく頭を上げた私に
첫 봄인사를 건네줘요
春のあいさつを伝えてよ
피울 수 있게 도와줘요
華麗に咲けるように後押ししてよ
이 마음 저무는 날까지
この心が折れてしまう時まで
푸른 낭만을 선물할게
青い浪漫になってあげる
초라한 나를 꺾어가요
かっこ悪い私を踏んづけてごらんよ


サウンドがパワフルになるのと相まってメッセージが強く投げかけられる部分。最初の”ぎこちなく”の部分”아슬히”には”小心”みたいな意味も含まれています。誰でも堂々と強く不安なしに心を決めて物事を始めるわけではないでしょう。私もそうですが、「それでいいのか?」と誰かから聞かれても100%の自信で「はい」とは答えられません。これが絶対正解かはわからないけれど、合っていると思うから選んでみた選択肢なのです。責任ある仕事を任された時とか、転職・留学など新しい一歩を踏み出す時とかって、そういう時が多くないですか?そういう時でも、心を決めて外の世界に出てみると誰かが応援してくれるだろう、というメッセージに読めます。
そして、訳が難しかったのですが、最後の節が印象的。よくない出来事やネガティブな存在さえ待っているだろう、それも自分を強くしてくれるだろう、と解釈してみました。

<Chorus>2:32~2:52
아슬히 고개 내민 내게
ぎこちなく頭を上げた私に
첫 봄인사를 건네줘요
春のあいさつを伝えてよ
피울 수 있게 도와줘요
華麗に咲けるように後押ししてよ

<Verse> 2:55~3:41
아슬히 고개 내민 내게
ぎこちなく頭を上げた私に
첫 봄인사를 건네줘요
春のあいさつを伝えてよ
피울 수 있게 도와줘요
華麗に咲けるように後押ししてよ
이 마음 저무는 날까지
心が折れてしまう時まで
푸른 낭만을 선물할게
青い浪漫をあげる
초라한 나를 꺾어가요
かっこ悪い私を踏んづけてごらんよ

<Outro>3:41~3:52
이 벅찬 봄날이 시들 때
暖かい春の日が過ぎてしまう時(直訳:溢れるばかりの春の日が枯れる時)
한 번만 나를 돌아봐요
もう一度だけ私を見てください

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