ウッドショック/納得のいく材価の上がり方とは?
輸入材(米松やホワイトウッドなど)が日本に入らなくなってきたことで起こっているウッドショック。
国産材の価格がどんどん上がっています。
山の価値を10倍にしたい!というスローガンを掲げて、どうしたら木材の価格を上げられるかを本気で考え始めていた矢先の出来事だったので、しばらくの間ポカンと立ち尽くしてしまっていました。
先月の木材市場では、杉の丸太が1.3〜1.4倍、ヒノキは2倍近くになっているものも。
このウッドショックを通じていろんなことを感じました。
◎そもそも「木材の需要が高まれば価格が上がっていく」のが市場原理なわけですが、ここまでの大きな理由がなければ価格は上がらないんだなとか、
◎ここまでの状況になったにもかかわらず、丸太の値段はせいぜい2倍〜3倍くらいなんだなとか(もちろんまだまだ上がることも考えられますが)、
◎2倍になっただけでも大騒ぎになるのだから、材価を10倍にするということはやっぱり現実的ではないよなー、でも山の価値はこんなものじゃない!10倍にしたい!!という思いは変わらない。「山の価値を改めて考えていきたい!」とか、
◎価格の高騰よりも問題なのは、木材が無いと言うこと。いつ入ってくるかわからないから建築会社も施主と契約ができない状況なので、このまま行けば「木材は選ばれない材料になってしまう」だろうなと。「木の家を建てることを諦めてしまう」人が増えてくるに違いありません。
とにもかくにも、材価が上がるのは良いことではあるけれど、ウッドショックなどの不可抗力による価格の上がり方では色々とうまくいかないんだなーと強く感じました。
「外材が無いけど、国産材も少ないから高くなる」この状態では歪んでしまう。
木の値段はどちらかというと元々が安すぎるわけで。今のように2、3倍くらいになって、ようやく補助金がなくても伐採や山の手入れをしていけるボーダー価格なのだからこれで正常と言ってもいいくらいですが。物がなければやっぱり建てられない。
せっかく訪れた国産材を広げるチャンスでも、一次産業の現場はそんなに急に対応することはできないし(木を伐るのは命がけですし)、その後の製材加工もフル稼働したところで全体の需要には届かない(ヨーロッパのように超大規模な工場を国の政策で作られてきているわけでは無いので)。
仮に外材が入らなくなった分を国産材がまかなえたとしたら、それはそれでまた需要と供給のバランスで値段は元に戻ってしまうのでしょうか。。。?
そうすると、ただ需要が上がるだけでもダメなんですね。木の良さが広まって、価値観も一緒に上がってこない限り、価格が上がることにみんなが納得できないと言うこと。
それには結構な時間がかかりますよね。。。
「もう木の家はあきらめよう」そんな言葉が聞こえ始める前に、今できることは何か。
例えば、これを機に木材の出材に対する助成金を一部でも減らし、その分を家を建てる施主がもらえる予算に回してしまうとか。同業者からはひどく怒られそうですが汗、でもそうでもしない限り、補助金からの脱却はいつまで経ってもできないのかなと。そう言う意味ではチャンスなのかもしれません。
もう少し中期的な視点で考えれば、出材に対する補助を減らして浮いた予算を、より良い林道作りや大きな製材工場などの木材供給インフラの整備に投下して、国産材の供給力そのものを上げていくことに注力することが未来に繋がるのだと思います。
いずれにしても、このウッドショックをチャンスに変えない手は無いと思うので、自分たちなりにも考えてできることをやっていけらたと思います。
「国産材の生産量が上がり、需要も増え、木材の価値も上がり、値段が上がる」
そんな未来を作るきかっけになるような会社になりたいと感じています。
ウッドショック編・続く。
「外材は本当に悪者か?」
写真/玉川の井口建築さんが建てた、木を贅沢に使った家。玉川きこり社が出材した曲がりの梁を手刻みで組み上げてくれました。